保護者の関心が高い、子供のケアレスミス対策

ケアレスミスが多いとテスト成績も上がらないし、子どもも勉強のやる気が出ませんよね

ケアレスミスが多いとテスト成績も上がらないし、子どもも勉強のやる気が出ませんよね

私はこれまで、何度か教育雑誌の取材を受けてきましたが、「ケアレスミス」に関する取材が2年に1回くらいのペースで回ってきます。自身がケアレスミスに関する本を出しているということもあるのでしょうが、雑誌の編者者の方のお話では、ケアレスミスの特集をすると売上部数が伸びるのだそうです。保護者の皆さんのケアレスミスや計算ミスへの関心の高さがうかがえますね。


人間のケアレスミスをなくすのは不可能?!

多くの保護者の方や先生方が誤解していることが一つあります。実は、ケアレスミスをなくそうと努力しても、なかなか改善できないのです。そもそもスタート地点が間違っているのです。

人間工学の世界ではケアレスミスは「ヒューマンエラー」と呼ばれ、科学的なメスがかなり入れられ、分析が進んでいます。そしてそれがさまざまな工業製品に応用されています。

例えば「電子レンジ」は、扉を開けたままだとスタートのスイッチが入らない仕組みになっていますね。これは、扉を開けたままスイッチが入ってしまうと、マイクロ波が電子レンジ庫外に飛び出してきてしまい危険だからです。オートマチック車は、ギアをパーキングに入れ、ブレーキを踏んでいないとエンジンがスタートできない仕組みになっています。これは車の急発進を防ぐ機能です。とてもよくできたシステムだと思いませんか。

ここで皆さんはひとつの事実に気づくでしょう。上記の例はどちらも、ミスを防ぐための機能ですが、ミスを根絶するためではなく、「ミスをしてもいいように」という機能ですよね。たとえミスしても事故が発生しないような仕組みになっているのです。つまり、人間工学の考え方は「人間はミスをするもの」という大前提の上にあるのです。そもそも「ミスをなくそう」とはしていないわけです。


その失点は本当にケアレスミスか、それとも理解不足が原因か?

ケアレスミスをなくす対策として、もう一つ誤解されていることがあります。例えば、お子さんがテストで計算問題を間違えたとします。保護者の皆さんは「なんでこんな計算問題でケアレスミスをするの!」と叱ることが多いのではないですか?

「計算問題で間違える」=「計算ミス」=「ケアレスミス」という風に、間違えた原因を「ケアレスミス」で片づけてしまって、きちんと原因分析をしていない、ということです。ここにも、ケアレスミスがなくならない大きな要因があります。

実は、四則演算などの、大人ならふつう知っているだろう、と思えるようなことでも、子どもはあやふやだったりすることがあるのです。この場合は「ケアレスミス」ではなくて「理解不足」による失点ということになり、単に「ケアレスミスするんじゃありません」と注意を促したところで改善することはありません。つまり、その間違いが「本当にケアレスミスによるものなのか」を見極める必要があるということなのです。

これらのことを踏まえた上で、ケアレスミスに対処する具体的な方法を紹介します。次の3つのことに気をつけられれば、お子さんの成績は必ず上がります。


ステップ1 子どものケアレスミスを”軽く分析”しましょう

ケアレスミスを克服できれば、必ずテスト成績は上がります

ケアレスミスを克服できれば、必ずテスト成績は上がります

指導者の中には「ミスの分類を知ってもケアレスミスはなくならない」と断言する人もいますが、私はこの考えに懐疑的です。ケアレスミス対策には絶対にミスの分析が必要だと考えるからです。

では、専門家ではない保護者の皆さんが、一体どうやってミスを分析したらよいのでしょう。

まずは簡単に、子どもがどのタイミングでミスをしているのかを確認してみましょう。「問題文を読み間違えているのか」「筆算途中で繰り下がりミスをしているのか」「答えを書くときに書き間違えているのか」など、ミスの傾向をつかみます。

