どうすれば、納得のいく決断ができるようになるのか

更新日:2014年05月07日

(公開日:2014年04月07日)

私たちは、一体どうすれば、納得のいく決断ができるようになるのでしょうか。前回に引き続き、「意思決定」を研究している早稲田大学文学学術院教授 竹村和久氏にお聞きします。

早稲田大学文学学術院教授 竹村和久氏

早稲田大学文学学術院教授 竹村和久氏



なぜ重大な「決断」ほど、どうでもいいことに囚われてしまうのか


──そもそも、結婚や就職、住宅購入などは、なぜ決断が難しいのか教えてください。

それは、重大な決断ほど考慮する属性(条件)が多くなると同時に、重視すべき属性(条件)も多くなるからです。そうなればなるほどベストな選択肢がなくなりますし、なおかつ責任が重くなるので、決断が難しくなるのです。

私は長年、意思決定の研究をしていて、つくづく思うことがあります。それは、人はどうでもいいようなことにはスマートな決断をするものですが、結婚や就職、住宅購入などといった重要な場面では、意外とアホな決定をしてしまうということです(笑)。自分自身もそうですし、組織などでもそういうことが起こりがちですね。

──判断を狂わせる要因は何なのでしょうか。

要因の一つに挙げられるのが、前回お話しした「情報の過負荷(情報が多すぎること)」ですが、その他にも、物事の見方にバイアスがかかって客観的な認識からずれてしまったり、「いい決定をした」と思いたいがために重要な情報を無視してしまう、といったことが挙げられます。

また、人から良く思われたいと思うのは決して悪いことではないですが、あまりそればかりになると、それが判断を狂わせることもあります。

さらに、注意が他へシフトすることも判断を狂わせる要因になります。これは、「状況依存焦点モデル」というもので、私は京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授と10年以上、そのモデルに基づいて、意思決定に関する共同研究をしています。身近な例では、「欲に目がくらむ」ということがありますし、本当に大事なものは商品の本体なのに、オマケがついているものがあると、そちらの方を買ってしまうというのも、注意が他へシフトしたことが判断を狂わせた結果でしょう。

ですから、注意は意思決定の大きな要因です。注意をコントロールすることによって、いろいろな意思決定のリスク態度が変わるという実験結果も出ています。公共の政策も、変なところに注意を喚起すると、変な決定になってしまいがちです。

──最悪の決断を避けるには、どうしたらいいでしょう。

私の経験則では、たいていの人はちゃんとした良識と判断力を持っており、何が重要なのかはわかっています。ただ、実際に意思決定をする場面になると、なぜか判断が狂ってしまうのです。

ですから、日頃から何が大事かを考える訓練をすることはとても大切です。
そして決断する時は、まず、一番大事な条件は何かを最低限考えること。さらに、決断が、その条件から外れていないかどうか考えましょう。そうすれば、たとえベストな決断は難しくても、最悪な決断は避けられます。

また、組織において最悪の決断を避けるには、少し変わっているくらいの人の意見も大切にするといいでしょう。周りと合わせるのがうまい人は、その場の雰囲気に流される傾向が強いですが、少し変わっているくらいの人は、周りにあまり影響されずに違った見方の意見を言うことができますから。