あ、これ、間違いなくいい靴だ!

外羽根式プレーントウ

RENDOの外羽根式プレーントウです。シンプルですが活用の範囲が抜群に広い、このブランドを主宰する吉見氏一押しのモデルです。他のモデルもそうですが、レザーソール仕様は出し縫いはシンプルに前半分のみ。一方ダイナイトラバーソール仕様はそれを全周させるのも特徴です。アッパー:黒のみ。ソール:レザー・ダイナイトラバー。サイズ:6~9.5。税込み価格3万9900円(RENDO TEL:03-6802-3825)

昨年の勤労感謝の日あたりから、飯野のところに紳士靴関係の複数の方から似たようなメールを頂くようになりました。

曰く「12月に、間違いなく気にいる紳士靴ブランドとその直営店が浅草にできるので、まずはお店に遊びに行ってみて下さい」「日本の紳士靴作りが、今後どう成長して行くのかを占うブランドになると思うので、オールアバウトで採り上げてくれると嬉しいのですが」「自分とはハッキリ言ってライバルと言うか商売敵になってしまうのですが、このブランドはどうか成功して欲しい」(以上全て原文のママ)

商売敵の方からもエールがいただけるなんて、これは相当に期待が持てるじゃないですか。早速年明け早々、このお店を見に浅草に出向くと、靴と目が合った瞬間、身体に電気が走りました。あからさまなデザイン上の特徴こそ見当たらないものの、その分全体のバランスに優れ、そして作りの丁寧さが際立っていたからです。作り手の思いが何気なくもしっかり刻みこまれた靴、とでも申したらいいのでしょうか。確かにこれは皆さんの仰る通り、日本の紳士靴をまた一歩前に進める存在になる!

と言うことで今回と次回はこの靴、すなわち昨年の12月に浅草に開店したばかりの紳士靴店RENDO(レンド)の靴について、熱く語らせて下さいませ。

まずはこのRENDO、どんな方が立ち上げたブランドなのか、次のページでご紹介!

企画から仕上げまで、全て東京。もちろん販売も!

内羽根式ストレートチップ

RENDOの内羽根式ストレートチップです。普遍的かつ端正な顔立ちなので、身嗜みを重んじるビジネスマンの方なら何足でも持っていたくなる筈。そしてそれを無理なく実現できる価格も魅力です。アッパー:黒のみ。ソール:レザー・ダイナイトラバー。サイズ:6~9.5。税込み価格3万9900円(RENDO TEL:03-6802-3825)

銀座線の駅から数分歩くだけで靴の部材を卸売りするお店が何軒か見えて来る、日本の靴作りの中心地であり続ける東京が誇る下町・浅草。今回ご紹介するRENDOの靴も、店舗のみならず製造もこの浅草で高い技術力を誇るファクトリーで行われる、正真正銘のメード・イン・東京です。靴の設計に始まりデザイン、製造、販売、そして修理までこの浅草で行われる訳で、このRENDOと言うブランド名も、そう言った様々な人が密接に「連動」することで漸く一足の靴が完成することを、より多くの人に伝えたいとの思いで付けたのだそうです。

ブランドを立ち上げた吉見鉄平氏は、まだ30代半ばながらこの浅草で長年靴作りに関わって来た経験の持ち主です。前出のファクトリーで型紙(パターン)を製作するパターンナーとしてキャリアを積んだ後に独立し、これまで主にセレクトショップのオリジナルシューズの企画や設計に数多く携わってきた、言わば縁の下の大立役者。それと同時に、履き心地を大きく左右すると共に型紙とも切っても切れない縁にある木型の設計をより深く理解すべく、著名な誂え靴=ビスポークの靴職人に師事するなど研鑽を積み重ね、自らのブランドへの準備を一歩一歩進めて来ました。

