演技大賞

韓国のエミー賞「演技大賞」とは

「演技大賞」とは、KBS、MBC、SBSの地上波3局がそれぞれ、その年の1月から12月にかけて放送されたドラマに対し、優秀な俳優、作品、制作スタッフなどに授与する栄誉ある賞。毎年、12月30日、31日のいずれかに生放送されます。

日本でも注目されているため、近年は、一部衛星チャンネルで同時通訳付きの生中継もされるようにもなりました。


演技大賞って、どんな賞?

ギャラクシー賞やエミー賞がドラマに限らず、さまざまな分野を総合した賞なのに対し、韓国のテレビに関する賞は、ドラマは「演技大賞」、歌謡部門は「歌謡祭/歌謡大祭典」、芸能・娯楽・教養部門は「芸能大賞」の3つの賞にきっちり分けられ、それぞれに大きな授賞式が行われます。

その中で、ドラマファンが注目するのは、もちろん「演技大賞」。1年間で目立った活躍を見せた俳優が一堂に介し、その華やかなファッションからも目が離せません。オープニングでは、注目株の新人俳優がダンスや歌を披露したりと、演技とは違う一面も垣間見られ、ドラマファンにはたまらないイベント。また、司会進行役やプレゼンターとして、旬の俳優が起用されるのも楽しみのひとつ。司会に選ばれることは、NHK「紅白歌合戦」の司会者に選べることと同様に栄誉なのです。


「演技大賞」にはどのような賞があるのか?

各局によって、賞の種類は違いますが、共通して注目を集める賞は以下の賞です。

■大賞
ヒットしたドラマで顕著な活躍を見せた俳優に贈られる賞。まさに、その年の顔にふさわしい俳優が選ばれる。ただし、年功序列の風潮が根強い韓国のお国柄からか、功労賞的な要素もあり、いくら人気があっても、デビューして数年の新人が選ばれることはまずありません。

■新人賞
顕著な活躍を見せた若手新人に贈られますが、下積み時代が長くてやっと日の目を浴びた俳優が選ばれることも。つまり、ドラマを通じて初めて大衆に顔を知られた俳優であれば、芸歴が長くとも新人賞の対象となるわけで「この年になって新人賞とは」とバツが悪そうに受賞コメントを述べる光景もよく見られます。

■ベストカップル賞
ドラマの中でお似合いだったカップルに贈られる賞。公式サイトで行われるネットユーザーからの投票が大きく反映されるので、いかに視聴者から愛されたかがわかります。ラブだけでなく友情で結ばれたカップルも候補にあがるため、女性×女性、男性×男性のカップルが受賞することも(受賞例:2008年SBS「風の絵師」ムン・グニョン×ムン・チェウォン、2010年KBS「トキメキ☆成均館スキャンダル」ユ・アイン×ソン・ジュンギ)。

また、ヒロインよりも2番手の女優の役のほうが視聴者に愛されて、ヒロインを押しのけて受賞したパターンもあります。(受賞例:2004年「オー!必勝」アン・ジェウク×パク・ソニョン)


■ネットユーザー賞
こちらも公式サイトで行われるネットユーザーからの投票が大きく反映されるため、最も旬な俳優がわかります。大賞はテレビ局が選ぶ賞、こちらは大衆が選ぶ大賞といえるでしょう。


演技大賞の裏事情

年功序列、対面を気にする韓国のお国柄ゆえに、新人が大賞に選ばれないという他にも問題点が。この俳優を選ぶと、ランク的にこの俳優も選ばなければならなくなるという局側の配慮で、1つの賞を2人の俳優が大賞を共同で受賞する例が相次いだのです。

当然ながら、それでは賞レースの意味がないとの視聴者から批判が集まり、2010年あたりからは、受賞部門をミニシリーズ(全16話~20話程度の作品)、中編(全30話程度の作品)、長編(全50話を超える作品)と細分化することで、できるだけ多くの俳優を受賞させるという苦肉の策が取られるようになりました。これには、自局のドラマで活躍してくれた俳優に賞を与えることで、次もその俳優を起用しやすくなること、そして多くのスターを授賞式に呼ぶことで世界からの注目が集まり、広告収入も増えるという、テレビ局側の皮算用も見え隠れします。

そんなドラマ界の体質や実態をリアルに描いたドラマ「オンエアー」が2008年に放送され、大きな話題を呼びました。のっけっから、女優役のヒロインが演技大賞で共同受賞を皮肉るシーンがあるなど、リアルすぎて業界筋からクレームが寄せられたという逸話も。ちなみに、男性主人公のプロデューサー役を故パク・ヨンハが演じています。

 

他にもあるドラマ関連の賞

ドラマ大国らしく、韓国にはドラマに関連する賞が「演技大賞」以外にもあります。いずれも、放送局の枠を超えて選定されるのが特徴です。

■百想芸術大賞
韓国の大衆文化、芸術の発展を芸術的士気高揚を目的に1965年に設立された賞。設立当初は演劇と映画が大賞でしたが、のちにテレビ番組も対象となりました。映画とテレビの両方を扱った総合芸術賞であり、長い歴史を持つことから、俳優たちが最も受賞したい賞だといわれています。

■コリアドラマフェスティバル
文化体育観光部、慶尚南道晋州(チンジュ)市などが後援し、2006年から始まった映像・文化イベント。その行事の中で、2007年からテレビ賞の授賞式が行われるようになった。地上波3局の他に、ケーブルテレビのドラマも審査対象に含まれる。

■ソウルドラマアワード
世界各国の優れたドラマを視聴者に紹介することによって、ドラマ制作を奨励する目的で2006年から開催されたドラマの祭典。韓国ドラマだけでなく、世界中の優れたドラマに対しても授与される。
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