収納/収納関連情報

非常食の収納ノウハウ!防災に役立つ整理方法

東日本大震災を仙台市内で経験し、これまでの備え方では不十分だと語る整理収納アドバイザー。その被災体験をもとに培った、非常食の収納ノウハウ・アイデアを公開してもらいました。水や保存食などの備蓄をボックスケースなどに収納するポイントとは。

すはら ひろこ

執筆者:すはら ひろこ

収納ガイド

収納のプロが教える非常食収納方法

いつ起こるか分からない災害への危機意識はあるものの、どう備えてよいか分からないという話をよく耳にします。生活トレンド研究所の調査によると、災害への備え方は、まだ十分とは言えない結果となっています。

これまで当たり前のように使っていたライフラインが停止したときに、実際に役立った食品は何?自宅で待機生活を送った、整理収納アドバイザーの澁川真希さんが提案する、食品備蓄とその収納法をご紹介しましょう。
   

収納しておいた備蓄を活用! 食生活で取り戻す平常心

2人の小学生をもつ澁川さん。仕事をしながら子育てをするなかで被災したときに、最も強く意識したのは、「子どもたちが不安にならないように、ふだんの食生活に近い状況をつくりだすこと」だったとか。とは言え、灯りもなく水も出ない生活なので、キャンプの経験が役立ったようで、ランタンとカセットコンロは、常備しておきたいアイテムだと言います。
収納のプロが教える非常食収納方法

お米は5キロを2袋常備。収納スペースは、そのために日ごろから整理している

飲食用の水と熱源があれば、簡単な食事作りができます。また、レトルト食品を温めるときに使えるよう、水道水をペットボトルで用意しておくとよいそうです。そして、被災直後の夕食には、まず冷蔵庫の中身を使って調理。意外にも、その日は食材をふんだんに使った献立になったので、子どもたちに安心感を与えることができたとのことです。被災しても自宅で過ごせるなら、いつもの食品ストックを活かすことができます。

そこで、澁川さんが揃えている食材を公開してもらいました。
 

日常も非常時も使える食材は?

「災害専用食品はほとんど使わなかった」と、澁川さんは言います。備蓄用イコール災害用食品と思い込んでしまいがちですが、日常よく使う食品を中心に揃えるのがおすすめだそうです。そこで実際に、どんなアイテムがあったらよいのかを紹介してもらいました。

■缶詰
ふだんから使い慣れている缶詰を常備。トマトの水煮缶はパスタソースやカレーに使えます。サバの水煮缶は、肉や魚がないときに大根と一緒に煮るなどすれば、タンパク源になります。

■レトルト食品
カレーや丼ものは便利です。沸かした湯も使いまわしがききます。
非常食品と缶詰ストック収納

上:非常食専用の食品を一つの入れ物にまとめて収納 下:常備したい食品の一覧表を作って一緒に収納しておくとよい

■インスタント食品
フリーズドライの卵スープ、コーンスープなど。お湯が沸かせれば、すぐに食べられるので便利です。

乾物
乾燥ワカメや春雨は、みそ汁の具や酢の物など活用度が高いです。ふだんから食べているので、子どもたちも喜んで食べてくれます。

野菜ジュース
トマトジュースはそのままでもよいのですが、ミネストローネ風スープにも使えます。被災すると冷たいままの食べ物が中心となるので、温かいスープがあるだけでホッとできて満足度が上がります。具だくさんのスープにすると栄養バランスがよく、体調管理に役立つのでおすすめです。

さらに、被災後数日は使える、冷蔵庫の食品について紹介します。
 

冷蔵庫にある食品から消費

災害で停電したときには、冷蔵庫に残っている食品から使うことになります。こちらは日持ちしないので、早めに消費していくわけですが、夏場は衛生面での注意が必要。また、「冷凍庫には日頃から保冷剤を冷凍したり、食材をいっぱいに入れておくことをおすすめします」とのこと。凍った食材同士が保冷の役目を果たすので、停電後も溶けにくくなるからだそうです。

ご飯とパン
停電時には、炊飯器に残っていたご飯をフライパンで温めればOK。冷凍ご飯をスープに入れておじやに、冷凍パンはキャンプ用コンロを使って、フライパンで焼くだけなのでお助け食材です。

薄力粉、強力粉など粉もの
電気が復旧した後に、薄力粉でお好み焼きを作った経験があるので、粉ものもあると安心。ホームベーカリーでパンを焼いた友人もいて、食事で日常を取り戻すことが大切だと実感したそうです。
冷蔵庫収納