誂え靴の分野ではともかくとして、分業化が進む日本の既製靴の業界で、吉見氏のように木型と型紙の双方をゼロから設計できる人材は、実はそう多くはいません。既製靴の木型は一般的にはその専門業者に設計を全て外注するのが通例ですが、彼はこれまでの経験で得た技術を活かし、RENDOの靴は型紙のみならず木型も自らの手で設計したものを用いています。第一印象の「バランスの良さ」「纏まりの良さ」は、恐らくこれに起因しているのでしょう。スタートに際しては、外羽根式プレーントウ、内羽根式のストレートチップとパンチドキャップトウ、そしてサイドエラスティックシューズの基本にして永遠の4つのモデルを用意してくれましたが、どの靴もファッション以上に「身嗜み」と言う表現の方がピッタリとはまる、凛とした印象の靴です。
内羽根式パンチドキャップトウ

RENDOの内羽根式パンチドキャップトウです。トウキャップだけでなく鳩目廻りにも異なる大きさのブローギングを施してあるのが特徴。上のストレートチップとはまた一味違う、華やかな雰囲気です。アッパー:黒・焦げ茶。ソール:レザー・ダイナイトラバー。サイズ:6~9.5。税込み価格3万9900円(RENDO TEL:03-6802-3825)

では、実際に履くとどうなのか? は次のページで!

側面と甲周りの押さえが秀逸!

無駄な皺が出ない!

試着してみて個人的に一番好きなフィット感を得られたのは、この外羽根式プレーントウです。土踏まず部や二の甲より後ろを自然に、しかししっかりとホールドしてくれます。特に側面の押さえが絶妙! これまでの日本の紳士靴では滅多に味わえなかった感触です。

ドレスシューズの王道的な顔立ちが好印象のRENDOの靴。実際の履き心地は? と言うことで早速試着させていただきました。まずは内羽根式のパンチドキャップトウから履かせていただいたのですが…… ほうほう、特にかかとから甲にかけての側面、すなわち左右方向にかけての押さえがしっかりとしつつもキツ過ぎず緩過ぎず、丁度良い塩梅なのが特徴です。靴に足の土踏まずが何の違和感もなく乗り、従来の日本の紳士靴の「隠れた弱点」であり飯野も実は結構泣かされて来たトップライン=履き口の線も自然で、一般の方より若干低目の位置にある私のくるぶしであっても全く干渉しません。

かつての甲高幅広のイメージが完全に崩壊した今日の日本人男性の足型に合わせ、全体的な細さは一般的なイギリス靴のEとDの間、日本のJIS換算だとD相当だと思います。ただ無理に尖らせたような造形のトウシェイプではないので、足の指を左右方向では不自然な圧迫を感じることなく、上下方向には適度に動かすことが可能で、要は指を使って歩けることを存分に実感できるのも大きな魅力です。その一方でボールジョイントから二の甲にかけてはパシッとホールドされるので、靴の中で足が泳ぐこともなく、なおさら指が上手く動かせる訳です。
サイドエラスティックシューズ

RENDOのサイドエラスティックシューズです。両サイドにあるゴムを裏打ちするスリットパーツの曲線が、何気なくも非常にかっこいい! 他のモデルと木型は同一ながら、このモデルは甲が高めの方に向いているかも? アッパー:黒・焦げ茶。ソール:レザーのみ。サイズ:6~9.5。税込み価格3万9900円(RENDO TEL:03-6802-3825)

今のところどのモデルも同じ木型を用いていることもあり、やや甲高な人にはサイドエラスティックが、より柔軟なフィット感を重視する方には外羽根式のプレーントウがお勧めと言えるかも。ただ、いずれの靴の場合も履いていて、アッパーの革に変な余り皺や突起は生じません。木型の設計が優れているのみならず、型紙との相性も良い何よりもの証拠! 双方を吉見氏が一括して作製しているので当然と言えば当然の強みで、何度も書きますがとにかく見た目も履き心地もバランスの良い靴ですよ。

で、この「バランスの良さ」については実は見えないところにも秘密があるのですが、それは後編でご紹介!

【店舗紹介】
RENDO
住所:東京都台東区浅草7-5-5
アクセス:東京メトロ銀座線浅草駅より徒歩13分
TEL:03-6802-3825
営業時間:12:00~20:00
定休日:日曜日・祝日
HP:RENDO SHOE and REPAIR
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