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アイスショーでの一枚。脚を180度開いて進むスプレッド・イーグルが美しい。

何度見返しても涙腺がゆるんでしまう……フィギュアスケートを見ていると、そんな演技に出会うことがあります。

ソチ五輪の1年ほど前、大阪で開催された四大陸選手権でも、そんな演技をみせた選手がいました。フィリピンの男子シングル選手、クリストファー・カルーザ(24歳)です。

フリーの演技中、ジャンプが決まるたびに笑顔になって会場をどんどん引き込み、演技後にはリンクに倒れて喜びの涙を見せた彼を、観客は、スタンディングオベーションでたたえました。

今回は、そのカルーザ選手へのインタビューです。アメリカに生まれ育って、全米選手権にも出ていたことのある彼は、仲間との写真なども提供してくれました。 カルーザ選手は、2014年世界選手権19位。アメリカ・カリフォルニア州在住で、日々、スケートの練習に取り組んでいます。

世界で戦うための経験ができた

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後ろはグレイシー・ゴールド選手。一緒にジャグリングをしたときの一枚。

――2013年2月の四大陸選手権以来の日本での大会、世界選手権(2014年3月)はいかがでしたか?
「日本でシーズンを終えられて、すごく嬉しかったです。日本で滑るのは、本当にアメージングだから。それに2013-14シーズンは、これまで以上に世界で戦うレベルのスケーターとなるための、いい経験ができたと思います」

――日本のファンは、あなたの演技のことも、楽しみにしていました。
「はい、それはすごく感じました。名前をコールされたときに大きな拍手や歓声が聞こえてきて、みんなが自分を応援してくれているのがわかって、すごく嬉しかったです。歓声を聞いて、僕のコーチもとても喜んでいました。日本のファンは、スケートをよく知っていますよね。サッカーの試合会場に来たのかと思っちゃった(笑)」

ソチ五輪に出場できなかったこと

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――昨2013-14シーズンは残念ながら、ソチ五輪に出場することができませんでした。(フィリピンは男子シングルに1枠あったが、前年10月にはすでに、17歳のマルティネス選手が出場することが決定)。シーズン序盤に五輪に行けないとわかったことを、どう乗り越えて世界選手権にまでつなげてきましたか?
「物事には、どんなことにも理由があると思うんです。だから、あの経験を受けて、僕は前を向いて進んでいかなければならないと思いました。人生とはそういう(1つのことに落ち込んでとどまらず、再び前にむかって進んでいく)ものだし、特にフィギュアスケートとはそういうものだからね。残念な日にも、前に進んでいかないと。(ソチ五輪に出場できないとわかったところに)とどまっていたくなかったので、進んできたんです。それが、世界選手権のいい演技につながったと思っています」

―――これまでインスパイアされてきたスケーターや、好きな選手はいますか?
「たくさんいすぎて(笑)。最初に好きになったのは、タラ・リピンスキー(アメリカ、1998年長野五輪女子シングル金メダリスト)です。すごく小さかったのに、すごく輝いてにこにこしていて、五輪で目が離せなかったから。それからもちろん、ミシェル・クワン(アメリカ、1998年長野五輪女子シングル銀メダリスト、2002年ソルトレイクシティ五輪銅メダリスト)も。スパイラル(片足を腰より上にあげて滑る技)が素晴らしかったですよね。彼女のスパイラルを見たから、僕もプログラムの中でスパイラルをしているんです。昨シーズンのショートプログラムも、スパイラルから演技が始まってます」

試合より、まずトリプルアクセルを

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2010年バンクーバー五輪男子シングル金メダリストのエヴァン・ライサチェクと一緒に。

――カルーザ選手のスパイラルは、とても印象的ですよね。2014-15シーズンは、どの試合に出る予定ですか?
「今シーズン、試合に出て戦っていくのかどうか、まだわかりません。もちろん、試合にはすごく出たいんだけど、ISU(国際スケート連盟)の大会でレベルの高い選手だと認識されるためには、まずトリプルアクセルが大切。だから今、トリプルアクセル(を試合で跳べるようになること)に集中しているところです。(出たいと思ったら)試合には出られるんだけど、たとえすごくいい演技ができたり、すごく印象的な演技ができたりしたとしても、トリプルアクセルがないと、やっぱり(順位が)下のほうになるってこと、2014年(3月)のさいたまでの世界選手権でも証明されているし。だから、まずはトリプルアクセルをきちんと跳べるようになることに集中していこうと思っています」

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ラホヤ(アメリカ・カリフォルニア州)にて。

――ご自分はどんな性格の持ち主だと思いますか?
「自分らしくいることが大事だよね。僕は、完璧な人間ではありません。でもいつもgood personでいたいと思っています。僕はそういう人になりたいなあ」

 
今シーズン、試合よりもトリプルアクセルに集中したい、というコメントに少々驚かされましたが、彼の言う通り、試合でトリプルアクセルを確実に決めたら、一気に評価も高まるところまで来ています。

カルーザ選手の演技は、youtubeなどの動画サイトでも見ることができます。
おすすめは、彼のことをまったく知らなくても胸に迫ってくる、2013年四大陸選手権フリーの演技です(動画サイトでの検索時のキーワードは、「2013 4CC CALUZA FS」で)。4分半ほどの演技、ぜひ楽しんでみてください。
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