あの人の決断~鈴木明子さんインタビュー

更新日:2014年10月16日

過去や未来でなく、今の自分が最大限の力を出して決めること


――ご病気をされたとき、スケートをやめるという決断はなかったのですか?

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まったくなかったです。6歳からやっているので、それ以外出来ることがなかったですから。スケートを中心に生活のすべてがまわっていて、病気になってそれがなくなったとき、すごく怖かった。ほかに生きる目標を考えてみたら、何も浮かばなかったんです。その後、それも危険だなと思いましたけど(笑)。最後の最後までスケートがしたい。それはイコール生きたいという気持ち。まだ死にたくないという気持ちのつながりだったと思います。それに、今はスケートだけじゃなくてもいいと思える。スケートをやっている時間以上に人生は長いですからね。

甘やかされていても治らなかったし、その想いがあったから、早く立ち直ることができた。病気の原因はスケートにもあったと思いますが、そのスケートに助けられたことは事実。だから、これからも滑り続けられる限りは滑る。そして、自分が携われるサポートはしていきたい。私の滑りで「元気をもらえた」と言ってくださるファンの方々の声を聴くと、私のやっていることは誰かのためになっているんだと感じられることがうれしい。

――現在は、スケート以外でどんなことを?

テレビ番組や講演会などスケート以外で、自分で「伝えていくこと」をさせていただいています。とにかくこの1年は挑戦の年。本当に知らないことばかりで、初めて社会に出たみたいな感じですけど(笑)。いろんな世界の方と会う機会が増えてお話をさせてもらうと、一見まったく関係ないようですが、その経験が自分のスケートでの表現や、仕事の取り組み方にも返ってくる。そこから学ぶことは大きいです。

トップアスリートと呼ばれると、才能があって、いかにも華やかな世界にいるように見えるかもしれないけど、全然特別じゃありません。どうやったら緊張はほぐれますか?とか、失敗したあと不安じゃないですか?と訊かれるのですが、観客の前では足が震えるほど緊張しますし、不安を克服するために、何回も練習します。それでも試合でミスして、それを引きずってボロボロになって、一晩中コーチとどうしたらいいか泣き叫びながら言い合ったりもしました。そういうことの繰り返しでしたが、今考えると、それもちっぽけなことだったような気もします。こういったことも伝えられたらと思います。

――今回、決断したいと考えている人、躊躇している人にとっても、力になるお話を伝えていただけました。

大きな決断にはリスクもあります。でも、その都度決断したことは、その時の自分が悩みぬいて決めたこと。過去や未来は関係なく、その瞬間、最大限の力を使って出した最高の決断だと思います。それに良い、悪いはない。それで命を落とすようなことがあっては困りますけど。私も母にそう言われて育ったんです。「あなたの人生だから、命に関わることだったり、人の道を踏み外したりしなければ、何をしても何も言わない」と。それは私を信頼してくれていることに加え、私が決断して生きていく道をすごく応援してくれているということ。だから、責任をもって胸を張って生きていけるようにしたいと思っています。


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■作品紹介■ 
book

 

壁はきっと越えられる
2010年バンクーバー、2014年ソチと2度のオリンピックに出場した
遅咲きのプロフィギュアスケーター、鈴木明子が教える「夢をかなえる晩成力」とは?
才能がなくても、遅咲きでも、勝てる方法はあります!
税込価格:1,404円 著者/鈴木明子 発行/プレジデント


取材・インタビュー/音田博美  撮影/小林伸行
アクセサリーブランド協力/パールアクセサリー「UNAUCA」