早いもので、2014年もあと少し。今年もいろいろ話題盤や注目盤が目白押しにあったジャズ界です。何と言っても一番注目が集まったのがコチラ!

第一位 トニー・ベネット&レディ・ガガ「チーク・トゥ・チーク」より「エニシング・ゴーズ」

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2014年で何と言っても話題をさらったのは、ポップス界の大スター、レディ・ガガがジャズを歌う!という出来事。そして、デュエットするパートナーに選んだのが、御年88歳になった大エンターテイナーのトニー・ベネットだということで、さらにびっくり!二人はなんと年の差60歳。
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レディ・ガガのジャズと言うだけでもインパクトが大の上に、88歳の歌手とのデュエット。どんなものなのか、聴く前から色々な意味でドキドキさせられた話題盤でした。

さて、半ば怖いもの見たさ(聴きたさ)で、聴き始めてみると、1曲目コール・ポーターの名曲「エニシング・ゴーズ」から、最初の杞憂を吹き飛ばす快唱。二人のパンチの効いた声量やリズムの乗り、歌いまわし、つまりはすべてにノックアウトされてしまいました。

ここでは、特に若いパートナーを得たトニーの張り切りぶりが素晴らしく、聴くほどに、トニーの年齢が信じられなくなってきます。

トニー・ベネットと言えば、「アイ・レフト・マイ・ハート・イン・サンフランシスコ」に代表される1950年代から活躍する大ポップスター。それから60年以上が経過しているというのに、ここでの歌唱がまったく声の衰えを感じさせないばかりか、むしろ艶があって伸びがあるのには驚嘆するばかりです。

それも、歌手と言う職業に真摯に向き合い、何十年にもわたって精進した成果だと思うと、トニーのエンターテイナーとしてのプロ意識に感動すら覚えます。

対するガガもお見事。ジャンルを問わず、最高のパフォーマンスをすることができる、実力を兼ね備えた、現代における真のスーパースターだということを証明してみせました。

そもそもこの二人はこの共演が初めてではありません。2011年9月のトニーのアルバム「デュエットII」において、はじめてデュエットを披露。大好評で迎えられました。このアルバムでトニーは85歳にして、Billboard 200で自身初の初登場1位を獲得。また最年長首位記録を大幅に塗り替えた作品となりました。

そんな手ごたえ十分な中で、満を持して再演となったこのアルバムが悪かろうはずはありません。今年最高に売れたジャズ・アルバムとしてだけではなく、ジャズ・ヴォーカルアルバムとして今後も長く聴かれるであろう名盤となっています。

1928年のジミー・マクフューによる古いスタンダード「捧ぐるは愛のみ」では、トニーは「ベイビー」という歌詞の部分を「ガガ」と歌詞を変え歌っています。その艶っぽさには拍手を送りたい気分です。

二人が仲良く手を取り合っているジャケットも楽しいこのアルバム。題名の「チーク・トゥ・チーク」とは、まさに頬(チーク)と頬を合わせて踊ることを言うのですが、ジャケット写真の二人もまさにダンスをしているかのよう。

ここで、ダンスを知っている人ならば、少しおかしいと思われる構図だということに気が付きます。本来ダンスは男性が左手を上げて女性の右手を持つのがきまり。ここでは、トニーが右手でガガの左手を持っています。

これは、おそらくはガガのトレードマークの左肩のタトゥーを目立たせようとするガガとトニーと製作者側の配慮。ダンス文化が根付いているアメリカにおいて、ここでのトニーの大人の対応もさすがと思わせます。

懐の深さを思うと同時に、二人が生きてきたショウ・ビズの世界の徹底したショーマン・シップを感じさせるジャケットになっています。ここまでやって、売れないわけはない!といったところでしょうか。

いずれにしても、作品としての出来、話題性でも、近年群を抜いた楽しいジャズ・ポップスアルバムと言えます。

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チャカ・カーン「あの頃のジャズ」

 

あの頃のジャズ

あの頃のジャズ

80年代を代表するR&B(リズム・アンド・ブルース)界の超大物歌姫、チャカ・カーンが、ジャズに挑戦!フレディ・ハバードやチック・コリアをはじめとする、ジャズ界の大物が集い、チャカをサポート。ジャズ的にも、聴きごたえのある本物のジャズ・ヴォーカルアルバムとなっています。

次のページでは2014年度第二位の話題盤の登場です!

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第二位 パット・メセニー「KIN」より「Sign Of The Season」

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パット・メセニーの音楽にはいつも、カントリー・ミュージックを想わせるイメージがあります。例えるなら、アメリカの広大な土地に吹く風。聴く者はその風に乗り、一緒にどこまでも、眼下に広がるアメリカの風景を眺めていくのです。

「Sign Of The Season」では、ポスト・マイケル・ブレッカーのサックス奏者クリス・ポッターのソプラノがナチュラルな雰囲気を醸し出し、パットの世界観にフィットしています。
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毎回のようにコンセプトを変えながらも、いつもと変わらないパットのサウンド。いつ、何を聴いても安心感を得られる現代のジャズ・ギターを代表するスタイリストです。

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ジョン・アバークロンビー「ナイト」

 

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広大なアメリカの風を想わせるパットに対して、ジョン・アバークロンビーは同じアメリカのギタリストなのにサウンドはどこかヨーロピアン。

