外国株

新薬承認で大注目のバイオ御三家の一角、バイオジェン

バイオ御三家の一角、バイオジェン(BIIB)の株価が高騰。「テクフィデラ」において、欧州医薬品庁が肯定的な見解を示したためです。同剤は欧州で今後10年間に渡り、強い特許権を得られる見込みとなりました。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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新薬承認で業績拡大期に入るバイオジェン(BIIB)

新薬承認で業績拡大期に入るバイオジェン(BIIB)

新薬承認で業績拡大期に入るバイオジェン(BIIB)

米マサチューセッツ州にあるバイオ医薬の創薬開発企業、バイオジェン・アイデック社(BIIB)の株価が高騰しています。背景には同社が長年研究を進めてきた多発性硬化症(略称:MS)の経口治療薬「テクフィデラ」(Tecfideraは同社商標、一般名:フマル酸ジメチル)において、欧州医薬品庁が新有効成分(NAS=New Active Substance)への指定に関して肯定的な見解を示したことがあります。これによって同剤は、欧州で今後10年間に渡り、強制力のある強い特許権を得られる見込みとなりました。

すでにこの新薬は2013年3月から米国で販売されており、非常に好調な販売となっていましたが、欧州でどのような扱いとなるかが不明で株価は250ドル前後をさまよっていたところでした。しかしこれで理想的な形で欧州へ販売できそうで、株価大幅上昇となりました。この一つの薬は、現在年商5千億円ほどの同社売上高を2020年までに倍増させるほどのポテンシャルがあります。

バイオジェン社は腎疾患、神経疾患、免疫、血友病、腫瘍などの重病治療薬の開発を行います。特に多発性硬化症治療薬に強みを持ち、分子生物学と遺伝子組み換え技術を応用するバイオ医薬品の開発を得意としています。

同社については年初来最高水準パフォーマンスのバイオセクターETFなどでたびたび触れてきましたが、当時の時価総額は約3兆円でしたが、今では約7兆円となりました。当時まだ第3フェーズの臨床試験にあった多発性硬化症治療の開発品が上述の「テクフィデラ」という薬です。難病である多発性硬化症治療薬は競争の熱い大きな市場分野ですが、同社は致命的な副作用のリスクを押さえ、遺伝子情報によってピンポイントで病原に作用する薬を開発しました。全般に他のバイオ医薬大手株も大型新薬の商用化が続出しており、バイオ業界全体が大幅高となっています。

2014年に成長加速か

明らかに業績アクセルが加速している・・・

明らかに業績アクセルが加速している・・・


バイオジェンはこのところの四半期決算で連続的に市場予想を上回る結果を発表しており、2013年に入ってから売上高の成長率が加速しています。2013年第1四半期まで3四半期連続して一桁台の成長率が続いていましたが、第2四半期は前年同期比+21.3%増、直近発表された第3四半期は+31.9%増でした。第4四半期についても同+35.1%増が予想されています。粗利益率は90%近くある会社なので、売上の増加は利益の大きな増加にも繋がります。

今年EPS(調整済み一株利益)の対前年比成長率は、四半期順に+40.7%増、+26.4%増、+23.0%増でした。第4四半期は+60.0%増が予想されているところですが、こちらも予想を上回って着地する傾向が続いており、明らかに業績アクセルが加速されている模様です。その原動力は前述の「テクフィデラ」が全米で販売開始されたことにあります。
2012年まで売上は殆ど2つの薬によって作られてきました

2012年まで売上は殆ど2つの薬によって作られてきました

同社は昨年まで売上の殆どを上の写真にある2つの薬によって作ってきました。どちらも多発性硬化症の治療薬であり、"Avonex" という薬は昨年29億ドルを、"Tysabri" の方は11億ドルを超える販売実績がありました。他に2つの薬が販売されていますが、貢献度は大きくありません。

そして2013年3月より販売された「テクフィデラ」は半年間(米国のみ)で4億8000万ドルほど販売され、今後欧州を含めると2014年には同社最大の薬となる見込みであり、数年後には60億ドルを超える販売となる予想があります。同社にとってブレークスルーとなる大きな薬品に発展して行く模様であり、10年間安泰でもあります。

参考:グローバルグロースレポート

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