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ほとんどの人が「ホワイト企業」に入れない理由とは?

多くの人は、ブラックと言われる企業よりも、従業員に優しいホワイト企業と言われる職場で働きたいと考えるでしょう。しかし、ブラック企業批判ばかりしてホワイトな労働環境を重視する人は、結果的にホワイト企業にはなかなか入社できないという現実があります。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

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ホワイト企業に入れる優秀な人は、ブラック企業でも平気でやっていける人

多くの人は、ブラックと言われる企業よりも、従業員に優しいホワイト企業と言われる職場で働きたいと考えるでしょう。しかし、ブラック企業批判ばかりしてホワイトな労働環境を重視する人は、結果的にホワイト企業にはなかなか入社できないという現実があります。

私が経営コンサルタント時代のクライアントに、業界トップの大手上場企業がありました。この会社は、その事業特性から、まず倒産するようなことはないところでした。労働時間にはムラがありますが、基本的にはほぼ定時退社です。もちろん土日祝祭日は休めるし、有休もきっちり消化できます。各種手当をはじめ、福利厚生も手厚い。実力はもちろん評価されますが、それは幹部の評価が中心であり、一般社員は極めて日本的な給与体系に守られています。つまり年功序列です。

本人の能力が低いからという理由で解雇した話は聞いたことがありません。今のところは、という前提条件付きですが、定年まで居てもいいし、グループ子会社への出向も認められており、2~3社を経て定年退職が一般的なコースです。子会社といっても高齢従業員の受け皿ですから、ハードな仕事をさせられることはありません。

私もプロジェクト期間中はこの会社およびグループ子会社に出入りしていましたが、今振り返ると、従業員に非常に優しい典型的なホワイト企業だったと言えます(もっとも、努力や実力とはあまり関係なく給与が決まるというのがホワイトなのかは意見が分かれるところでしょう)。

こんな会社であれば当然のように、多くの人が入社したいと考えます。だから、新卒にしても中途にしても、応募者がわんさかとやってきます。しかし、見ていて気づくのは、そんな競争を勝ち抜いて内定をゲットできるのは、結局は仮にブラック企業に入ったとしても平気で働けるような、上昇意欲の強い優秀な人材ばかりでした。

つまり、ブラックを嫌がる権利志向が強い人(定時で退社したい、有休は消化したい、休日出勤や残業は手当がでないとやりたくない等々)は、こうしたホワイト企業の入社試験を突破できないのです。

ホワイトな環境を維持できるには理由がある

ではそこはなぜ、そんなホワイトな条件でも競争力を維持し、会社を存続させられるのでしょうか。理由は簡単です。その企業は寡占業界の中のガリバー的存在ですから、商品の値付けは比較的自由です。差別化・高利益率商品・高収益ビジネスと言えば聞こえはいいですが、言い換えれば「値段は割高」、悪く言えば「ボってる」わけです。

ほかに代替がないし業界のプライスリーダーですから、顧客は割高とは思っていないだけ。従業員にホワイトな環境を維持できる理由とは、表現は悪いですが結局はそういうことなのです。「ブラックは嫌だ、ホワイトがいい」という人は、ある意味「顧客からぼったくる商品を売っている会社に入りたい」に近いと言えなくもありません。

私はサラリーマンを11年、経営者を8年ほど経験し、両方の立場で労働環境を見ることができました。会社員の立場しか知らなければ、ブラック企業は許せないでしょう。確かに従業員が快適に安心して働ける環境、雇用も賃金も維持できるビジネスモデルを創るのは、企業の(社長の)責任ではあります。

しかし、つねに競合が存在し、競合相手も努力し進化していく中で、会社を維持発展させるのはかなり大変なことで、さらに全員が納得するような職場環境を作るのはほぼ不可能なことです。

それは企業サイドの言い訳というより、完璧な会社も完璧な社長もいないということです。そのことを、雇われる側も認識をしておく必要があります。結局は、自分がその仕事・会社にどう関わるか、今の職場環境をどう認識するか、その上で自分はどう動くかという問題ではないでしょうか。

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