運動療法の問題傾向

運動療法は、毎年1問もしくは2問程度と出題数は少ないですが、臨床で行う訓練プログラムの基礎知識を問う問題が出題されています。以前は、PNFなどの神経生理学的アプローチの出題がみられましたが、ここ数年では、関節可動域訓練に関する問題や、筋力増強、ストレッチに関する問題が多いようです。また、歩行訓練に関する問題も2010年には出題されています。

運動療法の過去問題と解答

過去問題 第52回(2017年)

関節を他動的に動かしたときの正常な最終域感と関節運動の組合せで正しいのはどれか。
  1. 骨性-手指中手指節(MP)関節伸展
  2. 靱帯の伸張-下肢伸展挙上(SLR)
  3. 軟部組織の接近-膝関節屈曲
  4. 筋の伸張感-肘関節伸展
  5. 関節包の伸張-前腕回外

この問題の答えは【3】になります。臨床の現場に沿った問題ですが、実習で経験していることも多く、各関節の解剖学的知識があれば十分に対応できます。正答以外の選択肢についてですが、1の手指中手指節(MP)関節伸展では、骨性ではなく靱帯や関節包などによるやや硬めの最終域感です。2の下肢伸展挙上(SLR)では、筋肉の伸張感によるゴムのような最終域感です。4の肘関節伸展は、筋の伸張感ではなく、骨がぶつかような骨性の最終域感です。5の前腕回外は、靱帯の伸張によるやや硬めの最終域感です。

過去問題 第52回(2017年)

嫌気的代謝の過程で生成される物質はどれか。
  1. クエン酸
  2. コハク酸
  3. フマル酸
  4. ピルビン酸
  5. αケトグルタル酸

この問題の答えは【4】になります。苦手な人も多い生理学の知識を必要とする問題です。ATPを賛成するために必要な代謝の流れを復習しておくと容易な問題となります。代謝には大きく「好気性代謝」と「嫌気性代謝」があり、前者は酸素を体内で使用しエネルギー代謝を起こします。基本的にはATP-CP系、解答系、TCA回路(クレプス回路、クエン酸回路)の順で、ATPは段階的に産生されます。この中、ピルビン酸だけは、嫌気性代謝である解糖系の代謝産物であり、TCA回路で使用されるアセチルCOAの産生に必要なものです。なお、ピルビン酸以外のものは、好気性代謝で産生されます。

過去問題 第50回(2015年)

全身持久力トレーニングの長期効果について誤っているのはどれか。
  1. 血圧の低下
  2. 心拍出量の増加
  3. 最大酸素摂取量の増加
  4. 骨格筋毛細血管密度の減少
  5. 動静脈酸素含有量較差の増加

この問題の答えは【4】になります。骨格筋毛細血管密度は、骨格筋酸素使用量増加に伴い増大します。その他、全身持久力の長期効果は主に以下のようなものがあげられます。
  • 代謝:血糖低下、体脂肪低下など
  • 筋:筋量の増加、筋力増加
  • 呼吸:1回換気量、最大換気量、肺活量増加
  • 循環器:心拍出量、1回排出量増加

過去問題 第50回(2015年)

患者がある方向へ運動しようとする際に、運動を行う直前に理学療法士が反対方向へ徒手的な刺激を加えることで、目的とする運動が誘導されやすくなる。この現象に関与しているのはどれか。
  1. 相反抑制
  2. 伸張反射
  3. 屈曲反射
  4. 遠心性模写
  5. 作用・反作用の法則

この問題の答えは【2】になります。2の伸張反射の理由として、問題文の訓練では、患者の運動方向と反対方向に刺激を与える。とあることから、主動作筋へ伸張刺激を与えることが想像できます。1の相反抑制は、筋を収縮させようとした際に、その筋の拮抗筋が弛緩する作用のことです。3の屈曲反射は、画びょうを踏んだ時など、足裏に刺激が発生した際に、瞬時に足を曲げる反射です。4の遠心性模写は、運動を実行する際に作成される運動指令信号のコピーのことです。5の作用・反作用の法則は、仮に壁を10kgの力で押した場合、壁から10kgの力が反対方向にまっすぐ返ってくる作用のことです。

次のページでは、物理療法の問題傾向について説明します。