オーストリア/ウィーンの観光

ウィーンの舞踏会とドレスコード

ウィーンには観光客も参加できる絢爛豪華な舞踏会が毎年多数開催されています。しかし舞踏会なんて日本人には馴染みのない非日常で、一体何を着ていけば良いのか迷う人も多いのでは。そこで今回は、舞踏会のドレスコードについて解説します!

ライジンガー 真樹

執筆者:ライジンガー 真樹

オーストリアガイド

舞踏会により決まっているドレスコード

Opernballデビュタント

白いボールガウンはデビュタントの女性のみ身に纏うことが許される(c)Staatsoper/Michael Pöhn

毎冬1月から3月上旬にかけて、センセーショナルに開催されるウィーンの舞踏会。オーケストラの生演奏に酔いしれながらワルツを踊ったり、他の参加者のゴージャスなコスチュームを見て楽しむのは、今昔問わず皆の憧れでもあります。ただし舞踏会は現在の日本ではあまり馴染みがなく、どのような装いを心掛ければ良いのか、疑問や不安に思う人も多いことでしょう。そこで今回は、ウィーンの舞踏会における主なドレスコードについて解説します。

ドレスコードは各舞踏会の主催者により、事前に指定されていることが大半です。当日、場違いな出で立ちで登場して恥ずかしい思いをしたりしないよう、あらかじめオフィシャルウェブサイトでドレスコードを確認してから準備に取り掛かりましょう。それでは、代表的なドレスコードについて説明していきます。

INDEX
  1. 正装のドレスコード
  2. 準礼装のドレスコード
  3. 舞踏会の衣装をどこで手に入れる?​​​​​​​
  4. 舞踏会の小物​​​​​​​
  5. その他のドレスコード​​​​​​​
 

正装のドレスコード

■男性の正装:燕尾服に白の蝶タイ​​​​​​​
Le Grand Bal

ドレスコードが正装であれば、女性は床まで届くボールガウン、男性は燕尾服と白い蝶タイの着用を(c) LE GRAND BAL der Wiener Hofburg

ドレスコードのホワイトタイとは黒の燕尾服に白の蝶タイのことで、男性の夜用正式礼装服。燕尾服とは上着の前部分が短く、背中の裾が長くて先が燕の尾のように割れたジャケットのこと。大抵の舞踏会ではブラックタイ(タキシード)もドレスコードに加えられていますが、オペラ座の舞踏会で着用が許されているのは燕尾服のみなので、ご注意を。

●ディテール
ジャケットとパンツに加えて、シャツ・ベスト・蝶タイの三点セットが必要。シャツはスタンドカラーもしくはウィングカラーで、燕尾服専用の飾りボタン付き、プリーツ加工が施されているものを。またウィーンではカマーバンドではなく、襟付きベストを着るのが主流です。蝶タイは必ず白いものを着用。その他、黒いエナメル靴と白い手袋も忘れずに。

●生地・素材
ジャケットとパンツは黒いウール生地、ベストと蝶タイは例外なく白いコットンピケ素材です。

■女性の正装:ボールガウン
ボールガウン

刺繍や装飾が豪華なボールガウン

「ホワイトタイ」と呼ばれるドレスコードで着用されるのは、ドイツ語でBallrobe(バルローベ)、英語ではBall Gown(ボールガウン)と呼ばれる、舞踏会専用の大きなシルエットのロングドレス。ディズニー映画のプリンセスたちがよく着用しているもので、いわゆるプリンセスラインやベルラインなどと呼ばれる、裾がふんわりと広がったボリュームのあるドレスを思い浮かべていただければ思います。日本だと花嫁さんのお色直し用のドレスが近い感じでしょうか。

●ドレスの長さ
最も重要なのはドレスの長さ。必ず床まで届くフルレンクスのものを着用してください。

●生地・素材
サテンなどの光沢のあるシルクやチュール、レース素材など。クリスタルビーズやパールなどの煌めきが添えられていると、更にゴージャス感がアップします。ただし白いドレスはデビュタント(18~20歳で初めて正式に社交界デビューする、貴族や上流階級出身の人)専用ですので、間違って着用しないように注意しましょう。

●シルエット
シンプルかつ細身のシルエットは舞踏会には不相応。ウェストの細さを強調するような、ふんわりと大きなシルエットのものを選びましょう。バストからウェストにかけてはぴったりと身に沿うタイトなラインを心掛けて。またスカート部分はチュールのペチコートでたっぷりと膨らませます。
 

