昨年(平成21年)9月に民主党政権が誕生してから初めての税制改正が行なわれましたが、住宅関連ではこれといって目立った新制度などはなく、その大部分は従来の制度を少し見直しただけで終わってしまったようです。世の中が大きく変わることを期待して投票した人たちにとっては、ちょっと残念な結果だったのかもしれませんね。

それはさておき、今年度(平成22年度)の税制改正のうち個人の住宅に関連する主な変更点をまとめておくことにしましょう。


住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置の拡大

経済対策の一環として昨年(平成21年)6月に「住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置」が導入されました。これは住宅の取得(購入やリフォームなど)に充てる資金の贈与について500万円までを非課税とするもので、平成21年1月1日にさかのぼって適用されています(当初は平成22年12月31日までの予定)。

今回の改正ではこの非課税枠が拡大され、今年(平成22年)1月1日~12月31日までは1,500万円、来年(平成23年)1月1日~12月31日までは1,000万円となりました。

一見すると非課税措置の大幅な拡大ですが、その一方で相続時精算課税制度による住宅取得資金の特例枠(1,000万円)が廃止されたため、相続時精算課税制度を活用できる世帯にとっては実質的に昨年とあまり変わらず、来年は逆に縮小となります。

とはいえ、相続時精算課税制度の対象とならない贈与(父母が健在の場合における祖父母からの贈与)や相続時精算課税制度を選択することが得策ではないケース(将来に相続税がかかりそうな世帯など)では、暦年課税による非課税枠の拡大が大きなメリットとなるでしょう。

(図1) 相続時精算課税制度の場合
控除枠の総額は昨年と同じで、来年は縮小になる

(図2) 暦年課税制度の場合
控除枠の総額は今年が最大

なお、今回の改正では受贈者(贈与を受ける人)の所得制限が新たに設けられ、贈与を受ける年の合計所得金額が2,000万円を超える人はこの特例の対象外となりました。ただし、今年(平成22年)にかぎり、合計所得金額が2,000万円を超える人は従来の500万円の非課税枠を適用することができます。

【1,500万円(1,000万円)非課税枠適用の主な要件など】
  • 住宅取得等に充てるための金銭の贈与であること
  • 直系尊属(自分の父母、祖父母など)からの贈与であること
  • 複数の人から贈与を受けても、非課税枠の上限は変わらない
  • 平成22年1月1日~12月31日までに住宅取得資金の贈与を受け、平成23年3月15日までに入居の場合…非課税枠 1,500万円
  • 平成23年1月1日~12月31日までに住宅取得資金の贈与を受け、平成24年3月15日までに入居の場合…非課税枠 1,000万円
  • 相続時精算課税制度の場合、この特例による非課税措置の適用を受けた金額は、相続時に相続財産の計算から除かれる
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 合計所得金額が2,000万円を超える場合は、平成22年にかぎり500万円の非課税枠を適用できる
その他、取得する住宅の要件などについて詳しくは≪住宅取得資金贈与500万円非課税のポイント≫をご参照ください。


住宅取得等資金の贈与に係る特例の廃止および延長

これまでは、相続時精算課税制度を使い住宅取得等資金の贈与を受けた場合、通常の非課税枠(2,500万円)に住宅枠(1,000万円)を上乗せできる特例がありました。この住宅枠が平成21年12月31日をもって廃止され、今後は贈与された財産の内容や使いみちに関わらず2,500万円の枠だけとなります。

ただし、住宅取得等資金の贈与の場合には親の年齢を問わない(通常は65歳以上)ものとする事項のみ適用期限が2年間延長され、平成23年12月31日までとなります。


相続税評価における特例の縮小

亡くなった人が居住用または事業用として使っていた宅地等については、一定の要件のもとで評価額の80%または50%を減額するという制度(小規模宅地等の評価減の特例)があり、これによって相続税が課税されない世帯も多くなっています。

今回の改正では制度適用についての厳格化が図られ、これまでは宅地の一部が該当すれば全体に適用、共同相続人のうち一人でも該当すれば全員に適用などとなっていたものが、これからは相続した不動産の一宅地ごと、部分ごと、共同相続により取得した者ごとに適用の可否が判断されることになります。

また、評価減の対象となる「特定居住用宅地等」は、主として居住目的で使われていた一つの宅地に限られることとなるほか、相続税の申告期限までに相続人が居住または事業を継続しない宅地等も適用対象から除かれます。

将来の相続税課税強化を見越した改正なのでしょうか?

なお、この改正は今年(平成22年)4月1日以降の相続または遺贈により取得する小規模宅地等について適用されます。


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