あとは簡単です。そのミスに対する対策を本人に書かせて机の前や壁に貼るだけ。例えば「問題分は落ち着いてよく読め!」「繰り下がりミスに気をつける!」「答を書くときは焦らずしっかり!」といったことを書けばオーケーです。本人がそれを毎日目にして、意識付けができれば第一段階はクリアです。


ステップ2 子どものミスを”しっかり分析”しましょう

簡単なミスの分析ができたら、今度はより精密な分析を加えていきましょう。「え~?そんなの無理!」と思った方、そんなに構える必要はありません。使用するツールは、これまで受けてきた模擬試験や月例テストの成績表です。過去のものを全部ひっぱり出してきてください。

どこをどう見ればよいのかというと、「正答率一覧」という項目です。ここの情報が非常に重要となってきます。この項目をよく見て、「正答率が50%」を超えているのにお子さんが間違えている問題をチェックしてください。するとお子さんのミスの傾向がつかめるはずです。あとはその情報をお子さんと共有するだけ。とにかくお子さんに、自分がどんな問題でミスをしているのか、きちんと認識させることが大切です。

分析できたら、今度は「ケアレスミス問題集」を作ってください。ノートに、間違えた問題を切り張りしていただくだけです。テスト問題が両面に印刷されている場合は、一度コピーを取っていただいて貼りつけるとよいでしょう。また、ご自分でワープロソフトを使って、打ってもらってもいいです。あとはそれをお子さんにやらせるだけです。新たに模試がおこなわれたら、さらに付け足していけばよいでしょう。

模試の活用法については、下記記事をご参照ください。
「小6の9月からは模試を活用しよう!効果的な活用法4つ」


ステップ3 ”ケアレスミスではないミス”をあぶりだす

失点の中にはケアレス(不注意)による失点ではなく、理解不足による失点が存在します。そしてこの「理解不足」という状況は、思いの他、数多く存在しているのです。これをケアレスミスと同列に論じて対策を取っても、効果が上がらないことは明白です。

保護者の皆さんの心の中には「塾神話」のようなものが存在します。特に成績が伸び悩んでいる子どもを持つ保護者の方ほど、盲目的に塾を信用しているケースが目立ちます。しかし皆さんが思ってらっしゃるほど、塾というのは細かい解説をしてはくれません。

38-24÷8+5×7=0 (正しい答は70!全然違いますね)

例えば、お子さんが上記のような間違いをしたとしますね(是非、お子さんに出題してみてください!0と答える子、結構多いと思います!)。
ごく単純な計算問題ですから、保護者の皆さんは当然「またケアレスミスして!」と叱ったりします。

でも、ちょっと待ってください。もしかしたら、四則演算の基本をわかっていないのかもしれませんよ。「そんなの塾で習うはず」と思った方は、今すぐお子さんの理解をチェックしてください。

多くの塾では、四則演算のやり方をサラッと流しておしまいです。まったく指導に組み入れていないところすらあります。他にも4年生で習うような簡単な単元は「もうわかっているだろ」と、詳しい解説をはしょられてしまうことがあります。特に低学年からのクラスを設けている塾では、講師が面倒くさがって解説を省くケースが多くみられます。そういうブラックな部分は表に出てきにくいですから、注意が必要なのです。塾を盲信してはいけません。

では、ケアレスミスではなく、理解不足がミスの原因ということが分かったらどうするか。ご自身で解説できそうなところは、しっかり解説してあげてください。保護者の方のフォローが難しい場合は、迷わずお通いの塾の先生に連絡して、解説をお願いしてください。そうしたキメ細かいフォローをやってくれない場合も、塾選びの重要なポイントとなります。

塾選びの視点については、下記記事をご参照ください。
「中学受験の塾選びに失敗しない5つの視点とは?」


人間は完璧超人ではありません。必ずミスをするものなのです。まずは固定観念を取り払い、お子さんのミスをゼロにすることを目標にしないでください。ミスはしてもいいんだ、気付けるようにしてあげればいいんだと、考え方を変えて取り組むことを強くおススメします。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。