タワーマンションは相続税の節税対策として人気

相続税の対策はいくつかありますが、不動産を活用した節税対策は、節税金額・即効性ともに大きな効果が期待できます。その中でも「タワーマンション(高層マンション)」を活用した節税対策は効果がより大きく、特に人気があります。

ただ、平成27年11月初旬に「タワーマンション節税について、国税庁が課税を強化するように全国の国税局に指示した」旨の報道がありました。

なぜ「タワーマンション」が効果的なのか? 節税につながる仕組みと、今後の注意点を解説します。

不動産による節税対策が効果的な理由

タワーマンションは時価と評価額の乖離が大きい

タワーマンションは時価と評価額の乖離が大きい

そもそも、なぜ不動産が節税対策に効果があるのか。それは相続税や贈与税が課税される際の不動産の評価額の算出方法にあります。

たとえば時価5000万円の不動産を購入したとします。そのうち3000万円の土地の評価額が8割程度の2400万円、2000万円の建物の評価額が6割程度の1200万円と計算され、評価額は3600万円となります。つまり、1400万円の評価減になる、という仕組みです。

贈与税の基礎控除110万円の現金を何年にもわたって贈与する節税対策に比べ、節税金額・即効性の面で大きな効果があるわけです。

なぜタワーマンションが節税効果大なのか

では、なぜタワーマンションがさらに効果的なのか、それは土地の評価額の計算方法にあります。

戸建もアパートもマンションもタワーマンションも同じく、土地の評価額は、まず「地積×路線価(1平米あたりの単価)」で計算します。マンションの場合は、さらに部屋数などに応じた敷地権を掛けるため、地積が小さくなります。そのため土地の評価額が少なく計算され、結果マンションの評価額が小さくなる、といった仕組みです。

タワーマンションは部屋数が多いため、地積がとても小さく計算されます。よってこの原理から、特に土地の評価減が期待できるということになり、時価の5分の1程度の評価額になることもあります。

タワーマンションを貸し家にして、さらに評価減

不動産は貸し家にすることで、土地は約8割、建物は7割にさらに評価減ができます。また貸家の土地は小規模宅地の評価減の特例の対象にもなり、さらに5割の評価にすることが可能です。

たとえば時価1億円のタワーマンションが、建物1500万円、土地1500万円の評価になったとします。貸し家にすることで建物は1050万円、土地は1200万円になり、さらに土地に小規模宅地の評価減が適用されて600万円。計1650万円の評価額になります。

タワーマンションを活用したその他の相続税対策

タワーマンションの評価減を活用し、さらにひと工夫した節税対策や生前対策もあります。

●自宅としてタワーマンションを購入し、配偶者へ贈与
贈与税の配偶者控除2000万円+基礎控除110万円までは贈与税がかかりません。

相続時精算課税制度を利用し、タワーマンションを子に贈与
貸し家にしてから贈与、もしくは贈与物件を貸家にすると、賃料は子に入ります。

●タワーマンションを贈与された人が、将来購入価格と同額で売る
この場合、譲渡所得税はゼロになります。

タワーマンションを使った節税対策で注意すべきこと

良いことばかりではありません。いくつか注意する点もあります。

●相続税対策として人気のため、良い物件が買いにくい

相続税対策で人気なため、値段が下がりづらいということもメリットのひとつです。反面、節税効果の高い物件が売り出されていることが少ないようです。

●上の階のほうが節税効果は高い
例えば50階と5階とでは時価が2倍以上差が付くこともあるが、評価額は同じ。上の階のほうが節税効果は高くなります。

●貸し家にするとなると空室リスクが伴う
また、他の投資物件と比較すると利回りは悪い傾向にあります。

●借金や敷金付きで贈与すると贈与税が高くなることも
このケースだと負担付贈与に該当し、評価額ではなく時価で贈与税の計算がされてしまいます。

●実際に相続・贈与するまでに物件の価値が低下
購入から相続や贈与の実行までの期間が長いと、建物価値の下落の可能性があります。将来、隣に別のタワーマンションが建築されてしまい眺めが悪くなり、時価が下落するおそれも。

●相続・贈与のタイミングによっては税務署に目をつけられる?
相続や贈与の直前にタワーマンションを購入し、相続や贈与の直後にほぼ同額で売却するなどの場合、税務署から「タワーマンションの評価が不適当」と指摘され、相続税や贈与税を追徴課税される可能性があります。

タワーマンションを活用した相続税対策は、節税効果が高い反面、資金繰りやリスクも高額になるため注意が必要です。物件選びには不動産業者だけでなく、その物件での節税効果やリスクを税理士にも相談したうえで行うとよいと思います。
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