人間は生まれてから死ぬまで、生涯に渡って発達する

「人間は段階的に発達する」という発達段階説を提唱したのは、ピアジェ、フロイト、エリクソンらです。そのうち、ピアジェとフロイトの発達段階説では思春期以前の区分けが集中していますが、「人間は生まれてから死ぬまで、生涯に渡って発達する」と提唱したのが精神分析家のエリクソンです。

エリクソンは人間の一生を8段階<乳児期、幼児期前期、幼児期後期、児童期、青年期、成年期初期、成年期中期、成年期後期(老年期)>に分け、各段階に発達課題を設けています。前回の予習問題の解答、老年期の発達課題は、統合感の獲得です。過去の試験で出題されたハヴィガーストは発達段階という概念を初めて提唱しました。
 

高齢になっても維持されるのは結晶性知能?流動性知能?

ここからは、老化に伴って生じる変化について学んでいきましょう。知能には結晶性知能と流動性知能があります。結晶性知能は経験や知識の豊かさと結びついている能力で高齢期になっても維持されます。一方、流動性知能は新しい環境に手適応する能力で、個人差はありますが老化とともに低下します。

さらに高齢者の身体的な特徴としては、免疫機能の低下(過去の試験で出題された内容)、皮膚の乾燥化、視覚は寒色や暗色が見えにくくなる、聴覚は高音域が聴こえにくくなります。外耳から内耳にかけての伝音器(体の外の音を体内に伝える)障害がある伝音性難聴の場合、補聴器の使用が有効であることが多いですが、内耳などの感音器(体内に取り込んだ振動を脳に伝える)に障害がある感音性難聴は補聴器の効果は△です。
 
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高齢になるととくに高音域の聴力が低下する。補聴器を用いて聴力を補う対応をすることも


第30回(2017年度)介護福祉士国家試験の【発達と老化の理解】の科目では、以下の問題が出題されました。

老化に伴う感覚や知覚の変化に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
 
  1. 「1時(いちじ)」と「7時(しちじ)」のような似た音を聞き取ることが難しくなる。
  2. 暗さに目が慣れる能力よりも,まぶしさに目が慣れる能力が低下する。
  3. 味覚の低下は個人差が少ない。
  4. 高音域よりも、低音域の音が聞こえにくくなる。
  5. 通常の明るさよりも、薄暗い方がよく物が見える。

正解は1です。上記で解説したとおり、高齢者は「感音性難聴」が多く、感音声難聴は、音声情報を「音」としては認識していても、「言葉」として正確に内容を聞き取ることが難しくなります。

2の設問に迷った方もいるかもしれません。暗さに目が慣れる能力(暗順応)と明順応(明順応)は、「どちらも」低下します。「~よりも」という表現は要注意です。3の味覚の低下についてはこれまでの生活環境の違いなどから個人差が大きいといえます。4は上記で解説しています。5について、いわゆる「老眼」は暗いところが苦手になります。

脳血管障害(脳卒中)には、脳梗塞(のうこうそく・徐々に血管がつまる脳血栓、急に血管がつまる脳塞栓がある)や頭蓋内出血(とうがいないしゅっけつ・脳内の血管が破れる脳出血、脳表面の血管が破れるくも膜下出血)があります。

脳・神経系疾患には、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などが挙げられ、パーキンソン病の4大運動症状として振戦(手の震え)、固縮(筋のこわばり)、無動(動作が遅くなる)、姿勢・歩行障害(前屈姿勢、歩幅が狭く、歩行速度は遅くなる)があります。

第30回(2017年度)介護福祉士国家試験の【発達と老化の理解】の科目では、以下の問題が出題されました。

パーキンソン病(Parkinson disease)の症状として、適切なものを1つ選びなさい。
 
  1. 後屈した姿勢
  2. 大股な歩行
  3. 血圧の上昇
  4. 頻回な下痢
  5. 無表情

姿勢や歩行については上記で解説しています。ほかに自立神経障害(便秘、起立性低血圧など)を伴うことが知られるようになっています。

問題の正解は5です。パーキンソン病の特徴のひとつに、表情が変化に乏しくなる(仮面様顔貌・かめんようがんぼう)ことが挙げられます(参考:難病情報センターホームページ)。

次に血圧に関する病気です。最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHg以上になると高血圧です(参考:国立循環器病研究センターのホームページ)。過去に筆記試験で出題された内容ですが、血圧が高い人には、心臓への負担はかけないようにします。
 
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「血圧」とは血液が内側から血管壁に及ぼす圧力の大きさのこと。血圧は測定時の姿勢に影響されます


心疾患の狭心症については、心電図で発作時でないと異常が見られません。発作時には薬のニトログリセリンを舌の下で溶かします。
 

女性に多い尿失禁とは?

尿失禁は、失禁とは自分の意志とは関係なく尿がもれてしまうことです。過去の筆記試験で出題されましたが、中高年の女性は、咳をした際などに腹圧がかかったときにもれる腹圧性尿失禁が多いとされています。ほかに、膀胱の筋肉の衰えから生じる切迫性尿失禁や前立腺肥大などが原因の溢流性尿失禁などがあります。

糖尿病は、インスリンの量や作用が足りなくなり、血糖の上昇を抑えられなくなることで生じます。膵臓の細胞がなんらかの原因でこわされ、インスリンがまったく(あるいはごくわずかだけ)作れなくなる「1型糖尿病」と過食や運動不足などが誘因となる「2型糖尿病」に分けられます。
 

メタボに該当するのは腹囲何センチ以上?

ちなみにメタボリックシンドローム(内臓肥満症候群)は心臓病や脳卒中などの病気が引き起こしやすくなった状態のことで、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併している人が該当します。腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上で、男女ともに、腹部CT検査の内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上に相当することなどが診断基準となっています。

最後に、日本において昭和56年より死因の第1位となっているのは、がん(悪性新生物)です。国立がん研究センターのホームページによると、2016年の死亡数が多い部位は、男性の1位が肺で、女性の1位は大腸です。大腸がん、肺がんは生活習慣が大きく関与しているといわれています。胃がんの死亡率は、検診による早期発見などで減少している傾向にあります。

予習問題:認知症の中核症状を挙げて下さい。

正解は次回の記事でお伝えします!
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