2月11日放送の『福家警部補の挨拶』第5話「相棒」は犯人役が板尾創路、被害者役がほんこん。「130R」の二人が漫才コンビ「京阪のぼり・くだり」としてひさびさに漫才を見せてくれるというので楽しみに見てみました。

全盛期には「全国漫才大賞」を受賞するなど一世を風靡したが今はサッパリという設定に合わせたのか、舞台上で演じられた漫才はおもしろくはありませんでした。そもそも京阪のぼり(板尾)がツッコミ、くだり(ほんこん)がボケと本来の130Rとは逆ですし。


ドラマの中の漫才

今回はプロ同士、それも本来のコンビがそのままでてくるという形だけに期待したんですが、一般にドラマの中で漫才が演じられておもしろいことはめったにありません。

連ドラで漫才を中心にした作品というと1996年の『こんな私に誰がした』がありました。大地(筒井道隆)と健司(武田真治)の二人が次々と大物芸人を育ててきた伝説の芸能マネージャー・大松陽子(江角マキコ)にスカウトされるというもの。ただし肝心の漫才がおもしろくないのでサクセスストーリーにも説得力がありませんでした。

また2001年にNHK大阪制作で吉本の学校・NSCをモデルにした『グッド★コンビネーション』というのもありました。こちらはまだ学校だからおもしろくなくてもドラマは成立します。鳥羽純、安達祐実、川岡大次郎がメインでその年に始まったM1グランプリをとる直前の中川家の二人も主人公グループにいました。

単発ドラマでは同じ2001年に豊川悦司原作・演出・脚本でタイトルそのものズバリ『夫婦漫才』というのがありました。コンビを組んだのは中山美穂・甲本雅裕。

2005年には『ラスト・プレゼント』。韓流映画が原作で、堂本剛・伊藤淳史が演じる売れないコンビ、21世紀少年が「お笑い王決定戦」を勝ち抜く姿を描くドラマ。KinKi Kidsで堂本光一といい呼吸を見せる堂本剛だけになんとかしてくれるんではないかと思いましたが、やはり漫才は笑えません。

 

呼吸と間

なぜドラマの中の漫才はおもしろくないのか? コントだと喜劇の延長でできるから俳優でもやりやすい、NHKの『サラリーマンNEO』『祝女』は俳優メインで喜劇とコントの中間ぐらいのことをしています。

落語は究極の一人芝居ともいわれ、風間杜夫が落語会してたり、三林京子が桂米朝に入門して桂すずめになったりしています。『タイガー&ドラゴン』『ちりとてちん』など落語を中心にしたドラマの中でも様になっています。

漫才ならではの相方との微妙な間、呼吸。プロのコンビも練習と経験を積まなくては身につかないだけに、簡単ではないようです。

 

次は「漫才がおもしろかったドラマは


おもしろかったのは

俳優同士の漫才がおもしろかったドラマといえば、マイナーですけど93年「7つの離婚サスペンス」シリーズの中の一編『すかんたこ』。内藤剛志・室井滋が実生活では離婚している夫婦漫才コンビを演じました。

内藤剛志は大阪出身で昔からの漫才好き。近年でも『水戸黄門』や『科捜研の女』で京都にきている時は大阪までよく見に行くそうです。ABCお笑い新人グランプリやNHK上方漫才コンテストの審査員もつとめ、昨年末の「THE MANZAI」ではスタジオ観覧していました。漫才のことがよくわかっています。

 

漫才メインでないドラマとしては2000年、松本人志・中居正広主演の学園ドラマ『伝説の教師』。学園祭で漫才をした回があり、本職のダウンタウン松本にバラエティセンスのある中居正広だけにさすがでした。

また舞台ですが2012、2013年に公演された『ええから加減』は藤山直美・高畑淳子が上方漫才コンビになり、漫才監修はますだおかだ増田。舞台も劇中漫才もおもしろかったようです。


歴史ならば

しゃべくり漫才の祖、エンタツ・アチャコの有名な「早慶戦」を今聞くとやはり今とは違うなと思いますので、ドラマも昔の漫才だと気にならず、芸能史的に楽しめます。

1984年の『心はいつもラムネ色』は朝ドラではめずらしい男性主役(新藤栄作)で上方漫才の父と呼ばれる漫才作家・秋田実がモデル。レジェンド漫才師も名前を微妙に変えて登場し、エンタツ・アチャコを演じたのが岸部一徳・角野卓造、ワカナ・一郎が田中好子・せんだみつお、蝶々・雄二が藤山直美・桂小米朝(現・桂米團治)の大物芸人の二世コンビ。

ミヤコ蝶々を題材にしては大石静が二回脚本を書いていて、2007年のスペシャルドラマ『ミヤコ蝶々ものがたり』は主演・久本雅美、南都雄二役が山本太郎。2012年の東海テレビ昼ドラ『鈴子の恋』は映美くらら主演で、南都雄二役が山崎樹範。

『鈴子の恋』でおもしろかったのはミヤコ蝶々最初の夫・三遊亭柳枝(神保悟志)。落語家から漫才師になり、戦後に吉本新喜劇のベースになったといわれる柳枝劇団を旗揚げ。どういう芸人かと思っていたのですが、東海テレビ昼ドラではおなじみ神保悟志のエロい演技もはまり、イメージできました。

脚本のもう一人、長沖渉は元NHKディレクターで大石静とは『ふたりっ子』でコンビを組み大ヒットさせました。その父は秋田実の親友で吉本興業の文芸部長もつとめた長沖一(『心はいつもラムネ色』では美木良介演じる主人公の親友役として登場)。そのあたりの知識も『鈴子の恋』に反映されたんでしょう。

2時間サスペンスの異色作

最後に異色作としてあげたいのは2002年の『女マネージャー金子かおる 哀しみの事件簿1』。

金子かおる(久本雅美)は半田俊治(生瀬勝久)と鳥羽善次郎(板尾創路)のお笑いコンビ・スリートップのマネージャー。コンビが成功しかけてきた矢先、半田が殺人事件の容疑者として逮捕される。かおるはなんとかしようと奔走するが……という2時間サスペンスの定番パターンと思いきや、結末は意外な展開を見せます。

脚本は『TRICK』の蒔田光治。詳しく書くとネタバレするのでできませんが、再放送の機会があればご覧ください。
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