 準礼装のドレスコード

■男性の準礼装:ブラックタイ
Le Grand Bal Feststiege

ドレスコードが準礼装のブラックタイであれば、女性は床まで届くイブニングドレス、男性はタキシードに黒の蝶タイを着用(c) LE GRAND BAL der Wiener Hofburg

ブラックタイとは黒もしくは濃紺のタキシードに黒の蝶タイのことで、男性の夜会用準礼装服。主に燕尾服の代用として着用されます。オペラ座舞踏会や狩人の舞踏会などごく一部を除き、ほぼすべての舞踏会にて着用することが可能。カマーバンドに加え、カフスボタンや5つの装飾ボタンなど、エレガントなディテールに富んでいるのも特徴の一つ。イブニングイベントに出席する機会が多いようなら、一着持っておくと便利です。

●ディテール
ジャケットはシングルもしくはダブル。シャツはダブルかストレートのカフスとカフスボタン付きで、コットンもしくはシルク素材の白いものであること。蝶タイは通常カマーバンドと同じく黒ですが、モダン志向の男性はカラーを取り入れることも。

●ジャケットの素材と色
タキシードは“ブラックディナージャケット”とも称されるように、黒もしくはミッドナイトブルーのジャケットが一般的。ただし夏の舞踏会のように、オープンエアのオケージョンに限っては、白もしくはクリーム色でウール生地のディナージャケットの着用が認められています。因みに舞踏会によっては、ドレスコードに“ブラックタキシード”と色の指定がされていることがありますので、よくご確認ください。

■女性の準礼装:イブニングドレス
ドレスコードがブラックタイの場合に女性が着用するのはイブニングドレス。このイブニングドレスとは、夜会や晩餐会などで着用される、女性用のロングドレスです。

●ドレスの長さ
ブラックタイがドレスコードであれば、裾は必ず床に届く長さであること。

●生地・素材
シルクやベルベットといった高級な素材に加え、スパンコールや刺繍の入った生地なども豪華に見えるので、よく好まれています。

●シルエット
スレンダーで流れるようなシルエット。胴部はシンプルすぎず、多少手の込んだデザインやカッティングのものを。スカート部分は、タイトなラインに物足りなさを感じるならば、ひだの入ったデザインやAラインのドレス等を選ぶと良いでしょう。
 

舞踏会の衣装をどこで手に入れる?

いずれも舞踏会に馴染みのない日本ではなかなか手に入りにくいコスチュームですが、ウィーンでは比較的安価なプレタポルテ(既製服)も街中のいたるところで販売されています。ただし、オーストリア人とは体型が異なるので、オートクチュールでない場合には、詰め物やお直し用の道具等を持参しておくと安心でしょう。
 

舞踏会の小物

懐中時計

懐中時計は男性の必携アイテムのひとつ

■手袋
スリーブレスであれば肘の隠れる長さのものを、袖が長ければ長いほど手袋は短くなります。

■時計
男性は腕時計ではなく、懐中時計を携帯するのがマナー。テレビ中継の多いオペラ座の舞踏会などでは、うっかり腕時計を着用していると、リポーターにテレビカメラの前で指摘され、衆目の中で恥をかくことに!

■バッグ
女性は肩から下げるハンドバッグではなく、布製もしくはメタル素材のクラッチを。
 

その他のドレスコード

■ユニフォーム
オーストリア連邦軍の舞踏会

ウィーンのホフブルク王宮で開催されるオーストリア連邦軍の舞踏会

ユニフォームというと学校などの制服などを思い浮かべるかも知れませんが、ここでいうユニフォームとは礼装用制服こと。オーストリアの舞踏会では、主に軍隊や警察等の豪華な盛装ユニフォームが着用されます。

■民族衣装
シュタイヤマルク人の舞踏会

シュタイヤマルク人の舞踏会 (c)Verein der Steirer Ludwig Schedl

舞踏会では頻繁に目にしないドレスコードであるものの、パーティーや卒業式、オクトーバーフェスト(9月下旬から10月上旬にかけて開催されるビールのフェスティバル)などのオケージョンでは頻繁に着用されるのが民族衣装。オーストリアの民族衣装とは、女性がディアンドルと呼ばれるブラウス・スカート・エプロンの組み合せ、男性がレザーパンツにシャツ、山高帽という出で立ちです。

異国で参加する舞踏会の準備はなかなかに大変なものがありますが、一生に残る思い出となることは間違いありません。自信をもって舞踏会に出かけられるように、ぜひ準備万端で臨んでくださいね!
 

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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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