発泡スチロールの箱やクーラーボックスもあると便利

冷凍食品
真っ先にお弁当用の冷凍食品を消費して、そのあとに冷凍の肉を調理。物流がストップすると生鮮品が手に入りにくいので、ふだんからストックしておくと安心。

食材選びにあたっては、ふだんから食べなれているという点がポイントになりますが、そのほかに準備しておくとよいもがあります。

「6リットル分の水道水を、ペットボトルに汲み置きするようになったのは震災後のことです。やかんがあったのでお湯をかわすのに役立ちました。沸かしたお湯は、ステンレス魔法瓶に入れて保温しておくと、沸かしなおす必要がありません」

また、「保温調理用の鍋はガスの使用時間が短くて済み、さらに長時間保温できたので、持っていてよかったと実感した道具です。キャンプでも使用していた水用のタンクもおすすめ」と澁川さんは言います。そして、水道水は直射日光を避けて涼しい場所で保管するようにしましょう。

食生活は、家庭ごとにそれぞれの特徴があります。今回教えていただいた食品は、あくまでも澁川さん宅の実例です。以上のアイテムを参考にして、わが家の食品ストックを見つけましょう

最後に、揃えた食品のしまい方についてご紹介します。
 

食品の収納方法

澁川さんは、3LDKのマンションで暮らしています。玄関から中廊下を通って、LDKにつながっているという間取りです。すでにご紹介したとおり、ふだんから食品ストックをしているわけですが、それらの収納場所ついて教えてもらいました。

日常的によく使っている食品は、キッチンの食品庫内に収納して、缶詰やストック用ジュースなど、たまに使う食品はLDK近くにある廊下収納を活用。そして、非常食用の乾パンやクラッカー、ペットボトルの水は、玄関収納の一部を専用スペースとして使っているそうです。
玄関と廊下収納

右:廊下収納 左:玄関収納 ケースで購入するペットボトルの水は、玄関に収納できるのは合理的

食品専用のストックルームとして、十分なスペースのある家は別として、多くの住まいが収納不足で悩んでいるはず。日用品すら入りきらないという家庭も少なくありません。キッチン収納では不十分だというときには、他の収納場所を使って補う必要があります。

そういった場合でも、どこにどんなアイテムをしまうといった、方針を決めておくことが肝心だそうです。たとえば使う頻度で分けるとか、重たいペットボトルだけ別の所にしまうといった具合に、家の間取りと収納場所に合ったやり方を検討しましょう。
 

非常食を収納するときのポイント1

一か所にまとめて収納するとしても、在庫数と賞味期限の点検が必要です。また、何か所かに分けてストックする分散収納の場合には、特に注意しておきたいことがあります。
食品庫パントリー

キッチンにある食品ストックの収納庫。よく使う食品が入っている

何処に何があるか分からない状態でしまっていると、非常時に慌てることになります。
まずは、日ごろからきちんと整理しておくことが肝心。見つけやすくて、出し入れしやすいというのが基本です。たとえば、種類別に収納ケースにまとめておくことと、入れ物には持ち手がついていること、そして目線の高さにあって無理なく取り出せるようにします。

家族のために、もう1つやっておきたいしまい方があります。
 

非常食を収納するときのポイント2

誰が見てもひと目で分かるようにするために、入れ物にはラベルを貼っておきます。仮に親が不在であっても、子どもたちで食べられるようにしておくことが欠かせないとのことです。

「お手伝いの一環として子どもに食材を取り出してらうと、場所も覚えてもらうのにも役立ち、子どもだけで収納場所から取り出せるかどうかも確認もできる」と、澁川さんは言います。また、ラベルには必要数を書いておくと、補充する目安になります。
食品の賞味期限管理とラベル

賞味期限が読みにくい食品には、マジックで大きく記入しておくとよい

ふだんから使っている食品は、使ったら補充するといったペースがつかみやすいのですが、非常用のものは賞味期限が長いだけに、うっかりすると期限切れに。そんな油断をなくすために、点検日をつくっておくのがおすすめだそうです。

「たとえば、3月11日あるいは1月17日、9月1日といった日にちを決めて、非常食品や持ち出し袋の中身をチェック。期限切れになる前に消費して、新しいものに入れ替えておくと安心ですよ」と澁川さん。

また、「家族がどの食品が好きなのか?缶詰や乾物など、ふだんの献立に使って食べ比べをしてもらうと、食べなれた食品を上手に選んでストックできます」とのこと。非常時の備えは特別なことではなく、今すぐにできることばかりです。

いざというときにも役立つ食品ストック法を、家族と一緒に取り組みましょう。

取材協力
澁川真希さん(整理収納アドバイザー)
http://comfort-style.cocolog-nifty.com/blog/
冊子「整理収納のプロが考えた減災への備え」(300円)を使った、減災整理セミナーを開催中。
詳細はCOMFORT STYLE  http://www.comfort-s.jp/
電話03-5875-6837(受付/平日9:00~18:00)


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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