エクステリア/庭・エクステリアの基礎知識・デザイン

玄関アプローチの考え方とプランニングのポイント6

玄関アプローチとは、門から玄関までの通路スペースのこと。プランニングによって、日々の使い勝手はもちろん、住まいの印象を左右する大切な空間です。ここでは、新築やリフォームの際に、知っておきたい玄関アプローチの考え方やプランニングのポイントをみていきます。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

玄関アプローチとは、門から玄関までの通路スペースのこと

玄関前にゆったりとしたスペースを設け、清潔感のあるタイルと植栽を組み合わせた開放的な玄関アプローチ。[和風フロアタイル]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

玄関前にゆったりとしたスペースを設け、清潔感のあるタイルと植栽を組み合わせた開放的な玄関アプローチ。[和風フロアタイル(INAX)]  LIXIL

アプローチとは、一般的に、門(敷地境界線)から玄関までの通路のこと。ファサード空間などと呼ばれることもあるようですが、道路などのパブリックな空間からプライベートな空間をつなぐ、導入のスペースといえるでしょう。

外出する際には、気持ちを切り替える空間となるかもしれませんし、帰宅時にはホッとできる場となることも。また、お客様に対しては、わが家のイメージを印象づける大切なスペースとなります。ゆとりある空間を確保するのは難しいケースも多いかもしれませんが、プランニングや素材などの選び方次第で、わが家ならではの心地よく、使い勝手のいいアプローチを実現することはできるでしょう。

Point1 エクステリア全体、建物の間取りプランと同時に検討する

シンプルな門扉やフェンスで境界を明確にしながら、玄関扉と門袖のイメージを揃え、明るい雰囲気のアプローチに。[エクステリアコーディネイト ナチュラルモダン] undefined YKK AP http://www.ykkap.co.jp/

シンプルな門扉やフェンスで境界を明確にしながら、玄関扉と門袖のイメージを揃え、明るい雰囲気のアプローチに。[エクステリアコーディネイト]   YKK AP

アプローチをプランニングする場合は、道路付けや敷地条件はもちろん、外観やエクステリアに合わせて、トータルに考えることが大切です。特に、前面道路と接するカーポートなどとのスペース配分や動線など、充分に検討するようにしましょう。

もちろん、建物の間取りプランも考慮しておくことも重要なポイント。たとえば、トイレやバスルームなどの前を通るようなアプローチプランは避けたほうがいいでしょうし、アプローチからリビングでくつろぐ姿が見えてしまうのも落ち着かないでしょう。プライベート空間と干渉してしまう場合は、植栽やパーテーションなど、目隠しを設ける工夫が必要になるかもしれません。

Point2 道路から玄関扉までのスムーズな動線を確保する

プランニングの基本は、道路から玄関までのスムーズな動線に配慮すること。道路から敷地に入る、門を開閉する、玄関ポーチまで歩く、玄関扉の前に立つ、という流れをイメージしながら検討することが重要です。

毎日、行き来するスペースなので、動線は短い方が使い勝手はいいものですが、住まいの印象を左右する空間でもあるため、効率性だけではなく、ゆとりを感じるような演出も考えるようにしたいものです。

Point3 空間に奥行を感じさせるように工夫する

外観のデザインと一体化したようなデザインが特徴。門扉から玄関扉を見せず、奥行きを出したプラン。 [シャローネ 門扉EA型 HP] undefined YKK AP http://www.ykkap.co.jp/

外観のデザインと一体化したようなデザインが特徴。門扉から玄関扉を見せず、奥行きを出したプラン。 [シャローネ 門扉EA型 HP]   YKK AP

道路からすぐ近くが玄関ポーチという場合でも、敷地外からの「間」をとるために、門から玄関扉までは、ある程度の距離を確保する工夫をした方がいいでしょう。少し長めに歩く、もしくは長く歩いたように感じさせるプランを検討することがポイントです。

