マネジメント/マネジメント事例

ガバナンス3要素から分析 組織「理研」の問題点とは

STAP細胞問題に揺れる理研。同社の改革委員会は調査報告書をまとめ、抜本的改革を求める提言をしました。その中で理研および発生・再生科学総合研究センター(CDB)は「ガバナンスに問題あり」と厳しく糾弾されています。ここに使われたマネジメント用語「ガバナンス」とは何か。理研にはどのような問題があったのか。実情検証を交えて解説します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

組織を健全運営させるガバナンスの3要素

解説

ガバナンスの3要素が組織を健全たらしめる

「貧弱すぎるガバナンス体制」。理研の改革委員会がまとめた報告書の中に厳しい文句が踊りました。理研と発生・再生科学総合研究センター(CDB)に対し、的を射た批判ではないでしょうか。

この報告書で使用された「ガバナンス」は管理体制を中心とした組織のリスク管理的側面にやや力点が置かれ言及されているように思いますが、補足するとガバナンスの定義にはもう少し幅のある意味合いが存在します。

ガバナンス、正式にはコーポレート・ガバナンスと言い、一般的に「企業統治」と和訳され、単に組織のリクス管理体制を指し示すだけでなく、企業の組織マネジメントにおける「企業を健全に運営する仕組み」と理解されるものです。具体的には、「経営の透明性」「アカウンタビリティ(説明責任)」「経営コントロール」がコーポレート・ガバナンスの3要素であると言うことができます。

この3要素について、上場企業を例にとって少し突っ込んだ説明をします。
「経営の透明性」とは、ステークホルダー(上場企業の場合には潜在的投資家を含む)に対し、会社の運営状況を適時かつ正確に開示することです。これがなされない企業に関しては、投資家からの信頼が損なわれます。その結果、資金調達が難しくなるなどの形で市場はこの企業に退場を命じることになります。

「アカウンタビリティ」は一般に「説明責任」と訳されます。所有者から財産を委託された者のその行動やその結果について説明する責任のことです。すなわち、企業経営者は株主に対し、何か経営に重要な影響を及ぼす行動があればその原因や理由の詳細を、包み隠さず速やかに提示する必要があるのです。

「経営コントロール」とは、企業目的を達成するための組織構成や管理体制の構築をおこなう義務を負うこと。企業経営者は、企業目的に沿った成果を上げるための組織運営を行わなければなりません。そのために有効な経営管理システムの構築・運営や、妨げになるようなリスクを回避するための管理体制を構築することが求められるのです。
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