「決断」とは?~わたしたちの決断を妨げる要因

更新日:2014年04月16日

(公開日:2014年03月24日)

私たちは人生の中で、大なり小なり様々な「決断」の場面にさらされている。そもそも、「決断」とは何なのか、人が「決断」するときのメカニズムはどうなっているのかなどを知るために、“意思決定”を研究している早稲田大学文学学術院教授 竹村和久氏にお話を伺うことにした。

早稲田大学文学学術院教授 竹村和久氏

早稲田大学文学学術院教授 竹村和久氏



「決断」と「選択」の違い


──竹村先生が研究されている「意思決定」とは、どういう学問なのでしょうか。

「意思決定(decision making)」というのは、「選択」やいわゆる「決断」を包括する概念であり、複数の選択肢がある時に、その中の一つあるいはいくつかを選ぶ行為だと定義できます。

「決断」と「選択」の違いですが、「決断」は「選択」よりも意志が強く入っており、より上位レベルの意思決定だと言えるでしょう。具体的には、「お昼ごはんに何を食べるか」「どんな服を買おうか」といった身近な意思決定が「選択」であり、進学や就職、結婚などのように人生の節目に行う重い意思決定が「決断」ということになると思います。ただ、「決断」というのは、意思決定論の中での専門用語ではなく、日常用語ですので、これからお話しすることは、日常用語に翻訳した形での比喩的な話になります。

それから、進学や就職や結婚は、個人レベルでの意思決定ですが、会社などの集団における意思決定や、地方公共団体や政府などが行う社会的意思決定もあります。

私自身の研究は、個人レベルの意思決定に関するものが中心であり、意思決定がなされる要因にはどんなものがあるかといった研究もしています。


動物も“意思決定”を行う


──意思決定をするのは、人間だけですか。

「決断」は人間だけのものですが、「選択」は人間だけではなく、他の動物でもします。

私は慶應義塾大学・文学部人文社会学科の坂上貴之教授との共同研究で、ラットやハトの行動分析に関する意見交換などもしていますが、次のような興味深い実験結果もあります。ラットは意外と賢くて、餌が貰えて自由になれる選択肢と、同じように餌は貰えるけれど自由になれない選択肢では、自由になれる選択肢をちゃんと選ぶのです。

また、はじめに楽をしてからしんどいことをするか、しんどいことをしてから楽をするかを選ばせると、ラットは後者を選択します。ところが、同じ選択を人間にやらせると、何度繰り返し実験しても、はじめに楽をする選択をする人が多いという結果になるのです。

こんなふうに、ラットのほうが堅実だという意外な結果もありますが、人間も動物ですから、基本的なことは変わらないと私は考えています。生命を守る、安全・食物・睡眠を求めるなどといった、生きる上で必要なものを守る選択をするという基本は、人間も他の動物も同じです。