そろそろ朝晩は涼しい風が吹いてくる季節になりました。標高の高いキャンプ場では日が落ちてからは羽織るものがほしくなり、夜の焚き火が楽しい時期でもあります。そう、これからがオートキャンプの本当のベストシーズンなのです。

じつは今、この「焚き火」が子どもの学力を伸ばすということでにわかに注目されていることをご存知でしょうか

焚き火をする子どもたち

子どもたちが火を扱うことはとても大切な教育となる

ひとことに焚き火といっても、そこにはさまざまな知識と技術が必要です。薪を集め、ナタで適当な大きさに割り、薪を組み、焚きつけをくべて火をおこし、薪に火をまわし、安定させ、炭をつくる…。人類の発展の歴史は火を制御するところから始まったと言われますが、まさにそんな知識と経験が必要とされるのです。

どんなにピカピカで最新のアウトドアグッズを持っていても、焚き火を起こす手際さえ見ればその人の野外での実力は一目瞭然。手際よく火をおこし、その火を使っておいしい料理をつくり、最後はまるでそこで焚き火をした事実すらなかったかのようにきれいに痕跡を消してキャンプ場を後にできたら、これはもう達人。賞賛の嵐でしょう。

子どもに火を体験させるのは教育の原点

焚き火は注意力や現場対応力など、大げさではなく「生きる力」を身に着けるのに最適です。そして、こうした焚き火こそ子どもが体験すべきものだと力説するのは、ユニークな教育論で定評がある教育環境設定コンサルタントの松永暢史さん。松永さんは『わが子を伸ばす四大必須科目「音読」「作文」「暗算」「焚き火」』(飛鳥新社刊)や『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社刊)という自著でも子どもをキャンプに連れていくことがいかに大切な教育であるか、そしてなかでも焚き火ほど教育に適したものはないと言っています。

「自然の中で過ごすキャンプは子供にさまざまなことを教えてくれ、日常では巡り合えない多くの体験をさせてくれます。たとえば、昆虫はどんなところに棲んでいるか。木登りに適しているのはどんな木か。効率よく魚を捕まえるには、どうやって川の流れをせき止めればいいか。どんな木を集めればいい焚き火ができるか(略)自然はどんな図鑑よりも多くのことを教えてくれます」(『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』)

燃え盛る焚き火

たかが焚き火と侮ることなかれ

キャンプでは思わぬアクシデントがつきもの。突然の雨、風…。そんなアクシデントに見まわれたき、どうやって乗り越えるのか?そのとき親が手を貸さず、子ども自身に一切まかせることが大切だと松永さんはいいます。子ども同士で知恵を出し合って問題を解決していく。キャンプでの焚き火はそんな体験に最適なのです。

「子どもに火を扱う体験をさせるーこれはあらゆる教育の原点でありこれより「上」はない。燃える火を見つめること、それに関わることの体験は他の一切の教育を捨象する。子どもに焚火の火を与える体験の大切さを了解できない者は、ほぼ「教育」に関係ないものたちである」(JOKER 松永暢史のブログ)とまで言い切るのです。

14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児も焚き火愛好家!

もっとも、そんな難しい理屈を並べなくとも、子どもたちに焚き火をまかせれば、もう夢中になってさまざまな創意工夫をこらすに違いありません。

「この木はあっちの木よりどうも燃えがいいようだ」
「こっちに空気を通すと炎があがるぞ」
「アルミ缶は燃えきるのだろうか?」
「火の粉に触ったけどあんまり熱くないのはなんで?」
「どうすれば焚き火の上にフライパンが安定しておけるか?」

などなど、次々に疑問が湧いてきてスマホやゲームそっちのけで夢中になるにでしょう。

5歳でカナダに渡り、14歳でカナダのトップ大学5校が奨学金を上乗せして争奪戦を展開したことが世界中でニュースとなり、このたび初の著書「ザ・ギフティッド」(扶桑社刊)を上辞した天才児大川翔君。実は大川君も焚き火愛好家であることをブログの中で公言しています。脳の発育と焚き火の関係を語るうえでも、これは非常に興味深い事実でしょう。
「たき火はとても楽しい。火をおこし、大きく育てる。そして最後には炭を作る、その過程がとても面白い! 同じようなことをしているように見えて、毎回、条件が少しずつちがう。良い炭を作るには、工夫が必要だ。良い炭作りに成功したときは、達成感がある! 炭ができたら、次にたき火をするときに、それをまた使うんだ」(実録!翔の『極楽カナダ生活』

大川君は幼い頃から年に何度も家族でキャンプに出掛け、そして焚き火を楽しんでいるそうです。そんな大川君も「最初、真ん中に燃えやすいものを置いて、取り囲むように、マキを置く。風が通るように。そして、火をつける。マキにしっかり火がつくまでが難しい」と語るように、たかが焚き火されど焚き火というわけで、なかなか奥が深いものなのです。

