鉄道/観光・イベント列車

三陸鉄道南リアス線の「震災学習列車」(2ページ目)

2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸鉄道。そのうち、南リアス線は2013年4月になってようやく盛~吉浜間が部分復旧し、2014年4月の全線運転再開を目指して復旧作業を進めている。こうした中、三陸鉄道では、列車で移動しながら沿線の実情を説明する「震災学習列車」を運行している。今回、実際に乗車する機会があったのでレポートしてみたい。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

「震災学習列車」に乗る

係員の説明を受ける乗客

係員の説明を受ける乗客

盛駅を発車して、列車は北へ向うのではなく、一旦南東方向へと進む。リアス式海岸の険しい地形ゆえの迂回であろう。

陸前赤崎駅付近の様子

陸前赤崎駅付近の様子

長いトンネルを抜け、最初の駅陸前赤崎の手前で停車。高架線の車窓からは、大船渡湾に面した地域が見渡せる。仮設住宅がぽつんとあるだけの何もない土地だが、係員が見せてくれた震災前の写真を見ると、建物がぎっしり並ぶ市街地だった。すべて津波で跡かたもなくなり、元に戻っていないと知ると胸が痛む。

 
再び長いトンネルを抜け綾里(りょうり)着。このあたりから、列車は徐々に進路を北に向け、太平洋に面したリアス式海岸沿いに進んで行く。とは言っても、複雑に入り組んだ地形と海岸にまで迫った険しい山々を越えるためトンネルが多いので、海をじっくり眺めながら進むところは少ない。

カップルにも人気の「恋し浜駅」

「恋し浜」の駅名標と海

「恋し浜」の駅名標と海


ホタテの貝殻の絵馬

ホタテの貝殻の絵馬

次の駅は恋し浜。元々は小石浜と言ったのだが、地元のブランドホタテ「恋し浜」にちなんで改名。ホタテの貝殻が絵馬として使われ、ホームにある小さな待合室の中は、復興の応援、激励、あるいは恋愛成就の願いを書いた貝殻絵馬がぎっしり吊るされている。

しばらく停車して、その様子を見学することができた。最近では恋愛のパワースポットとしても口コミで評判となっているとのこと。駅名標の隣には「幸せの鐘」もあり、鳴らして愛を誓うカップルも多いと聞く。
「幸せの鐘」

鳴らせて愛の成就を祈る「幸せの鐘」

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