2013年に見直された、首都直下地震の被害想定

東京南部で直下地震が発生したときの家屋消失数。環七沿いに大規模な火災発生が予想される

東京南部で直下地震が発生したときの家屋消失数。環七沿いに大規模な火災発生が予想される

2013年12月、中央防災会議は今後30年以内に70%の確立で発生すると考えられる首都直下地震について、被害想定の見直しを行いました。そのシミュレーションによると、死者は最悪2万3千人と前回算出から倍増。被害総額は95兆円という大規模なものに広がりました。さらに関東大震災クラスのM8規模の地震が発生すれば、死者は7万人にも及ぶとされています。

これらの被害の中心は「地震火災」によるもの。約7割の人が「地震火災」によって亡くなるとされています。ここでは「地震火災」で多くの人が亡くなった「阪神・淡路大震災」を振り返り、その対策について考えていきたいと思います。

巨大地震発生時、揺れの次に注意すべきは「地震火災」

現在、耐震性の高い住宅(新耐震設計・築30年以内)に住んでいる方は幸いです。まず震度6強以上の直下型地震が発生すると、ほとんどの「旧耐震」住宅は全壊・半壊の状態になり、中にいる人は発生数分で死に至る可能性が高くなります。阪神・淡路大震災発生時の1995年はこの旧耐震の建物がまだ多く、震源地近くではそのほとんどが壊滅的な被害を受けました。

その後20年以上たち、日本の家屋の耐震性は制度の更新とともに飛躍的に上がったとはいえ、まだ首都圏には多くの「旧耐震」の建物が存在することも事実です。そしてその「揺れ」による直接的な被害をまぬがれたとしても、次にあなたを襲うのが「地震火災」と呼ばれる同時多発的に起きる火災です。これはあなたの住む建物がいかに頑丈であっても、関係ありません。阪神・淡路大震災ではこの「地震火災」が震源域で一斉に発生。地域全体を包むような業火となり、消火活動はなかなか進みませんでした。

「地震火災」は「消せない火災」とも呼ばれ、通常時の地域の消火能力をはるかに超える規模となる可能性があります。阪神・淡路大震災当時、その火災は点が面となって集合し、上昇気流が発生。「火炎旋風」と呼ばれる強風も発生して、さらに延焼被害を拡大させました。また「関東大震災」ではこの「火炎旋風」で避難した住民が、1カ所で4万人も焼死した、という記録も残っています。

「地震火災」を防ぐためには

今回の防災会議の新たな被害想定「東京南部直下地震」が発生した場合、首都圏で火災によって1万6千人の人が亡くなるとされています。さまざまな悪条件が重なれば、さらにその被害は拡大してもおかしくないでしょう。では、民間ではどのような準備をしておけば、自分の命と財産を守れるのでしょうか。

地震被害においてもっとも重要なのは「安全な家」に住むこと。しかし「地震火災」を考えればそこに「安全な地域」に住むことが必要となります。もしも自宅周辺が木造家屋が近接する「木造密集地域」に住んでいるのなら、「地震火災」の延焼による被害を受けることを想定しないとなりません。

「地震火災」では消防車の到着が期待できないため、消火活動の主体は「自分」と「地域」で行うことなしには防げません。まずは自宅から「失火」しないこと。さらに延焼による被害を防ぐためには「地域全体」の消火活動に自ら参加して「地震火災」発生を未然に防ぐしかありません。地域の避難訓練や防災イベントに参加することで、地域住民同士の消火訓練がどの程度行われているか、どこに問題があるかを把握することも重要です。

個別の「失火対策」としては、まず自宅の消火器の定期点検を行うこと。マンションなどで居室内に設置していない場合は、小型の簡易消火器などを台所などに装備することです。さらに失火してしまった場合は、天井に至るような火になってしまったら避難を優先します。

また、阪神・淡路大震災では、地震発生後に無人の家屋から「通電火災」と呼ばれる二次的な火災が多く発生しました。これは、停電が復旧し、通電が再開した際に発生する火災です。倒れていた電気器具や照明器具、コンセントなどからが再度通電することによって火の元になるのです。発生を防ぐためには、避難時に余裕があればブレーカーを遮断して出るか、あるいは揺れによる自動遮断するブレーカーを設置するといいでしょう。

最後にもう一度、要点の振り返りです。

  1. 首都直下地震では「火災」被害が深刻
  2. 「地震火災」は自宅の安全だけでは防げない
  3. 「消火器」「簡易消火器」をもっと身近に用意
  4. 「通電火災」にも備えておく

これらを踏まえて対策しておくことが、あなたの命と財産を守ることになるでしょう。


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