3万円も使ったんだからそろそろ出るはず……と思っていませんか!

課金をするユーザーの図

ついつい熱くなって、お金を使いすぎちゃった、なんて経験がある人も多いかもしれません

3万円も使ったんだからそろそろ出るはず……と思っていませんか! 携帯電話やスマートフォンなどのゲームアプリでは定番となっているガチャ。簡単に言ってしまえばくじ引きなようなもので、数百円のお金を使って1回まわすと、ゲームを有利にするカードだったり、キャラクターだったり、アイテムだったりが出てきます。くじ引きのようなものですから、アタリもあればハズレもあります。レアなカードを手に入れるために数万円以上のお金を使うプレイヤーもいます。

そんな時、例えば1回300円のガチャを、3万円も使って100回まわしたとして、100回もまわしたんだからそろそろ出るはず、とか、ここでやめたら3万円が無駄になる、とか、考えたことはありませんか。

それは大きな間違いです!

というわけで今回は、ガチャを冷静に楽しむために、確率と経済学の話をしてみたいと思います。と言っても、初歩の初歩、確率だとか経済学だとか言うのもおこがましいぐらいの、きわめてカンタンなお話です。でも、ほんのちょっとした勘違いに気がつくだけで、正常な判断を取り戻すことができますので、ぜひ読んでみてください。

これから出る確率と、今まで出なかった確率は関係ない

パズドラの図

パズドラを筆頭に、たくさんのゲームでガチャは取り入れられています

まずガチャにおける、「××回もやったんだからそろそろ出るはず」という感覚。あれは基本的に間違っています。

確かめるのはサイコロがいいかもしれません。なければ六角形のえんぴつに1から6の目を書いても良いですよ。サイコロをふって、6の目が当たりとしましょう。適当にふってみてください、わりと簡単に6は出るかもしれません。ただし、1つルールを設けましょう、連続で振っていって5回目までに6がでたらやり直しです。

5回連続ではずすのは結構大変かもしれません。頑張ってくださいね。出ましたか? はい、みなさんがそろそろ当たりが出るだろうと言っているのはこの状態です。6が簡単に出ることもあれば、なかなかでないこともあり、そういった中でたまたま5回連続はずれた時に、そろそろ当たるはずだ、と思っちゃうんですね。

さあどうでしょう、当たりそうですか? 一生懸命5回連続はずれを出した方は、次に都合よく当たりが出るはずないという感覚にすらなりそうですね。

別に当たりそうなわけないですね。何故ならいつ振ったってサイコロの6の目が出る確率は6分の1だからです。前に出た目なんて関係なく、いつ振っても6分の1です。これが1つ目の勘違い。1%でレアカードが当たるガチャなら、何度まわしても、何回はずしても、次に出る確率は1%です。同様に、1度当たったからといって、もう当たらないということでもありません。

こういうのを難しい言葉では確率論的独立性なんて言い方をします。サイコロを何回振っても、それぞれの結果は互いに影響しないので、常に6分の1のまんまですよ、ということですね。

次は、1%の確率で当たるクジを100回ひいた時に、1回以上当たりが出る確率を考えてみますよ。

1%の確率で当たるクジを100回ひいて1回以上当たりが出る確率は?

スマホでゲームをする人の図

100回やってもアタリが出ない人もいれば、2回連続で出る人だっています

続いてはこれ、「1%の確率で当たるくじを100回ひいて1回以上当たりが出る確率は?」先ほどは1回1回当たる確率について、それまでにたくさんハズレをひこうが、アタリが出ていようが、確率は変動しないよ、というお話でした。今度は、これからまとめてやる100回について、どこかで1回でも当たりが出る確率はどのくらいあるのか、というお話です。

どのくらいの可能性で当たると思いますか? 1%ということは、100回に1回アタリが出るから、100回引けば、確実じゃないにしてもほぼ100%当たるはず…と思ったあなた、残念、勘違いです!

これをどうやって考えるかと言うとですね、100回ひいて全部外れる確率を計算します。1回くじをひいてはずれる確率は99%ですよね。2回目にくじをひく場合も、99%外れます。さっきやりましたね、何回やっても99%外れるんですよ。

じゃあ、1回目と2回目連続して外れる確率はというと、99%に99%をかければいいので、0.99×0.99=0.9801となり、約98%となります。3回連続で外れる確率は、0.99×0.99×0.99=0.970299で約97%。こうやって、100個の0.99をかける、つまり0.99の100乗をすると100回連続ではずれる確率を求めることができます。

googleで「0.99の100乗」と検索すると1発で答えがでてきますので試してみてください。大変に興味深いですよ。なんと、0.99を100個かけると、0.36603234127、つまり約36.6%という数字が出てきます。そう、なんと3割以上も当たりが出ないんです! 100回ひいて全部外れる確率が約36.6%ということは、逆に100回くじをひいて当たりが出る確率は100%-36.6%=63.4%ということになります。

