ストレス/女性に多いストレス

いつも機嫌よく過ごしたい女性のためのメンタルケアのコツ

【公認心理師が解説】女性は月経前後や更年期など、体調やホルモンバランスの変化によって、心身の状態が不安定になりやすくなります。また、不満を感じたときにその感情を煽ってしまうと、不快な思いが募ってしまうこともあります。女性だからこそ心がけたいメンタルケアのポイントをご紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

感情が感情を煽る? 怒りがヒートアップしてしまう心理とは

嫌な気持ち・沈んだ気持ち・イライラ感

ちょっと愚痴を言うだけのつもりが、怒りがヒートアップしてしまって自己嫌悪……。感情の揺れとうまく付き合うコツとは?


親しい人との間で「ちょっと聞いて。あの人ったらね」「今の仕事、こういうところがイヤ!」などと愚痴をひとしきり吐き出しあえば、気持ちはいったんすっきりするでしょう。しかし、口をついた言葉につられて、怒りの感情が煽られていないかを振り返ることも大切です。

たとえば、何気ない会話のなかで誰かがある上司のことを「ちょっと苦手なんです」と打ち明けたとします。すると「私もちょっと苦手」「部下を見下してる感じがする」「自分がいちばん偉いと思ってるんじゃないかな」というように会話がとても感情的になり、悪口が過熱していったという経験を持つの方もいるのではないでしょうか?

このように「不快な気持ち」を伝えあううちに、互いの感情が高ぶらせ、怒りを煽りあってしまうことは少なくありません。
 
<目次>

PMSや更年期などホルモンバランスの影響も受ける女性心理

また、人の心情はホルモンの影響によって大きく影響されます。女性の心の状態は、特に月経周期に影響されやすいものです。

排卵後から月経前まで高まる「プロゲステロン」という女性ホルモンは、体調の変化とともに苛立ちやあせり、憂うつ感などの感情の変化を招きます。そのため、月経が近づくとささいなことにもイライラし、普段なら聞き流せる言葉を思い返しては落ち込む、というようなことが起こりやすくなります。

この月経前の時期には、だるさや疲れやすさ、眠気、肩こり、腰痛などの身体症状なども現れやすくなります。こうした一連の月経前の不調が強いと「月経前症候群」(PMS)と診断されることもあります。PMSは月経開始とともに軽快していきますが、月経中の貧血の影響によって月経後までだるさが抜けない人も多く、1か月の大半が体調の変動に影響されてしまうという人も多いものです。

また更年期に入ると女性ホルモンが急激に減少するため、月経不順、月経異常が現れ、ほてりやのぼせ、冷えや発汗などの身体症状、苛立ちや不安、あせり、憂うつなどの精神症状が強くなる方も多くなります。このように、女性は女性特有の身体変化に心の状態が影響されやすく、気分が揺れやすい傾向があるのです。

では、女性はこうしたメンタルの揺らぎをどのように管理していけばいいのでしょうか?
 

月経周期や更年期に振り回されないために…3つの「メンタルリスク管理」のコツ

体調の変化とともにメンタルの揺らぎを感じやすい女性に、おすすめしたいメンタルリスク管理のコツを以下に3つ挙げてみましょう。

(1)「おしゃべりデー」に不快な思いを吐き出し、すっきりさせる

不快な思いは心に溜めたままにせず、時折吐き出すことで、心の落ち着きを取り戻すことが大切です。でも、家族などに毎日のように不快な思いを吐き出していると、吐き出した言葉がネガティブな感情を煽り、怒りを増幅させてしまいます。

そこで不快な思いは、あらかじめ設定した「おしゃべりデー」に思う存分吐き出すといいでしょう。「おしゃべりデー」の頻度は、人にもよりますが1~2週に1回くらいが適当ではないでしょうか。気の合う人と思う存分、不快なこと、不安なことを語り合いながら、心に溜めた思いを吐き出し、互いの思いを受け止めあいましょう。

(2)気持ちを受容、共感してくれる人に話す

(1)の「おしゃべりデー」で語り合うメンバーは、とても重要。メンバー選びのポイントは、「受容」と「共感」ができる人です。最後まで聞いて「つらいね」と受け止め、「そういう気持ち分かるよ」と共感してくれる人と話すことが大切です。

人の話を奪って自分の話に誘導する人や、最後まで聞かずに一方的なアドバイスをしたり、「なんでこうしなかったの」「それはあなたが悪い」と批評・非難する人と話をすると、疲れてしまいます。

話の途中で「あなたの思い込みじゃない?」などと腰を折る人とも、会話が進みにくいものです。「ひどい! 許せないよね!」「そんな会社、もうやめちゃえば?」などと感情を煽る人にも要注意。自分の気持ちが分からなくなり、感情に火がついたままで着地点を見失ってしまいます。受容・共感しつつも、冷静に話を聞いてくれる人を選ぶのがベストです。

(3)体調が悪い日を予測して行動する、無理をしないこと

体調が悪いときに無理をすると気分はさらに不安定になり、ネガティブに考えたり、怒りを引きずってしまうことが少なくありません。

そのため、月経周期内の気分の変動を観察し、手帳などに気分が不安定になりやすい日を記録していくのがおすすめです。そして、気分が不安定になりやすい時期には無理をせず、ぐっすり眠って体を休めることです。イライラや憂うつ、不安やあせりに襲われることがあっても、「こう感じるのも、体調がすぐれないせいなのでは?」というように落ち着いて考えてみるといいでしょう。

更年期の場合、不快な症状の現れ方は日によって異なるでしょう。したがって、特に40代以降は「無理をしない生活習慣」を心がけること。不調が続く場合には婦人科を受診し、必要な薬を処方してもらうのも有効でしょう。

体調と感情の変化を把握できれば、ストレスに対処しやすくなります。ぜひ体調と感情の変化に早めに気づき、ケアを行っていきましょう。
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