理学療法士/理学療法士試験の問題傾向と対策

理学療法士(PT)試験(義肢装具学)の問題傾向

義肢装具は、義肢装具士の登場により、一昔前に比べると、理学療法士がフィッティングや制作に関して関わる事が少なくなりました。しかし、現場では、制作前の動作確認やその後の経過、動作への影響など見ていく上で大切な知識となります。

野田 卓也

執筆者:野田 卓也

理学療法士試験ガイド

義肢装具学の問題傾向

義肢装具に関する問題は、例年、出題数が6問から10問と多い傾向にあります。背景には、社会情勢として、脳卒中患者への装具適応や、糖尿病を起因とする切断などの増加があると考えられます。

続いて出題内容ですが、義肢に関しては、義足装着時に起きる静的姿勢への影響、歩行動作時など動的変化への影響、もしくはその理由。加えて、ADL動作への影響や訓練内容について多く出題されています。装具に関しては、上肢、下肢、体幹、頚部それぞれの装具が、どういった疾患の時に使用されるのか。また、適合判定のチェックに関する問題も出題されています。また、ここ数年は症例をあげ、適応する装具を選択する問題も多く見られます。

各装具や義肢の部品などには見た目がにたようなものも多いですが、特徴と効果をしっかり押さえましょう。

義肢装具学の過去問題と解答

過去問題 第50回(2015年)
70 歳の男性。身長 180 cm、体重 90 kg。脳梗塞のため麻痺肢に内反尖足がみられる。10 m であれば独歩可能であるが、軽度の分回し歩行となる。意識してゆっくりと歩けば分回しを軽減することは可能であるが、遊脚相の股関節屈曲は増加し立脚中期に膝過伸展がみられる。 2動作前型で屋外歩行の自立を目標に理学療法を進めている。この患者に適切なのはどれか。
  1. 装具は不要
  2. 軟性足装具
  3. プラスチック短下肢装具(ショートタイプ、継手なし)
  4. プラスチック短下肢装具(つま先までの標準型、継手なし)
  5. 金属支柱付短下肢装具

この問題の答えは【5】です。この問題では、文章中にある麻痺肢の内反尖足と立脚中期の膝過伸展がポイントになります。5の金属支柱付短下肢装具は、底背屈や内反尖足に対する制御力が高く、立脚中期の膝過伸展の制御も可能になります。上記の理由から、高い制御力のある装具が必要であり、その他の選択肢は該当しないということになります。

過去問題 第49回(2014年)
背屈0~20°の範囲で自由に可動するように設定されている足継手を図に示す。この継手を、背屈5~20°で可動するように再調整する場合に、最初に動かすのはどれか。
理学療法士undefined国家試験undefined義肢装具

足継手調整の問題。他の科目同様に、現場での実践力を問われます。問題の継手はダブルクレンザックですが、継手の名称だけを問うような問題は少なくなってくるかもしれません。

この問題の答えは【4】です。まず、図の前方である1のネジは締めることで背屈角度を制限します。ということは1を締めると背屈角度は20°以下になるため間違いとなります。2は1のネジの留め具であり、1を調節する必要がないことから間違いです。続いて3ですが、これは継手の軸部でありこの調整は不要です。図の後方、5のネジは締めることで底屈を制限します。問題では、背屈0°となってますが、これは底屈0°でもあります。これを背屈5°にしますので、底屈は-5°ということになります。そこで、このネジを締めて底屈角度を制限するのです。ただ、ネジを調節するには4の留め具を緩める必要があることから、この答えは4となります。

次のページでも、引き続き義肢装具学の過去問を出題しています。
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