2014年7月のオススメ展覧会・美術展

インパクトの強いポスターも注目 東京国立近代美術館『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより』

インパクトの強いポスターも注目 東京国立近代美術館『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより』

なんとインパクトの強い画像! これは、現在開催中の『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより』のポスターです。すごいポーズを取っているのは、スーパーモデルとして名高いケイト・モス! 今月はこちらのポスターのように印象に残る展覧会が目白押しです。


◎2014年7月のオススメ美術館-目次-
国立新美術館(六本木):オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由-
泉屋博古館 分館(六本木):没後50年 回顧展 板谷波山 —光を包む美しきやきもの
国立近代美術館(竹橋):現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより
森アーツセンターギャラリー(六本木):特別展 ガウディ×井上雄彦 ‐シンクロする創造の源泉‐
札幌市全域(北海道札幌市):札幌国際芸術祭2014

さまざまな美術の潮流を俯瞰し、印象派誕生、その発展までの流れをたどる
国立新美術館(六本木):オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由-

エドゥアール・マネ  《笛を吹く少年》  1866年 油彩/カンヴァス 160.5×97cm ?RMN-Grand Palais (mus?e d'Orsay) / Herv? Lewandowski / distributed by AMF

エドゥアール・マネ 《笛を吹く少年》 1866年 油彩/カンヴァス 160.5×97cm ©RMN-Grand Palais (musee d'Orsay) / Herve Lewandowski / distributed by AMF

年齢、性別を超えて多くの人に愛されている印象派の絵画。人々の心をつかむこれらの絵画は、どうして生まれたのでしょう? 

もちろん、モネやルノワール、ドガやセザンヌは、ある日突然揃ってあのような絵を描きはじめたわけではありません。それまでの社会事情や技術革新、価値観の変化などおおきな「うねり」が影響しています。
この印象派が生まれた足跡を、オルセー美術館の作品を通じて紐解いていこうとするのが、この展覧会です。

印象派が生まれるうえで、欠かすことができないキーパーソンであるマネ(とはいえ、マネは決して印象派のグループに入ろうとせず、独自の世界を貫き通しました)。彼が描いた、世界で一番有名な少年と誉れの高い《笛を吹く少年》も来日しています!

クロード・モネ  《サン=ラザール駅》  1877年undefined油彩/カンヴァスundefined75×105cm ?RMN-Grand Palais (mus?e d'Orsay) / Herv? Lewandowski / distributed by AMF

クロード・モネ 《サン=ラザール駅》 1877年 油彩/カンヴァス 75×105cm ©RMN-Grand Palais (musee d'Orsay) / Herve Lewandowski / distributed by AMF

オルセー美術館からやってきた全84点の作品は、歴史画や肖像画、自然主義など、当時のさまざまな美術の流れを網羅。モローやカバネルの大きく、荒々しい歴史画が並ぶ空間を抜けると、自然の風景を切り取った印象派の画家たちの作品で構成された空間が広がります。美術の歴史の流れを俯瞰してから印象派の絵画を見ると、その絵画が生まれた理由が感覚的にわかってきます。なによりその壮大な抜けが気持ちいい!

鉄道が開通するなど都市化が進むパリのなかで、大きく変わっていく芸術の流れを、ゆっくりとお楽しみください。


■DATA 国立新美術館(六本木):オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由-
展覧会名称:オルセー美術館展 印象派の誕生 -描くことの自由-
会場:国立新美術館 企画展示室2E
会期:2014年7月9日(水) ~10月20日(月)
開館時間: 10:00~18:00
※金曜日、8月16日(土)以降の毎週土曜日、および10月12日(日)以降は毎日20時まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 火曜日
※ただし、8月12日(火)、9月23日(火・祝)、10月14日(火)は開館、9月24日(水)は休館
Web: http://orsay2014.jp/

