クリスマスはイエス・キリストの降誕祭(誕生を記念する日)として全世界に広まり、今日、日本では欠かせない最大の年中行事となっています。

街並みは12月初めより一挙にクリスマス模様に染まり、イヴともなるとケーキやプレゼントなどが、当たり前の様になっています。皆で、わいわい楽しいパーティも良いものですが、大人ならばやはり、しっとりと大切な人との時間を持ちたいものですね。

今日は、お二人でサイレントナイトを過ごすのに最適なジャズバラードをご紹介いたします。最初にご紹介するのは、クリスマスと言えばこの曲というほどポピュラーな「ザ・クリスマス・ソング」です。

ソウル系歌手ルー・ロウルズ「クリスマス・イズ・ザ・タイム」より 「ザ・クリスマス・ソング」

都会的なセンス溢れるこの曲は、いまやクリスマスの定番として多くの歌手にカヴァーされています。決定版と言われるものには、もちろん作曲者のメル・トーメご本人が歌っているものや、ジャズの大御所歌手「ナット・キング・コール」のものなどがあります。

今回ご紹介するのは、多くのカヴァーの中でもソウル系歌手のしぶい大人の味わいをもつルー・ロウルズによるジャズアレンジのヴァージョンです。

Christmas Is The Time

Christmas Is The Time


この曲が作曲されたのは1944年。クリスマスとは正反対の真夏のとある日でした。友達の家で、暑くてたまらず「何か冷たい事でも考えよう」とピアノの前に座り40分間で書き上げたと言われる「ザ・クリスマス・ソング」。この曲は、ジャズ歌手メル・トーメの作曲家としての代表作となりました。

メル・トーメは、そのムーディな声から「ヴェルベットの霧」と呼ばれた歌手です。本業の歌はもちろん、ドラム奏者としてや、ハリウッド俳優としても活躍した多彩な粋人です。

今回ご紹介するルー・ロウルズは、60年代から活躍していたソウル系歌手で、高校時代は同じくソウルの大物「サム・クック」と同級生だったそうです。「サム・クック」と一緒に歌っていたと言ういわばソウルの名門の出です。

1966年には「ラブ・イズ・ア・ハーティン・シング」でグラミー賞の最優秀R&Bボーカル賞もとった実力者。そのルーが、全編クリスマスソングを歌ったのが「クリスマス・イズ・ザ・タイム」です。

このCDは全体的に、ルーの得意なソウル系アレンジで気持ちよさそうに歌っている曲がほとんどです。その中でも、この「ザ・クリスマス・ソング」1曲のみ、プロデュースがマイケル・カスクーナになっています。そしてその影響からかアレンジもジャズのアレンジャーでテナーサックス奏者のボブ・ベルデンが担当しています。

マイケル・カスクーナと言えば、ジャズの宝庫「ブルーノート」レーベルで、いくつもの歴史的な未発表の録音を発掘し、ブルーノートを再建した大ジャズフリークで有名です。そのマイケルのプロデュースの下、1990年にこのヴァージョンは吹きこまれました。

ストリングスによるイントロから、ルーのややクセのあるバリトンボイスがスモーキーな味わいを醸し出して雰囲気充分です。バックではストリングスと共にキーボード奏者のリチャード・ティーのエレキピアノがやさしく伴奏を奏でます。

間奏は、これまたしぶい、アルトサックスのハンク・クロフォード。短いながらも滋味あふれる演奏です。人生の酸いも甘いも噛み分けた、ルーとリチャード、そしてハンクの大人の男三人による深くプライベートな演奏に、きっとお二人は極上の一時を過ごす事が出来るでしょう。

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ジャズ歌手「メル・トーメ」の「クリスマス・ソングス」より「ハブ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」

Christmas Songs

Christmas Songs


この曲も、今ではすっかりクリスマススタンダードとなっている名曲です。ザ・クリスマス・ソングと同じく1944年に作曲され、当時の銀幕の大スター「ジュディ・ガーランド」によって歌われたもの。

映画との付き合いは多く、クリスマス時期に大ヒットとなった1990年のコメディ「ホームアローン」にメル・トーメの歌で使われ、有名になりました。

このCDでは、そのメルの当たり曲「ハブ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」の頭の部分に、ヴァース(序奏部分に歌詞をつけて歌われること)の様な形でメルのオリジナル曲「ジャスト・ルック・アラウンド」が歌われ、雰囲気が盛り上がります。

若い時分にはヴェルヴェットのようなと形容された艶のあるメルの声が、年月を重ねた事により、より深みを増し、歌の表現の幅を広げ、よりファミリアーで温かなほっとさせる歌声になっています。

このCDのジャケットで赤々と燃える暖炉の脇の座り心地の良いソファ、やさしそうなメルおじいさんの頬笑み。すべてが、聴いているお二人をなごませ、サイレントナイトを温かな一時に変えてくれるでしょう。

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トランペット奏者チェット・ベイカー「チェット・ベイカー・カルテット・フューチャリング・ラス・フリーマン」より「ウインター・ワンダー・ランド」

Chet Baker Quartet Featuring Russ Freeman

Chet Baker Quartet Featuring Russ Freeman


この「ウインター・ワンダー・ランド」は特にクリスマスのための曲ではありませんが、歌詞の内容から、クリスマス曲としても広く使われるスタンダードです。

ここでのチェットの演奏も、トナカイをイメージしたかのような鈴の音から軽快に始まり、それだけでクリスマスをイメージさせてくれます。弾む様なピアノのラス・フリーマンのイントロのままに、テーマでのチェットにハモるラスのピアノが、まるで鈴の音を思わせます。

チェットのトランペットの音は、嫌味のない無垢さがあり、ジャズでありながらもいがらっぽさを感じさせない、コージーな音空間を醸し出すのに優れています。

テーマの勢いのまま、アドリブに入って張り切り過ぎたのか、0:48のところで思わず字余りのフレーズを吹くあたりも余計に好感が持てます。そこら辺がチェットの人に好かれる不思議な魅力とも思えます。

バラードではありませんが、たまにはこういった押し付けがましくない軽快な曲も雰囲気を高めるのには良いものですね。

クリスマスに聴きたいジャズバラード3選はいかがでしたか。1年に一度の聖夜です。お二人の良い思い出をたくさん作ってくださいね。それでは、また次回お会いしましょう!

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