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サンタクロースの正体は誰?と子どもに聞かれたら…

「子供ってどれくらい親の心を読んでいるんだろう…?」 気になりますよね。 サンタクロースの正体も、パパやママの演出をいつまで信じてくれているのか。最近、カナダで行われた心理研究を交え、子供の見抜く力を探っていきたいと思います。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

サンタクロースの正体は「親」と見抜かれるのは何歳?

サンタクロースの正体

子供は、サンタクロースの正体を何歳まで信じる

お子さんに「ママ、サンタさんって本当にいるの?」と聞かれたら、どう答えますか? ファンタジーを信じてもらいたいママだったら、間違いなくこう言うでしょう。「サンタさんは本当にいるんだよ」と。しかも、本能的に、自信に満ちた真面目な表情でそう答えるはずです。あいまいな表情よりも自信を持って言った方が、子供が信じてくれるだろうと察するからです。

では、実際、子供は、相手の何を見て「この人は信頼できる」と思うのでしょう? 表情や態度はどれくらい大事な判断材料なのでしょうか? 最近のカナダの実験が、面白い結果を導き出しています。早速、ご紹介しましょう。
 
<目次>
 

子供が選ぶのはAさん、それともBさん?

その実験は、96人の子供を対象に行われました。集まった4歳から5歳までの子供達に、あるビデオを見せました。そこには、
  • 間違ったことを自信を持って発言する女性Aさん
  • 正しいのに自信がなさそうに発言する女性Bさん
が登場しました。

■実験1:おなじみの動物バージョン
1つめのビデオでは、その2人の女性は、子ども達もよく知っている4種の動物の特性について解説をしました。例えば、こんな感じです。
  • 間違ったことを自信を持って言い張る女性Aさん:「クジラは陸の生き物だよ」
  • 正しいのに自信がなさそうに発言する女性Bさん:「クジラは海の生き物だよ」
アヒル、牛、カエルについても同じようなスタイルで、両者がそれぞれ発言をしました。

お分かりのとおり、ここでのトリックは、子供達にとってはおなじみの動物を登場させ、片や、自信を持って間違った情報を流し、片や、自信がなさそうに正しいことを言う、という矛盾です。子供達が明らかに気づくこの矛盾は、後の判断にどう影響するのでしょうか? 実験はさらに後半へと続きます。

■実験2:なじみのない珍しい動物バージョン
次の実験では、子供達に新たなビデオを見せました。登場人物は同じくAさんとBさん。違うのは、動物の種類です。今度は、子供達が全く知らないような動物について、それぞれが発言しました。よって、子供達はどちらが正しいことを言っているのか、言葉では判断が出来なくなったということ。

実験1と同じように、Aさんはあくまで自信を持って、Bさんは自信なさげに、その珍しい動物について語りました。そして子供達に尋ねたのです。

「AさんとBさん、どちらが正しいことを言っていると思いますか?」

子供達が選んだ「信頼できる人」はどちらだったと思いますか? 実は、子供の年齢によって、回答に大きな差が出たのです!
 

1年の年差でこんなに違う

月齢が4歳に近い子達の選択は、五分五分の結果となりました。4歳の子にとっては、「間違ったことを自信を持って発言する人」と「正しいのに自信がなさそうに発言する人」では、どっちつかず。同率の信頼感というわけです。

しかし、4歳を過ぎ、5歳に近くなるに連れて、Bさん(正しいのに自信がなさそうに発言する女性)を選ぶ確率が増していったのだそうです。つまり、4歳から5歳にかけての1年間で、子供達は入ってきた複雑な情報を重ねて処理し、しっかりと評価できる力がどんどんついてくるのですね。

子供達が日々投げかけてくる、ママへの無理難題に、

「あそこは日曜日はお休みなのよ」
「もう電話しても誰もいないと思うよ」
「あのお店ではもう売っていないんだって」

などと上手く切り返した経験、きっと誰もがしていると思います。でも、5歳を過ぎたら、要注意! 実はママの本意をお見通しかもしれません。「だって、この間は開いていたよ」なんて逆に切り返されて、ママが苦笑いということもあるかもしれません。
 

サンタさんの正体が実は親であることを知るのは何歳くらい?

では、サンタクロースの存在についてはどうなのでしょう?

子供は、はじめの段階では、サンタさんは世の中にたった1人しかおらず、すべてをこなしている存在だと信じています。当日のプレゼントを配るだけでなく、12月に入ってからは、世界中のショッピングモールやイベント、そしてテレビ出演へと駆け回り、多忙ではあるものの、すべてを1人でこなしていることに何の疑いも持っていません。

しかし、2歳、3歳、4歳と成長してくると、「何か変だぞ」と思うようになってきます。そうです。認知の発達が、矛盾を感じさせるのです。ドラえもんのどこでもドアでもない限りできないようなことを、たった1人でやりこなしているのですから。

イギリスのある調査では、6歳までに30%以上の子が、サンタさんの存在に気づくのだそうです。上の実験でもそうでしたが、やはり、5歳くらいがキーになる年齢というわけです。ただ、気づいてもすぐに親に聞かない子もいて、そのまま自分の中にとどめておき、サンタさんを信じていたかったという派も。さらには、パパやママをがっかりさせたくないから、気づいたものの、それをあえて言わなかったという意見もあったそうです。大人が子供にサンタさんを信じて欲しいなという思いを、子供たちが叶えてくれているとも取れますね。
 

サンタさんの卒業方法

心理学者の中には、「サンタクロースがいる」と子どもに言うのは、ウソを教えていることになると考える人もいます。でも世の中には、現実には存在しないキャラクターを取り扱った絵本などはいくらでもありますし、それをウソといってしまっては、ちょっと遊び心がないのではと私は感じています。

わざわざ親の方から、「サンタさんはパパなんだよ」と暴露する必要はありませんが、もし聞かれたら、お子さんの解釈を聞いてあげるのがいいと思います。「どうしてそう思うの?」と。疑問を持つのは、それだけ思考が現実的になり、成長した証でもありますし、クリスマスが楽しいイベントであることに変わりはありません。その年のクリスマスに、サンタさんに「来年からはパパとママにバトンタッチするよ」と伝えてもらうのもいいかもしれません。


*出典:PLOS ONE (2014) 「You Seem Certain but You Were Wrong Before: Developmental Change in Preschoolers’ Relative Trust in Accurate versus Confident Speakers.」


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