2013年7月 最初は約5万本からスタート

レイトン教授の図

レイトン教授で有名なレベルファイブ。今度は「妖怪」で大当たりです

今、子供たちに人気爆発のゲーム、妖怪ウォッチ。みなさん、ご存知でしょうか。ゲーマーの方なら名前ぐらいは知っているんじゃないかと思います。ご存知、というより、覚えていますかと聞いた方がいいかもしれません。このタイトル、新作ではないんです。発売されたのは半年以上前の2013年7月11日。発売初週の販売本数は約5万本。決して大きな数字ではありません。

それがジワジワジワジワ売れ続けて、いまや販売本数累計70万本超の大ヒット、出荷100万本突破のニュースも流れています。おもちゃの妖怪メダルが飛ぶように売れて入手困難になったり、アニメを見た子ども達がエンディングテーマの「ようかい体操第一」を踊ったりと、大変なブームです。

子どもは自分で自由にお金が使えませんから、子ども向けのタイトルが時間をかけて売れていくというのはそれ程珍しいことではありません。しかし、それでも夏に発売されたタイトルが年末に伸びていくというのであって、年末年始を越えて春に大ヒットというのは、あまり例がないでしょう。

なんでこんなことになっているのか、妖怪ウォッチの売れていく流れを追ってご説明してみたいと思います。

2013年後半 水面下で売れ続ける

ジバニャンの図

人気の妖怪ジバニャン。必殺技のひゃくれつ肉球がかわいくてかっこいいんですよね

妖怪ウォッチはレベルファイブから発売されたニンテンドー3DS用タイトルで、低年齢層をメインターゲットにしたRPGです。

妖怪ウォッチという不思議な時計を手に入れた主人公が、身の回りにいる妖怪をみつけて、仲間にし、妖怪が起こしたトラブルを解決していくストーリー。バトルでは、手元のタッチパネルをグルグル回転させたり、ビシビシつつきまわしたりと仕掛けがたくさん。ネコの地縛霊「ジバニャン」を筆頭に、かわいい妖怪や、おかしな妖怪、かっこいい妖怪がたくさん登場し、子どもたちのハートをガッツリつかみに来ている作品です。

先ほどもお話しましたが、2013年7月の発売初週は約5万本を販売。5万本というのは、ゲーム業界では決して規模の大きい方ではありません。とはいえ、子ども向けタイトルを扱い、時間をかけてヒットさせることには定評のあるレベルファイブ。ここからゆっくり売れていくことが期待されていました。

実際、じわじわではありますがその後も売れ続け、年末年始前には20万本を突破、年末商戦期には週販2万本を超える週もあり、年明けには30万本を突破していました。ここまでなら、普通の大ヒットです。あえて「普通の」なんて言い方をしましたが、大ヒットは大ヒット。このご時世に新規タイトルを30万本売り抜くってすごいことです。

でも、そのすごさが霞むぐらい、その後がもっとすごいんです。

2014年1月 アニメ、おもちゃがスタート

イナズマイレブンの図

イナズマイレブンなど、クロスメディア戦略には定評のあるレベルファイブ

大きな転換のきっかけとなったのは、1月からスタートしたアニメ、おもちゃの展開です。レベルファイブは「イナズマイレブン」シリーズ、「ダンボール戦機」シリーズなど、メディアミックス戦略を非常に得意とするメーカーで、妖怪ウォッチもメディアミックスを前提とした作品でした。

バンダイから発売されたおもちゃの妖怪ウォッチ、「DX妖怪ウォッチ」は大人気で品切れ続出。DX妖怪ウォッチに装着できる妖怪メダルは争奪戦に。テレビ東京系列で毎週金曜夕方6時30分から放送しているアニメも好調、エンディングテーマのようかい体操第一を真似する子が続出してます。

アニメとおもちゃにひっぱられるように、ゲームの方も売れ行きがあがっていきます。2月に入ると、年末年始の勢いを超えて週販2万~3万程度の勢いで売れていきます。週販2~3万というのがどういう数字かと言うと、単純に月にして10万程度累計が増えていくわけです。発売直後の短期間ならともかく、発売後しばらく経って商戦期でもないのに継続してそんなに売れていくとなると、累計は気がついたら数十万に、という形で積みあがっていきます。

2014年3月 発見!妖怪タウンが人気すぎて営業休止

DX妖怪ウォッチの図

DX妖怪ウォッチが大人気。メダルを入れると、対応した妖怪を召喚する音が流れます

そして2014年3月14日、期間限定で旬のキャラクターを取り扱うイベントストア「ナムコ キャラポップストア」が妖怪ウォッチとコラボ、「妖怪ウォッチ 発見!妖怪タウン(以下妖怪タウン)」の東京一番街店が開店します。

しかし、この妖怪タウン、スタートするやいなや大変な人気で、開店するなり人が殺到、整理券を配布するもあっという間に終了、当然、お店に入れない人も。あまりの人気にたった2日で商品の供給が追いつかなくなり、3月16日には営業を休止するという事態になりました。ちなみに、今は再開されていますが、人気は健在、予約必須で、予約できるかはWebによる抽選方式、しかも時間入れ替え制となっています。とんでもない人気ですね。

ゲームの方もさらに売り上げを伸ばし、週販で約5万本を売り上げる週も。約5万本というと、発売直後の水準まで戻ってしまっているということですよね。累計販売本数は70万本を超え、出荷100万本を突破。いわゆるミリオンタイトル、販売本数100万本も射程圏内です。

そしてこのタイミングで、今度は夏に続編が登場します。

2014年夏 妖怪ウォッチ2が発売

ファンタジーライフの図

ファンタジーライフや、タイムトラベラーズなど、実は新作を投入し続けていたレベルファイブ。その中でも妖怪ウォッチは特大のヒットとなりました(イラスト 橋本モチチ)

レベルファイブは2014年4月15日、妖怪ウォッチの続編「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」を2014年7月10日に発売することを発表しました。大変な勢いで売れている妖怪ウォッチ、ちょっともったいないぐらいのタイミングではありますが、この勢いを持続できればヒットは確実という必勝の体制であるとも言えます。

初週5万本でスタートしたゲームが、ゆっくり売れて、年末年始をこえたところで、アニメ、おもちゃでブレイク、累計70万本を超えて100万本も視野に入ってきたところで続編の発表。年末年始までの動きはともかく、その後ここまで盛り上がることを予測できた人はほとんどいないんじゃないでしょうか。

レベルファイブというと、大黒柱となる「レイトン教授」シリーズや「イナズマイレブン」シリーズが長く続編を重ねる中で徐々に売上を落としてきてたり、あるいは「ダンボール戦機」では、いわゆる「完全版」と呼ばれる、一度発売したゲームにいくつかの新しい要素を追加した商品を短い期間に投入した結果、せっかく立ち上げた新シリーズの消費スパンを早めてしまったり、次々ヒットを生んでいた時期から、そのヒットを維持していくのが難しい時期に入っていた印象もありました。

しかし一方で、「ファンタジーライフ」や、「タイムトラベラーズ」など、常に新作を投入しつづけてもいたんですね。そして、その姿勢が実を結び、妖怪ウォッチは大ヒットとなりました。色んなメディアを巻き込みながら、時間をかけて子どもたちのムーブメントを作っていく手法は、流石の一言です。

コンシューマーゲームのパッケージビジネスが困難になりつつあり、新規タイトルの立ち上げのリスクが高まっている中、それでもチャレンジし、成功させるメーカーがあるということは、とても頼もしく感じられます。そういう意味でも、妖怪ウォッチの今後には、大いに期待し、注目していきたいところです。

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田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)

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