うだるような暑さの毎日ですが、フィギュアスケートの世界では、次のシーズンが始まろうとしています。ジュニアの選手たちはそろそろ試合が始まるころ、シニアの世界トップ選手たちも10月にはシーズンインしていきます。シーズンイン前の今は、新しいプログラムができあがっている時期です。


羽生選手のフリーは「オペラ座の怪人」

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先日、羽生結弦選手の新プログラムが発表になりました。

すでにアイスショーで演技を披露しているショートプログラムは『バラード第1番ト短調』(ショパン)。そして、フリーが『オペラ座の怪人』とのこと。6月下旬の「新シーズンの息吹…シーズンオフのフィギュア選手たち」でも紹介しましたが、今シーズンから男女シングルやペアでもボーカル入りの曲が使えるようになったため、さっそく、男性の歌声が入ったバージョンを使用します。まだプログラムの全貌は明らかになっていませんが、いったいどんなプログラムになるのか、いまから楽しみです。

「オペラ座の怪人」の当たり年

ときどき、なぜか選手たちの使用曲がある曲やジャンルに集中することがあります。数年前にはマイケル・ジャクソンの曲を、またなぜかタンゴを使う選手の多いシーズンもありました。

今シーズンは、『オペラ座の怪人』を使う選手が少し多いような気配、『オペラ座の怪人』の当たり年のようです。

羽生選手のほかに無良崇人選手、村上佳菜子選手、アメリカのグレイシー・ゴールド選手もこの曲を使うようです。しかもその4選手とも、11月下旬のNHK杯に出場する予定。これはかなり珍しいことです。

この4選手の『オペラ座の怪人』、すべて違う振付師による作品だというのも見どころになりそうです。シェイ=リーン・ボーン(羽生)、トム・ディクソン(無良)、パスカーレ・カメレンゴ(村上)、ローリー・ニコル(ゴールド)は、いずれも世界的な振付師たち。選手の演技だけでなく、振付けの違いや選ぶ曲のチョイスの味わいなどにも注目してみるのもいいですね。

これまでに『オペラ座の怪人』を使った選手たち

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『オペラ座の怪人』はもともととても有名で、フィギュアスケートでは何度も繰り返し使われてきた曲です。男性の怪人と女性のクリスティーヌと、主要登場人物が2人いるため、男女ともに使えるし、また、ペアやアイスダンスなどカップル競技でも物語に入り込みやすいからです。もちろん、曲が持つ劇的で切ないテイストも、フィギュアスケートにぴったり合っています。

そのため、これまでにこの曲をつかったスケーターもたくさんいます。
多くの人がぱっと思い浮かべるのが、2006-07シーズンの高橋大輔選手のプログラムでしょう。2007年の世界選手権で、銀メダリストになったときのフリーでした。また、ほぼ同時期の2005-06、2006-07シーズンには、神崎範之さんもフリーでこの曲を滑っていましたし、2009-10、2010-11シーズンには、パトリック・チャン(カナダ)もこの曲をセレクトしています。

1996-97シーズンのイリーナ・スルツカヤ(ロシア、ショートプログラム)、2006-07、2007-08シーズンのキーラ・コルピ選手(フィンランド、フリー)、2009-10シーズンの中野友加里さん(ショートプログラム)、2004年3月に世界チャンピオンになった直後には荒川静香さんがエキシビションで、記憶に新しいところでは、鈴木明子さんが昨シーズンのフリーで『オペラ座の怪人』を使っています。

また、ぜひ見ていただきたいのが、2005-06シーズンのマルガリータ・ドロビアツコ&ポヴィラス・ヴァナガス(リトアニアのアイスダンスカップル)のフリー。そして、2005-06、2006-07シーズンの2年間、フリーで使った、ペアのチン・パン&ジャン・トン(中国)の演技です。同じ『オペラ座の怪人』の曲でも、カップル競技で使うとまた違った広がりが見られることに気づくかもしれません。

おとなの夏休みのテーマに

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少し探してみるだけで、これだけの『オペラ座の怪人』があります。もちろん、先ほど挙げたほかにもたくさんのスケーターがこの曲で、それぞれの世界観を表現してきました。

おとなになった今、夏休みの宿題のように、様々な『オペラ座の怪人』プログラムを振り返るのも、ちょっとした楽しみになるかもしれません。

また、DVDなどで『オペラ座の怪人』のミュージカル映画を鑑賞してからスケーターの演技を見ると、さらに、プログラムのストーリーを感じられることでしょう。

まずは『オペラ座の怪人』を軸にして、過去の選手たちの演技に触れたり、知らなかったことを発見したりと、フィギュアスケートから派生する楽しみに浸り、その後また別の曲をテーマにして……という具合に、新シーズンにむかう夏を過ごすのもいいかもしれません。
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