2020年を目指して、住まいのカタチが大きく変貌する?

「2020年」といえば、東京五輪の開催を思い浮かべる人が多いでしょう。実は、この2020年は、別の意味で住宅業界にとっても大きな転換点となる年といえます。

2013年6月17日に安部政権で閣議決定された「日本再興戦略」では、2つ目の柱である「クリーン・経済的なエネルギー需給の実現」の中で、「住宅・ビルの省エネ基準の段階的適合義務化、既存住宅・ビルの省エネ改修の促進、トップランナー制度の適用拡充、ネット・ゼロ・エネルギー化等を図る」と謳われています。

このうち「省エネ基準の義務化」の目標として2020年が設定されているのです。

省エネ基準の変遷

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省エネ基準は2013年に14年ぶりに大幅に改正され、住宅については同年10月から施行されています。1999年に制定された従来の「平成11年基準」は、住宅については外壁や窓など建物本体の“外皮部分”の断熱性能に関する基準が中心となっていて、その省エネ判定基準をクリアするかどうかは努力義務でした。そのため、10年以上たった2011年時点でも新築住宅に対する適合率は48%とあまり普及していませんでした。

新しくできた「改正省エネ基準」は、“外皮部分”は平成 11年基準と同等ですが、建物本体だけでなく、暖冷房機・給湯器・照明器具などの設備機器の省エネ効果についても判定の対象に加えて、総合的に評価する方式になりました。また、達成状況を比較しやすいように、従来まで用途や部位によって分かれていた評価単位を、グローバルスタンダードに合わせて「一次エネルギー消費量(kWh/年)」に統一されています。

「エネルギー収支」がゼロってどういうこと?

ZEHとは何か

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日本再興戦略に記載されているもう一つのポイントである「ネット・ゼロ・エネルギー化」については、既に「エネルギー基本計画」(2010年6月第3次計画)の中で、「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す」と掲げられています(※)。

欧州連合(EU)が2010年6月に交付したEPBD(省エネ建築物指令)でも、「2020年末までにすべての新規の建物がゼロ・エネルギー建物となること」が求められています。2020年は、世界的に見ても省エネに係わるメルクマールとなる年といえるでしょう。

※2014年4月11日に閣議決定された第4次エネルギー基本計画でも、2020年までに省エネ基準の義務化とZEHの普及が盛り込まれました。

ZEHの定義

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ZEHとは、1年間のエネルギー消費量が正味(ネット)でゼロである住宅のことです。「正味でゼロ」というのは、エネルギーをまったく使わないということではなく、消費しているエネルギー量と太陽光発電などによって創出されたエネルギー量が、差し引きでおおむね0、または0以下のマイナスになるという意味です。
具体的には、図2のように「電力量収支=消費電力量-発電電力量≦0」(いずれも年間の数値)となります。ZEHは通称「ゼッチ」ともいわれています。

 

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