住宅リフォーム/マンションリフォーム

マンションリフォームのトラブルに要注意!6つの対策

マンションリフォームはいったんトラブルになってしまうと、おおごとになりがちです。マンションならではの注意点をしっかり押さえておきましょう。マンションリフォームで起きやすいトラブルを防ぐための6つの対策をご紹介します。(2017年改訂版、初出:2010年5月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

マンションのリフォームで起きやすいトラブルを防ぐ6つの対策をご紹介します。マンションのリフォームは一旦トラブルになってしまうと、おおごとになりがちです。マンションならではの注意点をしっかり押さえておきましょう。

マンションリフォームのトラブルを防ぐ-1
管理規約を破ると、工事停止・現状回復命令が出ることも


マンションでリフォームできる範囲

マンションでリフォームできる範囲を確認して。サッシ・玄関ドア・ベランダは、専用使用が認められているが共用部分。メンテナンスは持ち主が行い、個人で勝手にリフォームはできない(一級建築士事務所 OfficeYuu


マンションには区分所有法という法律があり、各戸の持ち主である区分所有者はこの法律を守る必要があります。ここにはマンションで暮らすための基本のルールが書かれていて、この法律に沿って作られているのが、マンション管理規約と使用細則です。

これらの規約には、リフォームについての約束事も書かれていて、例えばマンション管理規約には個人でリフォームできる範囲(専有部分)とできない範囲(共用部分)、使用細則には床材の防音規定や、工事の承認方法など細かいルールが載っています。

リフォーム前には、これらの規約に必ず目を通し、計画に問題はないか確認しましょう。規約を破って勝手な工事をすれば工事停止や、裁判で現状回復が求められたケースもあります。例えば穴をあけてはいけないコンクリートの壁に、新たな配管を通すために穴をあけてしまった、玄関ドアを勝手に交換してしまったなどです。

間違えやすいのが、サッシ・玄関ドア・ベランダ部分です。これらは専用使用が認められてはいますが、共用部分です。ガラスが割れた時の修理や排水口が詰まった時の掃除などは持ち主が行いますが、個人でリフォームはできません。

ただし窓に関しては、平成16年にマンション標準管理規約が改正になりました。それまでは窓ガラスの交換は認められていませんでしたが、現在は防犯や断熱などの性能向上のためのガラス交換が認められるようになっています。窓ガラスの性能が向上すると室内は格段に快適に安全になります。まずは管理組合に相談しましょう。

マンションリフォームのトラブルを防ぐ-2
共用部分の大規模修繕の時期をチェック、重ならないよう注意


マンションのリフォームを計画する時は、外壁の塗装や配管修理など、マンションの共用部分をリフォームする大規模修繕の時期を確認しておきましょう。

共用部分のリフォームが始まれば、マンション全体にシートや足場が掛かったり、大型車が出入りすることもあります。個人のリフォームと時期が重なると、材料の搬入や駐車場の問題などでトラブルになることもあります。

大規模修繕の時期は駐車場が混む

マンションの共用部分のリフォームと時期が重なると、駐車場が混み合って使えないトラブルが起きることも少なくない。


また大規模修繕で全戸のサッシ交換工事を行ったり、配管の更新の際に専有部分での工事が必要になることもあります。中には、せっかく自分でガラスを新しくしたのに、大規模修繕でサッシごと新しくなり、お金が無駄になってしまったというケースも。

二度手間を防ぎ、工事をスムーズに進めるためにも共用部分の工事時期と内容を確認してから、リフォームの計画を立てましょう。

マンションリフォームのトラブルを防ぐ-3
工事前のあいさつ、時間・曜日の厳守が住みやすい環境を作る


マンションリフォームは近隣への影響が大きいのが特徴です。工事の音は壁や床を伝わって広がるため、想像より遠くまで響きます。

また塗装工事をすれば臭いが、内装工事では窓からホコリが飛び散ることもあります。工事がいきなり始まれば、ささいなことでも気に障ってしまうこともあります。マンションリフォームでは、近隣トラブルが起きやすい状況にあるということを知っておきましょう。

近所への挨拶

マンションは壁や床がつながっているので、想像以上に音が響く。小さな工事でもご近所へあいさつをしておくのがトラブルを防ぐコツ。


リフォームが始まる前までに、ご近所に工事前のあいさつを行ない、その際には工事開始日と工事の終わる予定日を伝えておきましょう。最近ではリフォーム業者が代理で回ってくれるところも多いのですが、業者だけに任せるのではなく、自分でも回る、もしくは一緒に回ることがトラブルを防ぐコツです。

