4,980円の歌うキーボード、ポケット・ミク

ポケット・ミク

学研、大人の科学特別編、ポケット・ミク

学研の大人の科学シリーズとして、これまでアナログシンセサイザのSX-150やテルミン、ミニエレキ、さらにはSX-150の進化版、SX-150markIIと、さまざまな音モノのガジェットが発売されてきましたが、さらに強力で本格的なDTMシステムが発売されました。

それが大人の科学マガジン特別編「歌うキーボード ポケット・ミク」というものです。大人の科学というと、雑誌がメインで、その付録として面白いものが付いてくるというイメージを持っている方も多いと思いますが、今回の「ポケット・ミク」は“特別編”というだけあって、ちょっと違います。そう雑誌はなく、メインはあくまでも「ポケット・ミク」というハードウェアであり、それにマニュアルが付いているという構成のものです。

では、そのポケット・ミクとは何なのか?これは、以前にも紹介したYAMAHAのNSX-1というICを心臓部の持つハードウェアで、名前の通り、初音ミクのポケット版。本体にあるスタイラス・キーボードをペンでタッチすると、初音ミクの声で歌ってくれるというものです。

PC版のVOCALOIDとは異なり、発音方式が異なるeVocaloidというシステムではありますが、声は明らかに初音ミクですね。

デフォルトでは、鍵盤の音程を歌ってくれる仕様となっており、「ドレミ」と弾けば「ドレミ」と初音ミクの声で歌ってくれるわけです。

しかし、ボタン操作によって、アイウエオを歌わせることもできるし、あらかじめ仕込んである「ちょうちょ」、「ほたるの光」、「さくら」などの歌詞を歌わせることも可能。まったく楽器が弾けない人でも、それなりに使えるし、なんといってもコンピュータなしで歌わせられる手軽さは、非常に大きなポイントとなっています。

でも、ポケット・ミクが本領を発揮するのは、ここからです。


GM音源搭載でPCから自在にコントロール可能

ポケット・ミク

USB接続するとMIDIポートとして見える

ポケット・ミクにはUSB端子があり、これを使ってPCと接続することで、できることの幅が大きく広がるのです。

まずは、歌詞を自由に設定できるようになること。自分が歌わせたい歌詞をひらがなで入力すると、それを各ボタンに割り振ることが可能です。最大64文字までという制限があるのですが、SHIFTキーとの組み合わせなどで、全部で15セット分を設定することができるので、長い歌詞の歌でもボタンを切り替えながら歌わせることができます。

さらに、これをDAWやシーケンサと組み合わせると、もっとすごいことができてしまうのです。初音ミクの歌をシーケンサでコントロールできるのはもちろんとして、初音ミクの歌声以外の音を出すことが可能なのです。

そう、このポケット・ミクは強力なMIDI音源モジュールとなっており、GM音源として機能するのです。正確にはMIDIの1chが初音ミク、2~16chがGM音源なので、ピアノでもギターでもベースでもトランペットでも好きな音を自在に鳴らすことができ、最大同時63音(ミクの歌声も合わせて64音)を鳴らすことが可能となっているのです。つまりGM音源によるBGMをバックに初音ミクに歌わせるといったことができるわけですね。

さらにヤマハのXG音源のフォーマットに沿ったエフェクト機能も装備しているのもスゴイところ。リバーブ、コラースだけでなく、ディレイ、フランジャー、ディストーション……といったエフェクトが使えるほか、ピッチシフトも用意されているので、これを初音ミクの声にかけることで、和音を歌わせることもできるのです。

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eVY1シールドとの互換モードも搭載

VOCALOOP

VOCALOOPのプロトタイプ

このようなポケット・ミクの機能は、以前に登場したスイッチサイエンスのeVY1シールドと非常にそっくりです。ただ、ポケット・ミクの場合、本体だけで操作できるようになっていて、より高速なレスポンスが求められるため、システム的にはeVY1シールドとはちょっと異なるものとなっています。

そのためeVY1シールド用に作られた既存のソフトをそのまま動かすことはできません。が、実はここに秘密の機能が用意されているんですね。「NSX-1用アプリ互換」モードというのがそれ。まだ、数は少ないのですが、このモードを利用すれば、eVY1シールド用のソフトウェアがそのまま使え、声がVY1から初音ミクになる形となります。

そのソフトウェアの一つが、VOCALOOP。これは加々見翔太さんという元ヤマハのエンジニアが開発したソフトウェアで、ボーカロイドの歌声をループさせて歌わせる新コンセプトの楽器。現在、ハードウェアとして機器としての発売を目指してい開発を進めているのですが、製品登場を前にして、eVY1シールドで動作するソフトウェア版のプロトタイプを無料でリリースしており、それがポケット・ミクでも利用できるのです。

今後さらに、いろいろなソフトウェアが登場してきそうですが、これまでDTMを行ってきた人も、これからDTMを始めたいという初心者ユーザーも、とりあえずポケット・ミクを入手しておいて損はないと思いますよ。

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