つまり、約6割ですよ、1%のくじを100回ひいて当たりが出る確率というのは。だから、100回ひいたからそろそろ出ないとおかしい、というのは根本的に間違ってるんです。100回ひいてもボチボチぐらいしか出ないんです。

1%というのは100回に1回という意味のはずなのになんでそんなことが起こるんだ、と思うかもしれません。答えは簡単で、100回ひいて1回も当たらない場合が3割もある一方、2回当たるとか、3回当たるなんてこともあるからですね。そういうのを全部ならして、100に1つとなるんです。

サンクコスト 取り戻せない費用は取り戻せない

お金を使いすぎたユーザーの図

使ってしまったお金のことは、一旦除外して考えるべきなのです。

さあ、これらの確率の話をふまえた上で、今度は少し経済学の面からガチャを考えてみましょう。こんなことはないでしょうか? 「もう3万円もつぎ込んでいるのに、ここでやめたら全部無駄になってしまう!」なんて言う人。実はこれ、経済学的には間違いです。ここでやめたら3万円が無駄になる、と思っているのであれば、既にその3万円は無駄になっているのです。

こういう場合の3万円をサンクコスト、日本語で言うと埋没費用と言います。ゲームの例でお話しましょう。あるゲームをダウンロードで購入したとします。価格は8,000円。で、3時間程遊んでみたんですが、どうにも面白くありません。少々ガッカリして、色々調べてみると、このゲームを遊んだほかの人も、面白くない、この後続けてもほとんど変化は無くつまらないままだ、と言っています。

ここで、もし8,000円も払ったんだから最後まで遊ばないともったいない、と思うと、この後10時間か、20時間か、つまらないゲームを遊び続けることになります。逆に、8,000円のことはあきらめて違うことに時間を使おうと思えば、有意義に過ごせるかもしれません。

こういう、既に使って取り返せない費用のことをサンクコストと言うんですね。サンクコストはもう何をしても取り戻せないので、上記の例で言えば、回収できない費用を回収する気になって無駄な時間を過ごすよりも、さっさとあきらめて別のことをした方が合理的ではないか、と考えるわけです。

これまでお話した通り、ガチャに何万つぎ込んだとしても、次に当たる確率が変わるわけじゃありません。そして、たくさんやっても当たらない人は当たりません。使ったお金は何をしてもかえってきません。その上でです、まだガチャを回したいと思えばやればいいですし、ちょっとお金使いすぎたと思えば即座にやめるべきなのです。

いかがだったでしょうか、ガチャをまわす時に思い出していただいて、ちょっと冷静になっていただければ嬉しい限りです。最後に、ゲーム全般においては、これらの考え方が必ずしも当てはまらないということを説明して終わりたいと思います。

ゲームは熱く、課金は冷静に

ドラクエの図

ゲームには色んな確率がありますが、その計算方法は様々です(イラスト 橋本モチチ)

さあ、いかがだったでしょうか。冷静に判断できているのであれば、1,000円でも、1万円でも、100万円でも使えばいいとガイドは思います。それだけの価値があると思えば、楽しければいいのです。ゲームとはそういうものです。でも、なんだか頭に血が上ってしまってわけわからなくなったら、ちょっとこの記事を思い出してみてください

ちなみに、今回確率の話やサンクコストの話をしましたが、ゲーム全般に関して言うと、これに当てはまらないことはたくさんあります。最後にその話をして終わりたいと思います。

例えば、ゲームの進行に必ず必要なアイテムが、ある一定確率で敵を倒すと手に入る、という時、ごくごく稀に何百回やっても手に入らない人がいる、というのでは困りますよね。何しろゲームというのは、何万とか、何十万とか、下手をすると何百万という人が遊ぶわけですから。ごくごく稀にぐらいの話はどこかで起こってしまいそうです。

例えば、10%で手に入るアイテムだとどうでしょう。10回やったら必ず手に入る…と思う人はもういませんね。100回やって全部外れる可能性は、0.9の100乗で、0.00002656139、約0.003%。10万人に3人です。多くないですかこれ、いますよね普通に。

これを解決する方法として、例えば、はずれが出る度にクジを減らす方法があります。10個のクジを用意して、はずれたら次はクジが9個になる。どんどん減っていく方式。これだと必ず10回以内に当たります。

あるいは、何回に1回は必ず当たる、というような方法をとる場合もあります。出る確率は決まっているんだけど、それと関係なく、5回連続ではずれたら次の1回は当たりになる、みたいな。これだと連続で当たるラッキーみたいなことも演出しつつ、ハズレが出すぎてゲンナリするのもふせげます。

というわけで、普通にゲームを遊ぶ時は、そろそろ出るはずだ…はボチボチ通用したりします。特にそれがなければ先に進めない、というようなアイテムの時はそうです。よくできているゲームほど、そういったプレイヤーの感覚を大切にして、その為の工夫が施されているものです。

とはいえ、お金をだしてアタリハズレが出るガチャがそうやって作られているという話ではありませんからね。ゲームにはいくら熱くなってもかまいませんが、課金をする時は冷静にお願いします。

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