隼(ハヤブサ)GSX1300R がついにカタログ落ち

隼(ハヤブサ)フロントアップ

隼(ハヤブサ)フロントアップ

スズキ(SUZUKI)のフラッグシップバイク GSX1300R 隼(ハヤブサ)。急降下時の飛行速度がギネスブックに認定されている最速の鳥類「隼」の名前がつけられた同車。1999年に茨城県谷田部町にある日本自動車研究所で最高速度312kmを記録し、当時のギネスブックにも世界最高速のバイクとして認定されました。

隼(ハヤブサ)は2001年以降、騒音規制などの問題で国内では販売されておらず、逆輸入車としてのみ手に入れることが可能でした。その後騒音規制が変更され、2014年2月10日に国内向け仕様として「隼」という名前で販売が開始。海外では年式によってGSX1300R Hayabusaやhayabusa1300といった名前でも販売されています。

そして2018年、今度は排気ガス規制の変更によって再び国内ラインナップから姿を消すことが決定してしまいました。

スズキのバイクは2014年からインプレッションを執筆していますが、はじめてお借りしたのがGSX1300R 隼(ハヤブサ)でした。あれから4年が経ち、さまざまなバイクの試乗経験を得ることができました。

カタログ落ちする前にもう一度、隼(ハヤブサ)の魅力を確認するべく広報車をお借りしました。1週間試乗したインプレッションをお届けします。
 

まずは隼の装備をチェック

隼(ハヤブサ)フロントビュー

隼(ハヤブサ)フロントビュー

最近このクラスのバイクには、ライダーをサポートするさまざまな機構が取り入れられていますが、隼(ハヤブサ)は最新のバイクに比べるとそういった機構が少ない印象を受けました。

例えば隼のクラッチには、エンジンブレーキによってリアタイヤがスリップするのを緩和するバックトルクリミッターが装備されています。一方最近のバイクはスリッパー&アシストクラッチが装備されていることが多いです。これはリアタイヤがスリップするのを緩和しつつクラッチを軽くする効果があるもの。隼はそういったクラッチを軽くする機能がありません。
隼(ハヤブサ)に装備されているブレンボのラジアルマウントキャリパー

隼(ハヤブサ)に装備されているブレンボのラジアルマウントキャリパー

フロントブレーキにはブレンボ社のラジアルマウント対向4ポッドキャリパーを採用されており、ブレーキのロックを緩和するABSが組み合わされています。充分とも言えますが、これだけのハイパワー車両であれば、リアタイヤのパワースライドを防ぐトルクコントロールがあればさらに安心感があります。
隼(ハヤブサ)はテールのみLED化している。フラッグシップなら灯火類は全てLED化してほしかったところ。

隼(ハヤブサ)はテールのみLED化している。フラッグシップなら灯火類は全てLED化してほしかったところ。

灯火類。最新のバイクはウィンカーやテールランプに加えてヘッドライトもLEDが採用されるケースが増えています。しかし隼(ハヤブサ)に関してはテールのみLEDとなっており、ウィンカーやヘッドライトはバルブを採用しています。

さて、その他の装備も見ていきましょう。電子制御系ですとスズキドライブモードセレクターが装備されており、右ハンドルスイッチでモードA・B・Cを選択可能。エンジンパワーを制御可能となっています。
スズキドライブモードセレクターでドライブモードの変更が可能

スズキドライブモードセレクターでドライブモードの変更が可能

鍵がかかるリアシート下にETCを標準装備にしているのはありがたいポイント。メーターパネル内にはETC用のインジケーターが用意され動作の確認をすることが可能です。
リアシート下にはETCが。その他にも多少は荷物が入りそう

リアシート下にはETCが。その他にも多少は荷物が入りそう

シート高は805mmと決して高くはありません。シートも絞られているので足つきも決して悪くはないのですが、車重が重いので身長が低いガイドは若干不安になる場面も。
隼(ハヤブサ)は前後ともフルアジャスタブルサスペンション。写真はリアサスペンション。プリロードがある程度かかっているのがわかる。

