大変革の歴史的シーズンがはじまる

「F1世界選手権」の2014年シーズンが3月14日(金)~16日(日)のオーストラリアGP(メルボルン)より幕を開ける。今年の開幕は単なる新しいシーズンの始まりに留まらない、大きな意味がある。なぜなら今年は「1.6Lターボエンジン+ERS(エネルギー回生システム)」のパワーユニット規定の元年であり、60年以上続いたF1の歴史がいよいよ本当の新時代の歴史を刻み始めるのだから。
パワーユニット

メルセデスのパワーユニット 【写真:Daimler】

これまでより遥かに少ない燃料でレース(約300kmの距離)を完走しなければならないという非常に燃費に厳しいレギュレーションが策定され、「パワーユニット」を供給するルノー、メルセデス、フェラーリの3社は新パワートレインの開発に注力し、シャシーコンストラクター(車体製造メーカー)を兼ねる各チームは新時代の規定に最適な車体を開発し、万全の体制で開幕を迎えるはずだった。

ところがどっこい、1月のヘレス(スペイン)で始まったウインターテストでは新時代ならではというべきか、マシントラブルが頻発。1日のテストをまともに走りきれないマシンも続出し、開幕戦の完走すらクエスチョンマークがつく状況で開幕を迎えるチームも多い。ここ数年、エンジンの排気量などの変更やKERS(運動エネルギー回生システム)の導入など、変革の年は何度もあったが、F1チームはそれを持ち前の高い技術力と組織の統率力で乗り越えてきた。しかし、今年のF1は技術力やノウハウは超優良企業とも言えるF1チームや自動車メーカーの力をもってしても難しい課題に直面している。完走率はこれまで以上に低くなることが予想され、久しぶりに大波乱中の大波乱のシーズンになりそうな予感がする。
レッドブルRB10

テスト走行するレッドブルRB10 【写真:PIRELLI】


11チーム22人の精鋭に小林可夢偉も!

全19戦で争われる2014年シーズンを戦うのは全11チーム、22人。移籍状況としては「レッドブル」からマーク・ウェバーが引退し、4度の世界王者に輝いたセバスチャン・ベッテルのチームメイトにダニエル・リカルドが就任。「フェラーリ」にはマッサに代わって、キミ・ライコネンが出戻った。フェリペ・マッサはメルセデスのパワーユニットにスイッチした「ウィリアムズ」に移籍。ライコネンの抜けた「ロータス」には優勝経験もあるパストール・マルドナドが移籍した。そして、「マクラーレン」は新人のケビン・マグヌッセンを大胆に起用。「メルセデスAMG」と「マルーシャ」を除く9チームでドライバーラインナップが変わる、移籍ドライバーの多いシーズンオフでもあった。
Teams

2014年F1ラインナップ。カーナンバーは今年からドライバーが自由に選択できるようになった。

そんな中、昨年はフェラーリのGTチームでWECを戦っていた小林可夢偉が2年ぶりに「ケータハム」からF1復帰することになったことは日本のファンにとって嬉しいことだろう。ただ、ウインターテストの状況を見る限り、ルノーのパワーユニットを積むチームは非常に厳しい状況にあり、粘り強く完走を狙うしかない状況も浮き彫りになった。

とはいえ、何が起きるか全く予想がつかない今年のF1。きっと近年稀に見る、面白いシーズンになることは間違いなさそうだ。今回はF1開幕前プレビューとして様々な話題をお届けしよう。