40年後の年金給付額は現役世代の約40%?

2014年6月3日に公表された「公的年金の財政検証」(社会保障審議会年金部会)によると、労働力が減少し経済が低迷する最悪のケースでは、40年後の年金の給付水準は現役世代の収入の約40%になる、とあります。2014年は62.7%で、2019年には59.9%、2036年50.0%、2055年に39.0%、との試算でした。

 
少子高齢化の影響で、公的年金だけ老後の生活を賄うことはできない。

私が定年になるころ年金給付額は減りそう。老後資金の準備は万全にしておきたい。



 
これとは別に2016年の年金改正で、年金給付額にすぐに反映する次の2つが決まりました。
  • マクロ経済スライドによる調整ルールの見直し(2018年4月施行):現役労働人口の減少や平均余命の伸びに合わせて年金の給付水準を自動的に調整する仕組みであるマクロ経済スライドの未調整分(=キャリーオーバー)を、翌年度以降に繰り越して実施し年金額を抑制する。
  • 賃金・物価スライドの見直し(2021年4月施行):賃金変動が物価変動を下回った時には、賃金変動に合わせて年金額を改定する。
 これでは、将来的には公的年金を老後資金の柱と位置づけることは難しくなりそうです。老後資金の準備はどうすればいいのでしょうか。まず、現在の老後資金に対する意識と準備状況を「「セカンドライフ」に関する意識調査」(日本生命保険相互会社 2018年8月インターネットアンケート調査実施 回答者数7473名)からご紹介します。
 

「老後資金目標額の達成率50%未満」40代は約75%

 
目標は3000万円だけどまだ30%程度しかたまっていない。70歳まで働く?

65歳でリタイアしたいが、資金の準備がなかなか進まない。頑張ろう!



老後資金の準備で最も重要なポイントは「いくつまで働くか」です。それによって老後資金の目標額や貯めるための手段などが決まります。ではアンケート調査の中から、何歳まで働き続けたいか、老後資金の目標額、現在の達成率、貯めるための手段、について30代~60代の回答をご紹介します。
 
●何歳まで働き続けたい?
20代の4割は60~64歳、70代の4割は75歳以上と回答。

回答者数6133名


 
●セカンドライフをスタートするときまでに貯めておきたい金額は?
20代は1000~3000万円がトップ、70歳は3000~5000万円がトップ

回答者数6625名 平均金額は2880万円



●どれくらい達成できているか
10代の6割、70代の1割が達成率10%未満

回答者数6552名



●貯めるための手段は?
20代の5.8%、70代の14.4%が資産運用で準備している。

回答者数5146名、

※NISAとiDeCoについては後述します。
 

勤務先によっては財形年金貯蓄やマッチング拠出制度が使える

老後資金準備の金融商品の代表は「財形年金貯蓄」です。勤務先が取り入れていれば、という条件つきですが、毎月コツコツと給与から天引き貯蓄し、目的以外での引き出しにはペナルティーがあるので取り崩しにくい。積み立てから年金受給の期間を通して非課税、という優れものです。

他に老後資金の準備に使える税制面での優遇措置がある制度はないのでしょうか。ありました、ありました。2012年1月に導入された「マッチング拠出制度」が似ています。

これは退職金・企業年金の制度に確定拠出年金(=DC)を導入し、さらにマッチング拠出制度を導入している企業の従業員が利用できるもので、従業員が自己資金を拠出して運用指示をします。

この制度には次の3つの優遇税制があります。
  • 拠出した掛金は小規模共済等掛金控除として所得控除
  • 運用益は非課税
  • 退職一時金は「退職控除」、年金は「公的年金等控除」の優遇税制
途中解約は原則不可能、60歳以降に年金あるいは退職一時金として受け取る、とまさに老後資金準備のための制度と言えます。運用商品には、預貯金のほか保険商品、投資信託などリスクのある商品も含まれます。もちろん、運用次第では拠出金を割り込む可能性があることに注意が必要です。

マッチング拠出制度の導入以降、税制面での優遇措置があり老後資金の準備に使える制度、しかも個人で加入できる制度が次々と創設・拡大されました。マッチング拠出と内容がよく似ているiDeCoからご紹介します。
 

iDeCoは企業型確定拠出年金の個人版

 
個人で老後資金を準備するには税制優遇のあるiDeco、NISA、つみたてNISAなどを利用するといいかな。

税制面でのバックアップが整ってきた。自助努力で老後資金の準備をする時代になったんだな。



2017年1月に加入対象の範囲が拡大されたiDeCoは、60歳未満の公的年金加入者であれば加入できる年金制度です。加入している企業年金の種類によっては加入できない場合があります。毎月一定額を拠出して、運用する金融機関や金融商品(定期預金・保険・投資信託)を自ら選び運用し、60歳以降に一時金あるいは年金で受け取るというものです。
 
税制上の優遇措置は前出のマッチング拠出とほぼ同じですが、iDeCoは金融機関の口座開設・維持に手数料がかかります。金融機関によって手数料の金額や運用する金融商品が異なりますので、事前の比較検討が必要です。
 

NISA(少額投資非課税制度)は期間限定の制度

2014年1月にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、年間120万円までの株式や投資信託への投資に対して、その配当や運用益を10年間(2014年~2023年)非課税にするという制度です。2018年12月末の利用口座数は1142万9742口座に上ります。
 

■つみたてNISAの利用が急増

2018年1月に創設されたばかりの制度「つみたてNISA」は、20歳以上の人が利用できる「少額・長期・積立・分散投資」を支援する非課税制度です。2018年12月末の利用口座数は103万7169口座に上ります。
 
購入可能な商品は、金融庁が適していると判断した投資信託・ETFに限定されています。購入できる金額は年間40万円まで、その分配金や譲渡益は非課税、非課税期間は20年間の期間限定(2018年~2037年)です。
 

老後資金は運用次第――リスクに注意!

マッチング拠出制度をはじめiDeCo、NISA、つみたてNISAの利用に際しては、制度の詳しい内容と運用商品、金融機関等について必ず前もって勉強・比較・検討してください。これらで運用する商品の中で元本保証はほんの一部です。多くはリスク性のあるものです。これらの制度は完全に自己責任で運用するものですので、運用に失敗しても誰にも文句は言えません。老後資金に大きな穴をあけることを回避する賢明さを忘れないようにしましょう。

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