東洋医学的に見ると「痰湿」状態にある二日酔い症状

一般的にお酒の飲み過ぎと言うと肝臓の機能を高めることが重要と考えがちですが、低血糖状態が二日酔いの一因であることから、東洋医学的視点ではまず「脾(ひ)」の働きについて考えておく必要があります。

脾は「胃」をはじめとする消化器の働きをコントロールしており、胃が作り出す食物から得たエネルギー「水穀の精微(すいこくのせいび)」を全身に送り出す働きも担っています。脾は他にもこの水穀の精微から「津液(しんえき)」という体液を生成します。津液とは体内の水分の総称であり、五臓のひとつ「肺」の作用により全身への運搬が促進されるのですが、同時に肺が余分な津液を膀胱に送り体外に水分を排出すると考えられています。

多量の飲酒は脾と胃を傷つけ津液の滞りを招くことになり、こうした状態を「湿(しつ)」と言います。湿は身体に病変を起こす六邪の一つですが、濁って粘り気があり、ますます津液を硬く滞らせる原因となります。こうした湿が身体にたまった状態を「痰湿(たんしつ)」と呼びます。痰湿の状態では大量に水分をとりたくなる、トイレが近い、疲れやすく少し動くだけで汗が出る、動悸や息切れがするといった状態だけでなく、頭痛・吐き気や嘔吐、食欲不振といった典型的な二日酔いの症状が発生します。

こうしたことから、二日酔いは東洋医学では痰湿という状態であると考えることができます。

また、アセトアルデヒドが分解されて発生する酢酸の過剰が二日酔いの頭痛が発生するという説に触れましたが、東洋医学的には酢酸は木(もく)の性質を持つ「酸」であり、酸の過剰は同じ木の属性を持つ五臓の「肝(かん)」の異常を招くと考えられます。肝が異常をきたすと血の上逆により頭痛やめまいが発生すると言われており、これは二日酔いの症状と一致しています。 

二日酔い予防・対策法・症状軽減に効果的なツボ

これらのことを踏まえ、ツボを使った二日酔いの予防法と症状軽減法を考えてみましょう。

東洋医学的に二日酔いは過度の飲酒により脾胃が傷ついた状態なわけですから、まずは脾胃の力を回復させ津液の流れを改善し、身体に溜まった痰を取り除くことが重要であると考えられます。

■「陰陵泉(いんりょうせん)」「豊隆(ほうりゅう)」
脾のエネルギーを補給する陰稜泉

脾のエネルギーを補給する陰稜泉

まずは脾の力を補うと考えられている「陰陵泉(いんりょうせん)」と胃の力を補うと言われる「豊隆(ほうりゅう)」をやさしくマッサージしてみましょう。

東洋医学の考え方では、この二つのツボを刺激することで体内に溜まった痰が排出され二日酔いの症状が軽減されると考えられます。

陰陵泉は脛の骨の内側を膝下から膝に向かってさすり、膝の内側にある骨の隆起の上にあります。このツボは骨の真上にありますので、強く押すと痛みを感じやすいのでやさしくさするようにマッサージしてください。

胃のエネルギーを整える豊隆

胃のエネルギーを整える豊隆

豊隆は膝の外側と両くるぶしを結んだ真ん中の点とを結んだ線の中央にある筋の上に位置しています。

 


■「風池(ふうち)」「百会(ひゃくえ)」
風池と百会は二日酔いの頭痛を軽減すると考えられている

風池と百会は二日酔いの頭痛を軽減すると考えられている

また、酸の過剰により引き起こされると考えられる頭痛には、停滞した肝の気を整える効果があると思われる「風池(ふうち)」へのマッサージが有効でしょう。風池は後頭部の髪の生え際で、耳の後にある骨の隆起内側にあります。またこの時、頭頂部にある百会というツボを押す事でさらに効果が高まると考えられています。

 
これらのツボへのマッサージを、お酒を飲む事前に、または後にでも刺激することで二日酔いの予防や症状緩和が可能だと考えられます。

二日酔いにならないようにするためにはもちろん飲み過ぎない事やしっかり水分を補給すること、空腹での飲酒を避けることなどが大切です。そうしたことを注意した上で上記のツボを刺激し、二日酔いの万全な予防を心掛けてみましょう。
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