ニューリッチへの道/ニューリッチへの道

自分の正しさを主張すると貧乏になるのはなぜなのか

会社勤めを通じて、あなたが将来目指すものは何でしょうか。それを考えた時、上司と衝突しても何も生まないでしょう。仮に局地戦で負けても、人生トータルで勝つことが重要なはずです。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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稼ぐ人はプライドよりも実をとる

あなたがホテルを予約してチェックインしようとしたとき、「お客様のお名前では、予約は承ってないようですね」という事態になったとします。当然あなたは「いや、予約したはずです」と抗議をするでしょう。こんな時、ダメなフロント係は、こんな対応をします。

フロント:(予約帳をもう一度見て)申し訳ございません。やはりお名前は見当たりません。

あなた:おかしいな。確かにネット予約したのに。ほら、ここに確認メールが……あっ、月を間違えていた!

フロント:さようでございましたか(ほ~ら、私たちが間違えるわけないだろう)。

フロント係の心の声が聞こえるような対応に、あなたはバツの悪い思いをするでしょう。そして次からは、このホテルに行く気がしなくなるかもしれません。優秀なフロント係なら、予約帳の再確認をして本当に顧客の予約が見当たらなかったしても、すぐに次のような対応をします。

「申し訳ございません。私どもの手違いかもしれません。すぐにお部屋をご用意させていただきますので」

客と自分のどちらが正しいか。そんな議論をしたところで、意味がないと知っているからです。もちろん、従業員にもプライドがあるかもしれません。ホテル側が悪いという事態は避けたいのは誰でも同じ。しかし、自分の正当性を主張したところで、何も生まれません。それよりも、「どうすればリピーターになってもらえるか」という、ビジネス本来の目的にフォーカスした対応を常に考えているのです。

稼ぐ人は、自分のプライドを捨ててでも、実を取ろうとします。つまり、よほどのことがなければ、自分が正しく、相手が間違っているという対応はしないのです。

例えば、高級レストランで、自分がオーダーしたものと違う料理が出てきたとします。仮に自分のオーダーの方が間違っていたとしても、ウエイターは「大変失礼しました。すぐに作り直してお持ちします」という対応をするはずです。顧客の満足、そして、次もまた店を利用してもらうには、客の間違いを指摘しても、得られるものは何もないどころか、顧客を失うことにもなりかねません。

もちろん、こちらが圧倒的に不利になるとか、大きな損害を被る可能性があるなら、きちんと反論する必要があるでしょう。しかし、ビジネスの現場で何が本当に重要なのかを考えたとき、どちらが正しく、どちらが間違っているかをスルーさせたほうがよい場面も少なくないものです。

上司の間違いを指摘して没落する人

同じようなことは会社でも起こります。

上司:キミ、私が依頼したのは○○社のレポートだよ。これは違うじゃないか。

部下:えっ、△△社というご指示だったのでは?

上司:何を言ってるんだ。○○社だよ!

部下:しかし、このミーティングメモには△△社とありますが……。

そう、間違えていたのは、上司なのです。このように、上司と「言った、言わない」の口論をした経験を持つ人は少なくないでしょう。こういうとき、上司に見放されるのは、上記のように「自分の正しさ」を証明しようとする人です。それはただ、上司を不愉快にするだけ。

たとえ上司が間違えているとしても、ミスを指摘されて「いやあ、すまなかった」と言える度量がある上司は少ない。あなたの自尊心は満たされるかもしれませんが、上司部下の関係に前向きな力は生まれません。それどころか、「いちいち面倒なヤツ」と疎まれて、仕事がやりにくくなることもあります。

確かに、条件交渉といった場面では必要になるかもしれません。しかし上司との関係で「本当に自分がトクするには、どうすればいいか」を追求したとき、証拠のメモがあったとしても、それをふりかざしたところで何の益もないことのほうが多いものです。

「申し訳ありません。私が聞き違えてメモしていたようです。メモをお見せして確認すべきでした。すぐに〇〇社のレポートを作ります」

上司はハタと、自分の間違いに気がつくでしょう。このとき、すでにあなたが「自分のミス」と発言しているから、上司は面子をつぶされないで済みます。

「いや、私もきちんと伝えていなかったかもしれん。では、よろしく頼む」

と、あなたにも上司にとっても、穏便なところへ着地できる。

会社勤めを通じて、あなたが将来目指すものは何でしょうか。それを考えたとき、上司と衝突しても何も生まないはずです。その場で上司に勝っても、長い目でみたら負けです。人生では、仮に局地戦で負けても、全体を通して勝つことが本当に重要なはずではないでしょうか。

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