二世帯の気兼ね・気苦労は間取りで解決できる?
二世帯住宅と聞くと、「プライバシーの面など何かと気兼ねや気苦労があるのでは?」という不安を感じる人もいるでしょう。しかし、これは、プランによって解消することができます。ひとつ屋根の下でも、二世帯が完全に分離したプランや、内部の扉で行き来できるプラン、浴室など部分的共用スペースを設けたプランなど、両世帯のライフスタイルに応じて、ちょうどよい交流の仕方を取り入れたプランニングが可能です。
例えば「孫の部屋をどこに置くか」ということも、共働き子世帯夫婦にとっては重要になります。日中留守にすることが多い共働き夫婦に代わって親世帯が孫の面倒を見る際、子世帯のLDKを通ることなく孫の部屋にアクセスできる「孫共育ゾーニング」がポイントになってきます。たとえ朝食の片づけが終わらずLDKが散らかっていたとしても、親世帯に見られることがないため、子世帯は安心して外出することができます。
このような「細かな配慮」の積み重ねが、失敗しない二世帯住宅のカギになります。
「孫共育ゾーン」の一例。特に共働き夫婦にとっては、親世帯が直接、孫の部屋へ行けるようなプランがおすすめです
親・子世帯それぞれの暮らしを楽しみ、二世帯で住むことでより豊かに
二世帯住宅にすることで、これまでの生活習慣を大きく変えたり、我慢したりするのでは、よい住まいとはいえません。このことは、親世帯・子世帯どちらにも言えることで、それぞれが快適に暮らすことが前提です。そのうえで、協力しながら二世帯で住むことによって、より楽しく暮らせるのが二世帯住宅です。そのためには、どんな間取り・ゾーニングにしたらよいのか、どういったスペースをとったらいいのでしょうか。上述した「孫共育ゾーニング」などの他にも、ヘーベルハウスでご提案しているプラン例をご紹介しましょう。
たとえば、親世帯では、普段は夫婦二人で食事をしていても、週末には子世帯も一緒に食卓を囲めるように、ダイニングを広めにとり、ビッグテーブルを置くのもいいでしょう。ご近所の親しい友人を招いてお茶会を楽しんだり、別居している子世帯も含めて、大人数でわいわいと食事をしながらにぎやかに過ごすこともできます。
このようなビッグテーブルのあるダイニングがあれば、大人数が集まっても大丈夫。いつでも気軽に人を招けます
また、ダイニング近くに畳スペースを設けるのもおすすめです。日ごろは趣味や着付けのときに利用したり、洗濯物を畳むなど家事スペースとして便利ですが、別居している子世帯が遊びに来たときには宿泊スペースとしても活用できます。こういったスペースがあると、同居していない子世帯も気兼ねなく、訪問することができるでしょう。
さらに、二世帯住宅だからこそ、一人でゆっくりできる場所を確保するのも大切なことです。たとえ、コンパクトな空間であってもいいのです。お気に入りのものを集めた書斎や、細々とした用事をこなせる家事コーナーなど、自分の時間を過ごせるスペースをとることで、日々の暮らしが豊かになると思います。
二世帯住宅では、家族が集まる場所も重要ですが、一人で過ごせる場所も必要です。毎日の生活の中で好きなことを楽しめる空間をつくりましょう
忙しい共働き夫婦だからこそ、家族がそろう家での時間を特別なものにできる空間を用意できるとよいですね。一例としては、子世帯なら、LDKにつながる場所に、広いデッキやオープンエアの空間をつくってはいかがでしょうか。休日に家族でブランチやアフタヌーンティーを楽しむなど、自宅カフェのようで、素敵です。そのほかにも、ガーデニングや子どもたちが遊べる庭として活用したり、天体観測をしたりと、さまざまな楽しみ方が考えられます。
都市部では、風を感じられる半屋外のスペースは、自宅にいながら非日常を感じられる空間として大活躍するはずです
ときには、夫婦でお酒をのみながらくつろぎタイムを過ごすこともできそうです。キッチンやリビングに隣接した場所なら、子どもの様子に目が届くので親子ともに安心できますし、少し高めの壁を立ち上げれば、隣家や屋外の視線を気にせずに、ゆったりと過ごせるでしょう。こういったスペースは小さな面積であっても家族の触れ合いを増やすきっかけになるなど、大きな効果が期待できるので、できるだけ暮らしを豊かにするスペースをご提案しています。
普段はお互いの独立性を保ちながら生活できる間取りにしておけば、ゆったりとくつろぎの時間を過ごせます
親世帯&子世帯ともにメリットが多い二世帯住宅
このように、イマドキの共働き夫婦が安心して子育てしやすいアイデアやプランが盛り込みやすい住宅こそ、二世帯住宅だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。ここまでに説明したほかにも、二世帯住宅で一緒に住むことで光熱費の面で経済的メリットがあったり、相続税の軽減効果が期待できるのは、「二世帯住宅のメリット・デメリット【経済編】」で説明した通りです。
もちろん実際には、親・子の二世代、さらに孫まで考えると三世代がひとつ屋根の下に暮らすのですから、さまざまな心配もあるかと思います。大切なのは、その心配事を全員で話し合い、課題を洗い出したうえで解決法を探ることです。
互いの世帯に気兼ねや気苦労のないようにうまく生活スペースを分けたり、あるいは逆にコミュニケーションがスムーズにとれるように空間をつなげるなど、プランニングのヒントや、快適な二世帯住宅を実現させるための設計手法は豊富にあります。二世帯住宅の設計経験が豊かなプロに依頼すれば、きっと家族みんなが笑顔になれる住まいができ上がると思います。
【関連リンク】
ノウハウ満載の二世帯住宅ガイドブック(親本・子本・実例集)
共働き子育て家族向けお役立ち本(夫本・妻本・実例集)