隼(ハヤブサ)は前後ともフルアジャスタブルサスペンション。写真はリアサスペンション。プリロードがある程度かかっているのがわかる。

一方隼(ハヤブサ)は前後のサスペンションに初期荷重による沈み込みを調整するプリロードと、伸び側/圧側のダンパー調整が可能なフルアジャスタブルサスペンションを装備しています。

そのため圧側のダンパーを最弱に設定し、プリロードを柔らかくセッティングすると、ライダーがシートに座った際のサスペンションの沈み込み量が多くなり、足つき性も改善することが可能です。今回の試乗ではプリロード調整はせずに圧側のダンパーのみ柔らかくセッティングしましたが、これだけでもシート高が下がり足つきが良くなりました。

ガイドは身長165cmですが、左足で車体を保持する際には足の裏の3/4程度接地したのであまり不安感はありませんでした。プリロードを柔らかくセッティングすればさらにシート高は下がるはずなので、身長が低いライダーは試してみても良いかもしれません。
 

圧倒的な安定感こそ隼の魅力

隼(ハヤブサ)サイドビュー

隼(ハヤブサ)サイドビュー

久しぶりの隼(ハヤブサ)の試乗。早速跨ってサイドスタンドをはらうために車体を起こそうとしてみると、「ものすごく重い」。それもそのはず、隼の車重は266kgとかなりの重量級です。

「よいしょ」と起こして走り出してみると、はじめに感じたのは、アクセルの操作に対して過敏に加速しない点です。最近リリースされたドライブモードが選択できる車両のAモード(一番スポーティーなモード)と言えば、アクセルを回した瞬間に強烈に加速していく印象がありますが、隼(ハヤブサ)は比較的加速が穏やかに感じました。

もちろん以前は世界で最も早いバイクだったわけですから、少しアクセルを多めにあければ圧倒的な加速に目がついていきませんが、アクセルの開けはじめが穏やかなので通勤での試乗もあまり苦になりませんでした。

A、B、Cのドライブモードのどれを選択してもアクセルの開けはじめは比較的穏やかで扱いやすいですが、Aモードは少し多めに開けると一気に加速が激しくなります。Cモードは多少アクセルを多めに開けても加速は穏やかです。Bモードはその中間という感じですがあまり使いませんでした。
隼(ハヤブサ)のハンドル位置は決して低くはありませんが、タンクが長いので結果的には前傾姿勢をよぎなくされる

隼(ハヤブサ)のハンドル位置は決して低くはありませんが、タンクが長いので結果的には前傾姿勢をよぎなくされる

ハンドル位置は低くないのですが、特徴的な縦長タンクの影響もありスーパースポーツモデルほどではないにしろ、ガイドのように身長が低いライダーだと比較的前傾姿勢を強いられます。

しかしこの姿勢で走っていると、優れた空力特性のおかげもあり、風がヘルメットあたりを抜けていくので、風が当たることによる疲労感が軽減されます。またサイドのカウルがかなり外側に張り出しており足にあたる風も軽減されています。一目見れば「あ、隼(ハヤブサ)
だ」とわかる独特のフォルムですがカウルの効果は絶大です。

ハンドリングは腕に力が入らないようにできるだけ前傾になる必要はありますが、扱いやすい印象です。ただ街中や峠など細かいターンが要求されるシチュエーションでは、少しフロントフォークのダンパーを抜くか、プリロードを緩めるとハンドリングが軽くなり扱いやすくなります。

前後ともサスペンションの初期セッティングは柔らかくはありませんが、一般道で走っても乗り心地は上々。フルアジャスタブルサスペンションなので自分好みにセッティングが変えられるのも魅力的です。

試乗期間中に春の嵐が吹き荒れる中で走行をしなければならないシチュエーションがあり、橋の上などは横風が強く大変でしたが、横風にも比較的強い印象です。
 

魅力的なメガツアラーがカタログから落ちるのは残念!