また、決められた工事時間と工事日は必ず守ることが大切です。音がしない塗装だから大丈夫だろうと、夜遅くに工事を行ない、臭いが原因でトラブルになった事例もあります。

工事が遅れているから、急いでいるからと、時間外や休みの日に工事をするのもNGです。この先、ずっと長く暮らす家だからこそ、近隣への配慮が先々の住み心地を大きく左右します。

マンションリフォームのトラブルを防ぐ-4
通風・採光の工夫をし、立体的な空間活用をしたプランをする


マンションのリフォームプランをたてる際は、マンションならではの特徴である、窓の位置が変えられないこと、増築ができないこと、この2つを踏まえた計画することが大切です。

よくあるのが、子供部屋や収納を作るために間取りを変えたら、窓が無く、暗くて風の通らない部屋ができてしまった、というケースです。そんな時は間仕切り壁に室内窓を取り付ければ、光も風も通り抜ける空間になります。マンションでは採光と通風に十分気を配って計画を立てるようにしましょう。

光も風も通らないマンションのキッチン

光も風も通らないマンションのキッチン


間仕切り壁に室内窓を取り付ければ、光も風も通り抜ける空間になる(一級建築士事務所 OfficeYuu)

間仕切り壁に室内窓を取り付ければ、光も風も通り抜ける空間になる(一級建築士事務所 OfficeYuu


増築ができないということは、限られた面積の中での工夫をすることが大切になります。マンションはとかく収納不足に陥りがちです。空間を立体的にフル活用した効率的な収納計画を立て、無駄のないプランを考えましょう。

例えば、トイレの天井裏は換気扇のダクトを通すために空洞になっています。そこにボックスを設置、災害時の備蓄品置場にした例もあります。空間にはまだまだデッドスペースが残されていますので、見逃さないようにしましょう。

マンションは、構造によっては一戸建てよりも間取りの自由度が高いのが特徴です。最近人気の手法は、コンクリートの内側の専有部分である天井組・床組・間仕切り壁・設備・配管など全て取り払い、そこに新しい間取りやインテリアの住宅を作り上げるスケルトンリフォームです。がらんどうにして1から作り上げるので、理想の間取りを作ることができます。

スケルトンリフォームには、定額制のパッケージプランを展開しているリフォーム会社もあるので上手に活用しましょう。ただし、工事範囲を確認し、どこまでが標準工事で、どこからがオプションなのか、事前にしっかりとした打合せをしておくことがトラブルを防ぐポイントです。

マンションリフォームのトラブルを防ぐ-5
電気やガスの容量の制限によって、取り付け不可の機器もある


古いマンションでは、各戸で使える電気容量と、ガス給湯器の大きさ制限が厳しく、希望の設備が取り付けできないケースがあります。例えば、ガス給湯器は16号までという制限があれば、その大きさを超える給湯器は取り付けできません。

また給湯器の設置場所が限られていて、サイズや排気方向が特殊なタイプしか設置ができないケースもあります。

マンションの電気容量に注意

家の中の電化製品は増えている。エアコン、IH、乾燥機、炊飯器、電子レンジなどは容量が大きめなので注意を。


電気容量に関しては、古いマンションでは一軒あたりの上限が30A(アンペア)~40Aということもあり、そうなるとIHクッキングヒーター(15A程度) と、エアコン2台(15A程度×2)を同時使用すると、ブレーカーが落ちてしまう可能性があります。

リフォームのプランを立てる際には、電気とガスの容量の制限を管理組合に事前に確認し、その中でバランスのいいプランを考えていきましょう。

マンションリフォームのトラブルを防ぐ-6
業者にもマンションならではの細心の注意と、的確な対応が求められる


マンションのリフォームは、規約をシッカリ理解し、それに基づいて工事を行う必要があります。また事前に提出する工事書類の作成や近隣への配慮、階下への水漏れなど工事中に起きたトラブルへの迅速な対応、騒音対策、荷物の搬出入に伴うエレベーターの養生、駐車場問題など、リフォーム業者にもマンションならではの細心の注意が求められます。

マンションリフォーム業者

水漏れ時の緊急対応などが的確にできるマンションリフォームの実績がある業者を選ぶ。


トラブル無くリフォームを成功させるためには、マンションリフォームのノウハウの蓄積と実績がある業者を選びましょう。

マンションリフォームを成功させるには、しっかりとした手順を踏むことが大切です。時期の見極め~工事完了までの流れを5つのステップに分け、それぞれで注意しておきたいポイントを下記にまとめていますので、あわせてご覧下さい。
また工事前の挨拶方法については、範囲や手土産などを下記にご紹介しています。
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