日本のED(勃起不全、勃起障害)人口は中等症(時々できない)と重症(ほぼ常にできない)を合わせると約1130万人と推定されています。軽症(たまにできない)を足すと、さらに増えるでしょう。
若くても引退、高齢でも現役。EDは必ずしも年齢には関係ない

若くても引退、高齢でも現役。EDは必ずしも年齢には関係ない



それほどの患者がいるEDは長らく「年をとれば自然になるもの」「加齢に伴う肉体的変化」などと考えられていました。目が見えにくくなったり、耳が聞こえにくくなったりするのと同じ、器官の衰えとみられてきたのです。

しかし、30代前半でED症状をきたす人がいる一方、60代後半で、まったくED知らずという人もいます。つまり、EDは必ずしも年齢には関係ないことが分かります。

では、年齢以外に、EDの恐れがあるかどうかを確かめる方法はあるのでしょうか。

EDは陰茎に起こる動脈硬化の病気 

性に関する話題を現在ほど大っぴらに語れなかった時代、EDに見舞われた多くの男性は「性生活の第一線から静かに退く」覚悟をしなければなりませんでした。しかし、どうしても諦めのつかない方は、秘伝の特効薬や、医学的根拠のない怪しげな民間療法に希望を見出そうと涙ぐましい努力を重ねたものです。

EDは今日では、脳血管を詰まらせる脳梗塞や冠動脈を詰まらせる心筋梗塞と同様、血管をめぐる生活習慣病の一種と考えられています。

EDは陰茎動脈に起きる変調です。その代表的な症状は動脈硬化です。陰茎動脈は脳血管や冠動脈などよりも細いので、それらよりも早く変調をきたします。ですから、陰茎に起こった動脈硬化はやがて、脳や心臓で起こるであろう脳梗塞や心筋梗塞の前触れとも言えるのです。

ED治療の第一選択は3種の治療薬

EDは単なる加齢現象ではありません。年齢に関係なく起こる生活習慣病の一種です。しかし、病気である以上、適切な診察と治療を施せば、改善の見込みがあります。

日本性機能学会の『ED診療ガイドライン』では、治療の第一選択として、シアリス、バイアグラ、レビトラなどED治療薬の投与を挙げています。

ガイドのクリニックには、ED予備軍と考えられる方や正真正銘のED患者さんが訪れますが、中には間違いなくEDと診断しても、頑(かたく)なにそれを受け入れない方がいます。

そして「性交はできないが、陰茎を刺激すればちゃんと勃起する」「持続力は衰えてきたが、挿入はできる」「マスターベーションなら勃起も射精もできる」などと異口同音に訴えるのです。

パートナーとの性行為の成否が拠り所

ED診断の決め手は「パートナーとの性行為が行えるかどうか」

ED診断の決め手は「パートナーとの性行為が行えるかどうか」

EDであることを認めたくない気持ちは同性として痛いほど分かるのですが、残念ながら、どのケースもEDに当てはまります。

その根拠は『ED診療ガイドライン』に明確に定められています。最新の2012年版によると「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態」がEDであると定義されています。

かつては同学会で「勃起が不十分なため、4回に3回以上、満足な性行為が行えない場合」とされていた時代もあります。しかし、世界的には回数(頻度)よりも「勃起が不十分なために満足な性交が行えないこと」が重視されています。

ですから、EDとは、どんなに刺激を加えられても、まったく勃起しない状態だけを指すのではなく「パートナーとの性行為が行えるかどうか」が判断の拠り所になるのです。

EDの否定材料にならぬマスターベーション

このようにみてくると、たとえマスターベーションができても、実際にパートナーとのリアルな性行為ができなければ、EDと診断されることになります。

つまり、マスターベーションによる勃起や射精はEDを否定する材料にはならないということです。

大切なことなので繰返しますが、EDであるかどうかは単に勃起したり、射精したりする能力ではなく「パートナーとの性行為で勃起を十分に維持できるか」によります。

従って、初めに触れた、年齢以外にEDの恐れがあるかどうかを確かめる方法は、パートナーとの性行為を満足に行えるかどうかを実際に試してみるのが最も確実ということになります。

心理的な理由による心因性の場合はもちろん、体の状態が原因となる器質性の場合でもED治療薬は効果的です。パートナーとの性行為がうまくいかなかったら、専門医の指導を受けて適切に処方してもらうとよいでしょう。

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