双方の世帯にある二世帯住宅のメリット
二世帯住宅には、親世帯、子世帯ともにいろいろなメリットがあります。どんなメリットがあるのか、まとめておきましょう。まずは、経済的なメリットです。
例えば、二世帯住宅は親世帯が所有している敷地に建てるケースが多く見られます。この場合、新たな土地取得費用がかかりません。子世帯にとっては土地代がかからないこと、親世帯にとっては全体の費用が抑えられたまま新しい住宅が手に入れられることがメリットとなります。また、玄関を共用にする、あるいは浴室を共用にするなど、一部であっても共用部分をつくることで、世帯全体で使用するエネルギーが抑えられ、光熱費を削減できるというメリットも生まれます。
多様な世代と接することで子どもの成長にもプラスになるでしょう
子世帯の具体的なメリットは、家事協力が受けられるということでしょう。食事の用意や洗濯、ちょっとした買い物など、親世帯が家事を協力してくれることは、特に共働き世帯にとって大きなメリットになります。どうしても仕事で帰宅できないときに子どもが病気になってしまった場合など、緊急時の対応や、旅行や帰省で留守にする時などに安心感があることも大きなメリットです。
これ以外にも、子どもがおじいちゃんやおばあちゃんといった世代と触れ合うことは、教育や文化的な側面で子どもの成長にプラスになるといった、目に見えないメリットもあると考えます。また、将来的には、親世帯が使用していたスペースを賃貸に出すことで、収入を得られるという可能性もあるでしょう。
親世帯から見たメリットとしては、生活に張り合いが出る、話し相手や相談相手がいるということが挙げられます。子世帯がいることの安心感ですね。
ご年配の方に話を伺うと、話し相手がいることは生活の上でかなり重要な要素になっているようです。それだけでなく、高いところの電球を交換するとか、ちょっとした身の回りの手助けをしてもらえることや、先々、足腰が弱くなってしまった時など、加齢期の生活サポートを受けやすいこと、若い人が住んでいることで防犯の一助になることなど、生活全般において大きな安心感が得られることが想定されます。
3階建て二世帯住宅には、高い基本性能が必要
このようにメリットの多い3階建て二世帯住宅ですが、居住人数が多く、世代を越えて暮らしていく家だからこそ、何といっても優れた基本性能が求められます。建築当初は子世帯と親世帯で暮らし始め、その後は、親世帯が亡くなることにより空いたスペースに孫世帯が入居したり、あるいは賃貸住宅にしたりと、3階建て二世帯住宅はその形態を少しずつ変えながら永く暮らしていくことができる家です。だからこそ、長期間に渡って耐久性、耐震性、断熱性など、住宅の基本性能が高く維持されていなければなりません。これまでお話ししてきた数々のメリットを長期間享受するためにも、基本性能の高さは重要なポイントです。
耐火性能も同様です。二世帯住宅は1つの建物に二世帯が住むため、火災の可能性も2倍になる可能性があります。万一、家の中で火事が起きてしまったとき、上下いずれの階にも火が燃え移ることを防ぎ、さらに他世帯への影響を最小にしなければなりません。ヘーベルハウスの場合は、1階、2階、3階の床全てに耐火性能に優れたALC(軽量気泡コンクリート・ヘーベル)を使用し、延焼を食い止めるようにしています。
可変性やリフォームのしやすさも大切な要素
永く複数の世代が暮らしていくには、それぞれのライフステージにフィットした居住空間が必要になってきます。ということは、時代とともに変化していくライフステージに合わせて、その時々に合わせてリフォームができるように、頑丈な躯体でなければなりません。大空間を可能にする強靭な柱と梁で支えられるシステムラーメン構造
3階建て二世帯住宅は都市で賢く暮らすための1つの形
このように、3階建て二世帯住宅にはさまざまなメリットがありますが、実は、最大のメリットは「時代に適合した住宅」ということではないかと考えています。例えば、少子高齢化、予測しにくい経済の先行き、地球温暖化によって叫ばれる省エネルギー化など、住宅を取り巻く環境は社会的な課題と密接にリンクしています。これらの環境のもと、都市で日々快適に生活するには、限られた土地の中でゾーニングを工夫しつつ、コンパクトながらも賢い暮らしを目指したり、あるいは二世帯が寄り添うことで経済的に助け合い支えあったり、といったライフスタイルを考える必要があるでしょう。これからの時代の住まい方を先取りした住宅、それが3階建て二世帯住宅といえるのではないでしょうか。