神経筋疾患の問題傾向

専門問題である神経筋疾患の問題傾向として、例年、パーキンソン病に関する問題は多く、パーキンソン病の症状や投薬効果と副作用、ヤール分類と訓練内容やADLとの関係性等を問われるものが多いです。また、筋ジストロフィーでは障害度分類、姿勢や歩行などの能力面を問う問題も出ています。その他、出題される疾患として、重症筋無力症、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、多発性筋炎、ギランバレー症候群、筋委縮性側索硬化症(ALS)などがあり、これらの疾患、もしくは問題中の症例に対し、どんな理学療法を行って行くのか?という点を問われる問題が多いです。加えて、症状の問題としては、球麻痺や失調などの問題も出ていますし、他教科同様、画像診断能力を問う問題もみられています。

神経筋疾患の過去問題と解答

過去問題 第51回(2016年)
つまづきやすさを主訴に来院した70歳の患者の頭部MRIのT1強調矢状断像を次に示す。この患者で主訴に関連のある症状はどれか。
  1. 運動失調
  2. 感覚障害
  3. 視野障害
  4. 前庭障害
  5. 歩行失行
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まずは画像読影の知識がなければ、どの部分に異常があるかわかりません。正常の画像も含めて復習しておく必要があります。


この問題の答えは【1】になります。まず「つまづきやすさを主訴とする」という情報から、選択肢を見ると全ての選択肢が歩行に影響することがわかります。この情報から選択肢を大きく絞り込むことは難しいです。続いて画像の読影ですが、小脳部位に著明な脳萎縮を認めます。これにより小脳障害による関連症状を選択肢より選ぶ流れになります。

小脳障害では主に、運動失調、眼球運動障害、不随意運動、筋トーヌス低下、運動開始の遅延などがみられますので、1の運動失調が正解となります。

過去問題 第51回(2016年)
四肢遠位部の筋力低下を特徴とするのはどれか。
  1. 肢帯型筋ジストロフィー
  2. 福山型筋ジストロフィー
  3. 筋強直型筋ジストロフィー
  4. Duchenne型筋ジストロフィー
  5. 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

この問題の答えは【3】になります。筋原性疾患の多くが近位筋の筋力低下が起こりますが、筋強直型筋ジストロフィーでは、遠位筋優位の筋力低下が起きます。他の選択肢の筋ジストロフィーは、全て近位筋の筋力低下が起きます。その他、筋強直型筋ジストロフィーでは、胸鎖乳突筋の萎縮が著明で、知能障害、前頭部若禿、西洋斧様顔貌などの多くの症状がみられます。

過去問題 第50回(2015年)

脊髄小脳変性症に比べて多発性硬化症に特徴的なのはどれか。
  1. 痙 縮
  2. 運動失調
  3. 嚥下障害
  4. 構音障害
  5. 有痛性けいれん

この問題の答えは【5】になります。神経筋疾患にはそれぞれ特徴的な症状がある為、各疾患の特徴をしっかり押さえておけば解答は難しくないです。この問題の選択肢では、5の有痛性けいれんだけ脊髄小脳変性症では認められず、多発性硬化症に特徴的な症状です。

過去問題 第50回(2015年)
脳卒中で小脳皮質から上小脳脚に病巣がある場合にみられやすい症状はどれか。
  1. 感覚障害
  2. 運動麻痺
  3. ジストニア
  4. 動作時振戦
  5. パーキンソニズム

この問題の答えは【4】になります。脳の機能局在や伝達経路の理解力を求めている問題です。この問題では、小脳の機能局在を理解していれば問題ないと思います。小脳障害が起こると、運動失調が主症状としてあらわれそれに伴い、企図振戦、眼振、構音障害、筋緊張低下などが起きる。また、小脳虫部付近の障害では平衡機能障害も生じます。

過去問題 第50回(2015年)
25 歳の男性。Guillain-Barré症候群。発症後 3 日で運動麻痺は進行しており、呼吸筋麻痺のため人工呼吸器管理中である。理学療法で適切でないのはどれか。
  1. 体位変換
  2. 筋力増強運動
  3. 胸郭ストレッチ
  4. 関節可動域運動
  5. 30°程度のリクライニング位

この問題の答えは【2】になります。Guillain-Barré症候群に対する理学療法介入の問題ですが、Guillain-Barré症候群が末梢神経の脱髄性疾患であることがまずポイントになります。その点を考慮すると、筋力増強運動は負荷量が高く、却って症状を悪化させるため間違いになります。筋力に関しては低負荷の筋持久力運動が効果的になります。


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