次のページでは泉屋博古館 分館(六本木):没後50年 回顧展 板谷波山 —光を包む美しきやきものを紹介します。

いつまでも新しい、陶芸の革命家
泉屋博古館 分館(六本木):没後50年 回顧展 板谷波山 —光を包む美しきやきもの

明治後期から昭和中期にかけて活動した日本の陶芸家、板谷波山。彼はあらゆる面で陶芸に新風を吹き込み、日本の近代陶芸を大きく躍進させました。

葆光彩磁孔雀尾文様花瓶 板谷波山 大正3年頃(c.1914) 茨城県陶芸美術館

葆光彩磁孔雀尾文様花瓶 板谷波山 大正3年頃(c.1914) 茨城県陶芸美術館


たとえば《葆光彩磁(ほこうさいじ)孔雀尾文様花瓶》の文様。これは、アール・ヌーヴォーの意匠を研究し、陶芸に取り入れたもの。優雅な曲線と淡い色合いが美しい!板谷は得意の彫刻技術で陶磁器に浮き彫りをほどこしたり、さらに「葆光彩磁」という、つや消しの技術を独自に編み出すなど、それまでだれもやってこなかった技法を編み出していきました。

葆光彩磁葡萄唐草文花瓶 板谷波山 大正4年頃(c.1915) 泉屋博古館分館

葆光彩磁葡萄唐草文花瓶 板谷波山 大正4年頃(c.1915) 泉屋博古館分館

《葆光彩磁葡萄唐草文花瓶》もその技法が凝らされた傑作の一つ。鮮やかな色をつけた花瓶に、透明ながらもマットな釉薬をほどこし、落ち着きのある風格を身につけています。作品をよく見てみると、葡萄の実をつけた唐草文様が薄肉彫りであらわされ、つや消しの白地の部分が、まるで内側から発光しているかのように見えます。

この展覧会は彼の没後50年を記念して開催されたもの。どのように作品を作っていったのかを丹念に辿っています。

■DATA 泉屋博古館 分館(六本木):没後50年 回顧展 板谷波山 —光を包む美しきやきもの
展覧会名称:没後50年 回顧展 板谷波山 —光を包む美しきやきもの
会場:泉屋博古館 分館
会期:2014年6月14日(土) ~8月24日(日)
開館時間: 10:00~16:30
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日
Web: http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/

次のページでは東京国立近代美術館(竹橋):現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションよりを紹介します。

たったひとりで作り上げた珠玉のコレクター
東京国立近代美術館(竹橋):現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより


杉本博司《最後の晩餐》 1999年 ヤゲオ財団蔵 ?Hiroshi Sugimoto/ Courtesy of Gallery Koyanagi

杉本博司《最後の晩餐》 1999年 ヤゲオ財団蔵 ©Hiroshi Sugimoto/ Courtesy of Gallery Koyanagi


冒頭のページに掲げた作品マーク ・ クイン 《ミニチュアのヴィーナス》や、杉本博司《最後の晩餐》をはじめ、マーク・ロスコやグルスキー、 ウォーホルなど、現代美術の珠玉の作品を収集し、家に飾って楽しんでいる台湾のコレクター、ピエール・チェン氏。

この展覧会は彼や彼の家族が創立したヤゲオ財団が所有する現代美術の中核(ハードコア)の作品を集め、さまざまなキーワードを用いながら展示するというものです。

また、意欲的な試みとして、美術作品についての美的な価値だけでなく、経済的な価値についても考えるきっかけを、鑑賞者に多く投げかけています。

ギャラリーと異なり、作品に値札がついていない美術館は、絵を見るときに「価値」について考える機会があまりありません。けれども、この展覧会に関しては、コレクターになりきって市場評価額を予想し、50億円分の作品を購入するアトラクションが容易されていたりと、かなり大胆に美術とお金の関係に切り込んでいます。よくわからない、と思われてことが多い現代美術ですが、もしかしたらこのアプローチのほうが、とっつきやすい方も多いかも!?

展覧会タイトルが示す通り「宝」について考えさせてくれる、興味深い展覧会です。


■DATA 国立近代美術館(竹橋):現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより
展覧会名称:現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより
会場:東京国立近代美術館
会期:2014年6月20日(金)~8月24日(日)
開館時間: 10:00~17:00(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日、7月22日(日)
※7月21日(月・祝)は開館
Web: http://www.momat.go.jp

次のページでは森アーツセンターギャラリー(六本木):特別展 ガウディ×井上雄彦 ‐シンクロする創造の源泉‐を紹介します。

建築家と漫画家、ふたりの才能のコラボレーション
森アーツセンターギャラリー(六本木):特別展 ガウディ×井上雄彦 ‐シンクロする創造の源泉‐

井上雄彦undefined≪トネット≫undefined2013年undefined?I.T.Planning  トネットとはガウディの幼少期の愛称

井上雄彦 ≪トネット≫ 2013年 ©I.T.Planning トネットとはガウディの幼少期の愛称

19世紀から20世紀にかけて、バルセロナの町を中心に活躍した稀代の建築家、アントニ・ガウディ。未だに建設中の《サグラダ・ファミリア》、タイルモザイクと曲線美に満ちた《グエル公園》や《カサ・ミラ》など、ひと目みたら忘れられない空間を作り上げました。