この「ナイト」も1曲目「Ethereggae」から、独特で不思議な世界観に溢れた、サウンド作りになっています。マイケル・ブレッカーの参加も当たりですが、特にヤン・ハマーのキーボードが効いており、雰囲気づくりに一役買っています。

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第三位 ロバート・グラスパー「ブラック・レディオ2」より「レット・イット・ライド」

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抑えたサウンドがスタイリッシュ。耳に優しい。心地よい音圧。フィーチャーされたヴォーカルも決して声を張らない。なごみや癒しにつながるナイト・ミュージック。

ロバート・グラスパーの「ブラック・レディオ2」はまさにそんな形容詞が並ぶ上質のR&Bアルバムとなっています。
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前作の「ブラック・レディオ」が2012年のグラミー賞最優秀R&Bアルバム賞を受賞。続く第2弾として出されたこの「ブラック・レディオ2」もさらに上質のサウンド作りが話題となりました。

特に参加ミュージシャンは前作より豪華で、「レット・イット・ライド」には同じブルーノート・レーベルでヒットを飛ばしたノラ・ジョーンズがヴォーカルを取っています。ここでは、アップビートの中でも、ノラの声が持つ癒し感をうまく引き出しています。

アルバム全体がコンセプト・アルバムのイメージが強く、一曲ごとの評価と言うよりは、トータルでのサウンド、雰囲気が統一されています。そして、それこそがロバート・グラスパーの音楽と言えます。まさにロバートがディレクトする彼の世界のラジオ放送。最先端のR&B寄りのNYジャズの香りを放っています。

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インコグニート「100°and Rising」

 

100° and Rising

100° and Rising

ロバート・グラスパーの音楽が真夜中のドライブに最適なのならば、たどり着いた先で、スタイリッシュに踊るには、やはりこれ!1995年に全米ジャズチャートで2位にまで上ったインコグニートのヒット・アルバム「100°and Rising」です。

インコグニートはイギリスのアシッド・ジャズのムーヴメントを創った伝説のバンド。今年は結成35周年を迎え、ますます元気に活動するバンドです。

次のページでいよいよ2014年のラストです!

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第四位 上原ひろみ「アライブ」より「アライブ」

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圧倒的なピアノのテクニックで人気の上原ひろみが、イギリス人のTOTOなどのハードロックバンドで有名なドラマー、サイモン・フィリップスとベースのアンソニー・ジャクソンとのトリオで発表した作品。
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ジャズと同じくらいにロックに傾倒した上原の、面目躍如たる激しいタッチのジャズ・ロック。三人のヴァーチュオーゾによる、キメキメサウンドが楽しめる決定盤です。

セールス的にも全世界的に売れに売れた2014年一押しの人気盤。

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チック・コリア「ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス」 

 

ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス

ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス

チック・コリアは、来日の際に当時16歳の上原ひろみを見出し、チャンスを与えた恩人。そのチック・コリア26歳の作品。1曲目「ステップスーホワット・ワズ」の後半ホワット・ワズはこの後チックに色濃く表れてくるスパニッシュな曲調を持つ佳曲です。

ここでも、当時20歳のベースのミロスラス・ヴィトウスを起用、才能を見極める目の確かさを証明しています。

チック・コリア最初期にして、最高傑作の呼び声が高いピアノ・トリオの名盤です。

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第五位フォックス・キャプチャー・プラン「WALL」より「パラノイド・アンドロイド」

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このトリオ・ユニット「フォックス・キャプチャー・プラン」は、ロックからの影響を感じさせる上原ひろみよりも、さらにプログレやロックテイストで幅広い次世代に訴える力を有したバンドです。
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「パラノイド・アンドロイド」は、彼らが必ずアルバムごとに1曲は入れているロックバンドのカヴァーで、レディオヘッドの1997年のヒット曲。

2013年のクリスマス時に行われたキリン主催のI.W.ハーパー・ミニジャズ・コンサートの際、レポーターとして彼らの演奏に接する機会がありました。その時にオアシスのカヴァー「ワンダーウォール」で、縦ノリにはねながらノリノリで聴いているファンの姿を見て、彼らの勢いを実感しました。

その勢いはさらに2014年の今年になって増したようです。彼らの来年のさらなる活躍に期待したい思いです。

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ホレス・パーラン「アス・スリー」

 

アス・スリー

アス・スリー

三位一体のロック・ジャズユニット「フォックス・キャプチャー・プラン」を聴いて、ジャズ・トリオで、同じようなものはないかと考えたら、浮かんだのがコチラ!ホレス・パーランの熱いピアノ・トリオ作品「アス・スリー」です。

ベースのジョージ・タッカーの野太い音のイントロから、なにかが始まる予感でわくわくするこのピアノ・トリオ作品。これぞ、モダン・ジャズの三位一体ユニットと言ったところです。

2014年ジャズ年間ランキングベスト5はいかがでしたか?ジャズと言っても、ビッグバンド・ヴォーカルあり、R&Bあり、ロックありと、ますます境界線がなくなって、ワールド・スタンダード化、多様化してきたことがわかります。

来年2015年は、どんな話題盤が出てきて、私たちを楽しませてくれるのでしょうか。私も今から楽しみです。それでは、また次回お会いしましょう!

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