ある日の午後、某駅前の牛丼店に入ったところそこでは…。

いったい何があったのか

外出先であまり時間がないときなど、月に1回程度はお世話になっている牛丼店ですが、このところずいぶんと価格競争が激しい様子。「仁義なき牛丼戦争」などとマスコミでも取り上げられていましたが、この4月にはYが並盛380円を270円に値引きするキャンペーンを実施。それに対抗してすぐさまMが320円を250円に、Sも一部店舗限定ながら280円を250円に値引きしたのだそうです。

そんな折に私が偶然(値引きのことは知らないまま)訪れた某店ですが、店に入るとどうも様子がおかしい。某駅前の店で、たしか半年前くらいにオープンしたばかりだったと思うのですが、値引きキャンペーンに反して客はまばらで、妙に閑散としているのです。店員の数と客の数とが同じくらいだったでしょうか。

店員が注文を聞きに来るまでにしばらく時間がかかりましたが、それだけではありません。しばらく店の様子を観察していると、他の客が帰った後のテーブルはほとんど拭いていない、カウンターの奥の台の上にはチェックしたと思われる伝票を無造作に散らかしたまま片づけていない、床に落ちている書類を誰も拾おうとしないetc.

決して手が回らないほど忙しいわけではなく、客の目からみても店員全員の「士気の低下」が明らかで、店にはまったく活気がないのでした。その店だけの問題なのか、チェーン全体の問題なのか、あるいは偶々そのときに何らかのトラブルがあったのか、ただの客でしかない私にその理由は分かりませんが、決して店員だけを責めるわけにはいかない事情もあったことだろうと思います。

安売り競争の中で利益を上げることを求められて店員が疲弊していたのかもしれませんし、労働条件をめぐる問題などがあったのかもしれませんね。

建築現場の職人さんの士気は?

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、これは不動産とまったく無関係な話というわけではありません。

改めていうまでもなく、ひとつの住宅が造られる過程は多くの職人さんたちによる手作業の積み重ねです。昔に比べれば工場でプレ加工する部材が増えたり、現場での機械化などが進んだりしたとはいえ、人の手がなければ住宅は完成しません。一戸建てでもマンションでもそれは同じことです。

その一方で、住宅の価格が下がることは、これから購入しようとする消費者にとって喜ばしいことに違いありませんが、値下げ圧力によるしわ寄せが現場の職人さんたちに及ぶことも確かでしょう。土地の仕入れから販売まで相当な期間を要する不動産では、とくに値下がり傾向が続く時期ほど職人さんたちへのしわ寄せが大きくなりがちです。

賃金や労働時間の問題だけでなく、コスト削減を目的とした無理な工期短縮圧力がかかれば、満足できる仕事ができないケースもあるでしょう。その結果として職人さんたちの「士気の低下」が生じれば、手抜き工事とはいわないまでも、施工ミスが起きる可能性は否定できません。それがたとえ数千件に1件の割合だったとしても、住宅にとっては大きな問題です。

欠陥住宅などを生まないためには法規制を厳しくするだけでなく、現場の職人さんたちの士気が上がるような制度づくりも重要でしょうね。


そんなことを考えながら牛丼並盛のサラダセットを食べ終えて店を出たのでした。なぜかお勘定のときだけは店員の対応が素早かったのですが…。
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