ひとつとして同じような建物を造らず、時には野心的に、ときにはストイックに生きてきたガウディ。ながびく片想いに悩んだり、突然断食をはじめて周囲を驚かすなど、彼の建物のみならず、人物そのものに魅了されたのが、『SLAM DUNK』をはじめ、『バガボンド』『リアル』を描いてきた漫画家の井上雄彦。

この展覧会はガウディの足跡を、親子二代にわたってガウディと作品を作りつづけたマタマラのスケッチなどをはじめとするさまざまな資料や展示物からたどり、そして井上雄彦の描きおろしの絵とともにガウディの本質に迫るもの。世界最大級の手漉き和紙に描かれた墨絵は必見です。

ジュアン・マタマラundefined≪サグラダ・ファミリア聖堂内観≫undefined1949年undefined?C?tedra Gaud?

ジュアン・マタマラ ≪サグラダ・ファミリア聖堂内観≫ 1949年 ©Catedra Gaudi

ガウディと井上雄彦、その緻密で丁寧にものごとを見つめる「眼」、そして作り上げる「力」という共通点が織りなす新しい形の展覧会です。


■DATA 森アーツセンターギャラリー(六本木):特別展 ガウディ×井上雄彦 ‐シンクロする創造の源泉‐
展覧会名称:特別展 ガウディ×井上雄彦 ‐シンクロする創造の源泉‐
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2014年7月12日(土) ~9月7日(日)
開館時間: 10:00~20:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 無休
Web: http://www.gaudinoue.com/

次のページでは札幌市全域(北海道札幌市):札幌国際芸術祭を紹介します。

北の大地ではじまる新しい芸術祭
札幌市全域(北海道札幌市):札幌国際芸術祭2014

モエレ沼公園 ガラスのピラミッド「HIDAMARI」

モエレ沼公園 ガラスのピラミッド「HIDAMARI」

全国各地でで行われている芸術祭。夏休みの旅行先として選んでいるアート好きの方も多いはず。そのなかでも今年注目なのは、新しく始まる札幌国際芸術祭2014。

さまざまな文化が混ざり合う北海道。政令都市でありながら自然に恵まれた都市、札幌で長年望まれていた芸術祭がとうとうはじまります。芸術祭は「都市と自然」がメインテーマ。

ゲストディレクターに就任したのは、アーティストの坂本龍一。残念ながら、先日長期休養が発表されましたが、彼の思いは現実のものとなり、芸術祭の細部に宿っています。

会場は札幌中心部の美術館や、地下歩行空間「チ・カ・ホ」など、モエレ沼公園や札幌芸術の森美術館などのほかは、徒歩圏で行ける場所が多く、まちあるきを楽しみながら芸術祭を楽しめそうです。

中谷 芙二子(Fujiko Nakaya)  〈参考作品〉  《Fog Sculpture #47636 “風の記憶”》2013  豊田市美術館での展示風景undefined  Photo: 谷川寛

中谷 芙二子(Fujiko Nakaya) 〈参考作品〉 《Fog Sculpture #47636 “風の記憶”》2013 豊田市美術館での展示風景  Photo: 谷川寛

注目は中谷芙二子の「霧の彫刻」のシリーズ。実体のない霧を題材にすることで世界的に注目されている中谷は、札幌国際芸術祭では札幌芸術の森美術館の中庭で人工霧を滝に見立てた新作《FOGSCAPE #47412》を発表するとのこと。夏の北海道で、どのような作品になるのか注目です。


■DATA 札幌市全域(北海道札幌市):札幌国際芸術祭2014
展覧会名称:札幌国際芸術祭2104
会場:北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)、北海道庁赤れんが庁舎、モエレ沼公園、札幌市資料館、札幌大通地下ギャラリー500m美術館 ほか
会期:2014年7月19日(土)~9月28日(日)
開館時間: 会場により異なる
休館日: 会場により異なる
Web: http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/

以上、7月のオススメ展覧会でした!

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