たとえば、門から玄関ポーチを最短距離で結ばす、カーブを持たせたり、ジグザグに敷石を置くことで、ゆとりを持たせたり、樹木や塀などで、視線を遮りつつ奥行を感じさせるようなプランなど。道路から玄関扉がすぐに見えてしまわないように、少しずらしたり、向きを変える、という方法も考えられます。また、敷地条件や家族構成にもよりますが、段差をつけたり、数段の階段を設けるなどして、立体的に動きを出してもいいでしょう。

Point4 アーチや門柱、スクリーン、植栽など上手に組み合わせる

門柱や格子状のスクリーンなど、さまざまなアイテムを用いて、エクステリアをトータルにプランニング。[エクステリアコーディネイト] undefinedYKK AP http://www.ykkap.co.jp/

門柱や格子状のスクリーンなど、さまざまなアイテムを用いて、エクステリアをトータルにプランニング。[エクステリアコーディネイト]  YKK AP

エクステリアメーカーからは、門扉やフェンスなどだけでなく、玄関アプローチをさまざまに構成することができる、アイテムやパーツも多くみられるようになりました。 門柱や門袖壁、アーチやスクリーン部材など、用途に合わせてプランニングすることが可能なタイプが揃っており、開放的にも、ある程度閉鎖的にも、自由に組み合わせることができるのが魅力です。植栽とコーディネートすることで、わが家ならではのアプローチプランとなるでしょう。

Point5 床面部分は、安全性に配慮した素材を選ぶ

芝生と床材を組み合わせ、玄関まで誘うようなアプローチスペースに。門塀を設けて、緩やかにプライバシーを確保。[LIXILカーポートSCundefined施工例 33-57型undefined柱・梁:ブラックundefined屋根材:ナチュラルシルバーF]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

芝生と床材を組み合わせ、玄関まで誘うようなアプローチスペースに。門塀を設けて、緩やかにプライバシーを確保。[LIXILカーポートSC 施工例 33-57型 柱・梁:ブラック 屋根材:ナチュラルシルバーF]  LIXIL

アプローチの床面部分には、石やレンガ、タイル、コンクリートなどを用いるのが一般的。植栽や芝生などと組み合わせるなどして演出することも多いでしょう。石やタイルなどは、素材もデザインも豊富なので、洋風のエクステリアでも和の雰囲気でも取り入れることが可能です。

どのような素材を選ぶにしても、基本的には、歩きやすい大きさやデザイン、雨や泥などでも滑りにくく安全性の高いものを選ぶことがポイント。幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃる場合には、特に注意が必要です。 また、掃除のしやすさも配慮しておきたいもの。汚れにくい素材かどうか、お手入れ方法など、事前に確認するようにしましょう。

Point6 死角のないプランや照明計画で、防犯面にも配慮する

複数の照明を組み合わせ、足元の安全を確保するとともに、玄関アプローチを印象的な空間に。[テグランネオundefined施工例]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

複数の照明を組み合わせ、足元の安全を確保するとともに、玄関アプローチを印象的な空間に。[テグランネオ 施工例]  LIXIL

エクステリア全体はもちろんですが、アプローチプランを検討する際にも防犯面に意識をしておくことは大切です。死角になりやすいプランや潜めるような場所をつくらないようにすることが基本。アプローチから直接、庭や家の裏手につながるようなプランの場合などは、特に注意が必要でしょう。

また、防犯面だけでなく安全面からも照明プランは充分に検討したいものです。特に、門灯や玄関灯(ポーチ灯)などは、必要な明るさの確保を。センサー付きの照明などを設けてもいいでしょう。もちろん演出面での灯りも意識しておきたいもの。植栽を照らしたり、玄関へ誘導するような灯りを設けるなど、夜間の景観に配慮しておくことも必要でしょう。

新築の際、住まいの外まわりは、建物本体に比べてどうしても後まわしになりがち。竣工後、ゆっくりアプローチを検討しようと思っても、駐車スペースとの関係、外まわりに設置された排水枡やメーター類、配管などによって、プランに影響が出ることもあるかもしれません。快適で使い勝手のいいアプローチを実現するためは、建物だけではなく、敷地の中をどうプランニングするか、建物も外まわりも同時に考えることが大切です。


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