隼(ハヤブサ)リアビュー

隼(ハヤブサ)リアビュー

最近の流行はスーパースポーツバイクのエンジンを使いつつセッティングを変えてストリートファイター系車両に仕上げる形です。

スズキのGSX-S1000はGSX-R1000ベース、GSX-S750はGSX-R750ベースですし、ヤマハのMT-10はYZF-R1ベース。ホンダのCB1000RはCBR1000RRがベースとなっています。

そのため隼(ハヤブサ)のようなメガツアラーは各社ラインナップしていません。ヤマハのFJR1300が唯一残った1台といえるでしょう。エンジンを切った状態での取り回しやサイドスタンドを立てた状態から水平にする際は重さを感じますが、走り出してみても重量感のある車体をエンジンのパワーで走らせている感覚があります。

剛性、重量感があるので走行中の安定感はバツグン。ポジションになれれば長距離走行も楽にこなせそうです。長距離走行に主眼を置いた魅力的なメガツアラーがカタログから落ちてしまうのは残念です。

隼(ハヤブサ)は過去に二度のモデルチェンジを行っていますが、エンジンの排気量をアップしたもののベースは初代エンジンのままです。そのため厳しくなる排気ガスの規制に対応することができなかったのでしょう。

エンジンを新設計にするには莫大な費用がかかりますが、隼(ハヤブサ)はスズキのフラッグシップバイク。今回のカタログ落ちは時期ハヤブサがリリースされる布石であってほしいものです。
 

出るか? 隼ターボ!

残念ながら国内では排気ガス規制などの関係でカタログ落ちしてしまいましたが、海外では販売されている国もあり、2019年も継続して販売されることが決定しました。そのため残念ながら2019年は隼(ハヤブサ)のモデルチェンジはなさそうです。

隼(ハヤブサ)が新車でほしいなら、スズキの逆輸入車を専門に扱うMOTOMAPが販売していているので手に入れることができますが、隼(ハヤブサ)のモデルチェンジの噂が出るとユーザー間で話題になるのがターボの搭載です。カワサキがニンジャH2にスーパーチャージャーを搭載したことでさらにユーザーの期待値が上がっている印象もうけます。

スズキは2020年に設立100周年のメモリアルイヤーを向かえます。その前年の2019年には、スズキの名車カタナがリリースされる予定で大きな話題となっています。メモリアルイヤーにさらにインパクトのある車両をリリースするとしたら、フルモデルチェンジしてターボを搭載した隼(ハヤブサ)以外にないのではないでしょうか!?
 

隼を少しカスタムするなら

隼は逆輸入で販売されていた期間が長いため、認証マフラーも海外向け車両用がメインになっています。公道使用可能な隼用のマフラーを探す際は、日本向けの車両型式「GX72B」で使用可能なマフラーを探しましょう。隼は左右二本出しなのでビームスのチタンマフラーに換装すれば、かなりの軽量化になるはず。動きも変わりそうです。
  純正スクリーンでも伏せれば風をかなり防ぎますが、さらに伸ばすことで高速道路を使った長距離ツーリングで役に立つこと間違いなしです。
  隼(ハヤブサ)をバーハンドル化しようとすると大変ですが、ちょっとだけポジションを楽にしたいならこちらの製品がおすすめです。
 

隼スペック詳細

隼(ハヤブサ)詳細スペック
型式:EBL-GX72B
全長 / 全幅 / 全高:2,190mm / 735mm / 1,165mm
シート高:805mm
装備重量:266kg
燃料消費率(WMTCモード値) :17.6km/L(クラス3、サブクラス3-2) 1名乗車時
総排気量:1,339cm3
最高出力:145kW〈197PS〉 / 9,500rpm
最大トルク:155N・m〈15.8kgf・m〉 / 7,200rpm
燃料タンク容量:21L
タイヤサイズ(前 / 後):120/70ZR17M/C(58W)/ 190/50ZR17M/C(73W)
カラーバリエーション:パールグレッシャーホワイト / グラススパークルブラック
パールビガーブルー /グラススパークルブラック:グラススパークルブラック

 

隼(ハヤブサ)関連リンク



【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。