フジテレビ系列、今年の27時間テレビはSMAP総合司会による「武器はテレビ。SMAP×FNS 27時間テレビ」。ウリの一つとしてSMAP全員出演のドラマ『俺たちに明日はある』がありました。「SMAP解散?」という噂が流れ、それに対する本人たちのリアクションと日常、著名人のコメントなどで多様な視点からSMAPを捉え直すという趣向のドラマです。

フェイク・ドキュメンタリー

ドキュメンタリー番組のようで実はフィクションというスタイルの作品は、「フェイク・ドキュメンタリー」あるいは「モキュメンタリー」と呼ばれています。この形式で日本で成功した作品というと、フジ系で2003~2006年に放送された『放送禁止』シリーズがあります。「ある事情で放送禁止となった取材映像を再編集し放送する」という設定で、最期にどんでん返しがありドキュメンタリーとして見ていた視聴者をかなり驚かせました。テレビで6作、劇場版が2作制作されたのでマイナーながらヒット作といっていいでしょう。

今回の『俺たちに明日はある』に近い形では、TBS系月曜ゴールデン枠で2007年に放送された『和田アキ子殺人事件』があります。内容はタイトルのまんまで、和田アキ子が殺されたという設定で多数の芸能人が証言者として、また容疑者として出演するというドラマでした。

事実と思わせないと

今回の『俺たちに明日はある』の評価は賛否両論分かれています。ガイドの感想としてはまず前提となる「SMAP解散」というのにリアリティが低かったのが問題ではないかと思います。

たしかに解散の噂は過去にもありました。しかしSMAP総合司会の27時間テレビをするのは「フジテレビはしばらくSMAPメインでいく」ということでしょうから、ここで解散はないだろうと思ってしまいます。全盛期のフジテレビなら力技で説得力を持たせることもできたでしょうけど、現在では難しい。

ドラマの結末で「SMAP解散」を発表するかも?と思わせないと、単なるドキュメンタリー形式のドラマになってしまい、フェイク・ドキュメンタリーとしては成立しません。

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長時間テレビはMCがヘロヘロになれ

一方、27時間テレビ全体としてはSMAPが体を張ったこともあり好評で、視聴率も前年よりアップしました。一番のハイライトは最後の27曲45分間のライブ。中居正広が不調により途中で一時退場しつつも、最後まで出演し続けた姿は、多くの人の感動を呼びました。

ひさびさにメインMCがヘロヘロになる長時間テレビをみた気がします。日本の長時間テレビ企画が始まったのは1978年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』から。総合司会は萩本欽一と大竹しのぶで、終盤はかなり疲れていました。限界まで力を入れるからこそ視聴者にも思いが伝わる。これが長時間テレビの醍醐味だと思います。

ところが最近の長時間テレビは最後までMCが元気です。いつ頃から疲れなくなったのか?記憶をたどると90年代初めぐらいに行き当たりました。


代わりにマラソンランナーが

日本テレビに対抗してTBSが1992年に長時間テレビに挑戦。年末12月30~31日に『元旦まで感動生放送!史上最大39時間テレビ ずっとあなたに見てほしい 年末年始は眠らない』を放送。しかし全体に盛り上がらず、さんざんなデキでした。総合司会の筑紫哲也、放送開始時は「この企画は21世紀まで続けます」といっていましたが、締めの挨拶では疲れて「21世紀まで続けるとTBSはいっています」と暗に「自分はもうしない」と匂わせていました(記憶なのでいった言葉の詳細は違っているかもしれません)。

そしてその反省か、翌1993年には大幅に企画を変えて『関口宏の報道30時間テレビ』で報道メインに。これを見ていて「関口宏が最後まで元気だ」と違和感を持った記憶があります(報道なんだから疲れてなくてもいいんでしょうけど)。

そして『24時間テレビ 愛は地球を救う』のチャリティーマラソンが始まったのは相前後して1992年から。最初はウルトラマラソンを得意とする間寛平ありきの企画だったのでしょうが、好評により毎年ランナーを変えて24時間テレビの柱に。総合司会が疲れる代わりにヘロヘロな姿を見せるために定着したんじゃないかと思います。

 

SMAP vs. TOKIO?

そして今年のチャリティマラソンのランナーは城島茂。それを考えるとSMAPが27時間テレビ総合司会だったのは日本テレビ対抗ということがあったのかもしれません。

『ザ!鉄腕!ダッシュ!!』が好評なTOKIOとリーダー城島に対して、体当たり企画に挑戦するSMAPとリーダー中居、という構図は非常に似ています。もしかしたら最後にヘロヘロになったのも筋書きがあった? と邪推したくなります。そんなことはないでしょうが、番組を盛り上げた腕はさすがです。
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