正しい焚き火のやり方

さて、この焚き火。子どもにやらせる以前に、まずはお父さん、お母さんができなくては話になりません。そこで子どもと一緒に焚き火をするとき、あたふたしないための、ちょっとしたコツを伝授したいと思います。お父さんが子どもの前で、一生懸命、太い薪にライターで直接火をつけようとしていたなんて、笑うに笑えない話もあるのですから。

<焚き火にあると便利な道具
皮手袋(軍手でもよいが綿100%のものを)、ナタ(扱いやすい小型のものがおすすめ)、ライター(あるいはマッチ)、火ばさみ(トング。100円ショップでも購入可能。しかし、適度な弾力や先端の掴みやすさなど使ってみるとやはり専門店で買ったものに軍配があがる)、消火用の水とバケツ、うちわ、新聞紙(着火のときに使用。多目に持っているとなにかと便利)、着火剤(やはりこれにまさるものはなし。着火が格段に簡単になります)

<薪集めと薪割り
薪はキャンプ場の場合は大概、乾燥した薪が適当な大きさにカットされて売られています(1把200円程度)が、せっかくなのでキャンプ場の周辺から拾ってきましょう。この薪集めも子どもたちにとっては楽しい作業。この木は燃えるのか?大きすぎるか?木をどけたら下から虫が出てきた!などなど発見がいっぱいです。拾ってきた薪は、長い枝は足や手を使ってぽきぽきと折って短くします。枝がたくさん出ているものはナタを使って枝を落とし、太いものはナタを使って細く割ります。

ナタで薪を割るときは、薪の上にナタを乗せ、ナタの重みを利用しながら薪と一緒に地面にコツンと打ちつけるようにして亀裂を入れていくのがコツ(打ちつけるときに薪を持った手は離しておく)。ナタを力まかせに振り回すのは大けがの元!絶対にやめましょう。また薪を持つ手には皮手袋をはめること(ナタを握る利き手はすべるので素手のほうがよいでしょう)。

<薪を組む
細かい枯れ枝や薪を割ってつくった焚きつけ用の細木を円錐状に組んでいきます。このとき、中にくしゃくしゃにまるめた新聞紙を2~3枚分入れておきましょう。あまり密集させすぎず、かといってパラつきすぎないようにほどよく焚きつけを組んでいきます。そして、焚きつけの外側にしっかりと太さのある薪を組めばOK。最初に使う焚き木は乾燥した燃えやすいものが理想的です。

これで準備完了。焚きつけの中にスタンバイした新聞紙に着火します。新聞紙から焚きつけ、そして薪に火が移っていくのを見届けます。焚き付けが燃えてもなかなか太い薪には火がつかない場合が多いので、焚きつけは多目に用意しておいて、どんどんくべていきましょう。いったん大きな薪に火がついてしまえばしめたもので、あとは安定した焚き火が楽しめます。火がうまくつかないからといって、途中でキャンプ用のホワイトガソリンなどを振りかける人が稀にいるようですが、これは非常に危険ですので絶対にしないように!!!

あると便利な焚き火台

特殊耐熱布を使用したたモノラルの焚き火台

特殊耐熱布を使用したたモノラルの焚き火台

最近のキャンプ場は直火禁止のところも多いのでご注意を。また、そうでない河原などでも、焚き火の後、真っ黒くすすけた石を残して帰るのはあまりスマートではありません。そんな場所では専用の焚き火台を使いましょう。金属製のものが一般的ですが最近では耐火性のある布を専用の金属フレームにセットして使う携帯に便利なものもあります。

 
金属製の蒸し器

フリーサイズの蒸し器を焚き火用に流用

じつは僕自身は専用のものではなく、金属製の蒸し器を長年使用しています。鍋のサイズにあわせてアジャストできるフリーサイズのもので確か値段は数百円だったと記憶していますが、これがすこぶる具合がいいのです。特に小さな焚き火には最適。ぜひお試しあれ。

 
<薪は燃やしきる>
河原やキャンプ場などでだれかが焚き火をしたあとの残骸をみるほど不快なものはありません。焚き火にくべた薪はしっかりと燃やしきるのが基本です。ちゃんと燃やせば最後は真っ白に燃え尽きて灰になります。

また、消火には十分な注意を!水をかけただけでは火は消えません。ぜひこちらの記事を参考にしてください。

炭が燃えて白く

しっかりを薪を燃やしきると白い灰になる

キャンプの夜、ゆらめく炎をながめ、薪をくべる。たったそれだけのことなのに、子どもたちはきっと、何時間でも飽きることはないでしょう。そして、普段、扱うことのできない火に触れさせることは、計り知れないほど子どもの感性を豊かにするでしょう。感動することを覚えさせること、美しいものをみせること、これに勝る教育はないのです。

ぜひ、この秋親子で焚き火を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。