握手会は大丈夫? 手から手への細菌移動に要注意

握手

一般的な挨拶として、「握手」があります

衛生面の意識の高まりに伴い、挨拶の仕方は見直されていくのかもしれません。アメリカなどでは握手に替わって、「グータッチ(英語名で fist bump)」が一般的になりつつあるようです。これはオバマ前大統領も行っていたコミュニケーション方法です。

2013年、Ghareeb先生が『J Hosp Infect.』という雑誌に報告した内容によると、握手は手から手への細菌の移動が多く、約80%の人に病原性のある細菌が残っているようなのです(Ghareeb PAらの報告 Reducing pathogen transmission in a hospital setting. Handshake versus fist bump: a pilot study. J Hosp Infect. 2013 Dec;85(4):321-3)。

握手による細菌移動は「グータッチ」の10倍以上?! 

グータッチ

グータッチ、英語ではfist bumpと言います。つまり、グータッチは和製英語です

前述に引き続き、Ghareeb先生らの実験によると、握手によって細菌が移動した数は、このグータッチによる移動数のなんと10倍以上。

グータッチが握手に比べ、細菌の移動が少ない理由としては、
  • 接触する部分が狭いこと
  • 接触する時間が短いこと
  • グータッチによって接触する部分は、指や掌と違って、口に入れるものを触りにくい
などが挙げられます。

ただし、接触する面積の広さ、時間などが大きいほど、より身近に感じやすくなるもので、スキンシップと言う点では、握手の方が密着度が高い分、グータッチよりも親しみ深い挨拶と感じられるのではないでしょうか。握手をするのであれば、食事前などの手洗いは欠かさず行いましょう。補足ですが、握手ほどではないものの、ハイタッチでも細菌は移動するようです。

手は細菌だらけ! 栄養が豊富で、菌の増殖にはぴったりの環境

人の手には、多種多様な細菌が付着しています。これは日常生活の中で、色んな所を触るので当たり前のことですが、そもそも細菌は様々な所に居て、環境さえ整えば短時間で増殖していくのです。手は温度や汗、皮脂などの栄養が豊富なので、増殖するには最適な環境だといえます。短時間で手に増殖した細菌が、握手することで移動し、さらに相手の手でも増殖するわけです。

汚染された手で食事をすれば、細菌もともに体内に侵入します。どうしても掌と指を使うことが多いので、この部位は特に要注意。移動した細菌が口から入ってきて病気を起こすことになります。前述のとおり、握手では指と掌が密接に接触するため、接触面積がグータッチに比べると多く、細菌が移動しやすいのです。

医療従事者間の感染拡大予防原則は、手洗いまたは手袋。特に抗菌薬に耐性であるブドウ球菌は、人の手を介して拡大することが判っているため、手洗いが重要です。

感染予防にはまず手洗いの習慣を! 正しい方法と注意点

手洗い

石鹸を泡立てて、しっかりと指の先まで洗うことが大切です

細菌だけでなく、インフルエンザやノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルス感染予防でも手洗いは重要です。注意点を以下に挙げます。
  • 十分に石鹸で泡立てる
  • 手全体をすり合わせる
  • 指の間をしっかりと洗う
  • 手首までしっかりと洗う
  • 爪に間、指先をすり合わせる
  • 様々な方面で5回ずつすり合わせる
  • 流水を使用し、しっかりと洗い流す
  • できれば、ペーパータオルを使用する
  • 蛇口を閉める時には使用したペーパータオルを使用する
理想はこのように、5回ずつしっかりと洗うことが大切です。流水だけでも、アルコール消毒でも細菌を減らすことができるので、無理のない程度にできる範囲で感染予防を続けていきましょう。  もちろん、手洗い後のアルコール消毒も効果的です。細菌やインフルエンザなどのウイルスにはアルコールは殺菌効果があります。しかし、ノロウイルスやロタウイルスには効果がないため、アルコール消毒すれば大丈夫といった過信は良くないでしょう。

ただ、上記のような手洗いをしても常在菌は残ってしまうため、細菌の移動を減らす方法の1つとして、握手に替わりグータッチが注目されているワケです。

握手という形にこだわらずにスキンシップを取りたいのなら、衛生的な観点からグータッチがおすすめです。 今はかなりカジュアルな印象が強く、日本で浸透しているとは思えませんが、アメリカでは徐々に一般化していることを考えると、アイドルとのコミュニケーションも、いつの日か「握手会」から「グータッチ会」に替わる時が来るのかもしれません。応援しているアイドルなら、手に付いた細菌まで欲しいと思う熱狂的なファンもいるかもしれませんが……。

手洗い方法については、厚生労働省の「手洗いの手順」を参考にして下さい。
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