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村上ユカ

90年代末から00年初期にかけて、僕はシンクシンク(THINK SYNC)レコードから出る作品がとっても好きでした。この度、登場の村上ユカさん、snow mobiles、microstarなど……。今回が2回目となりますが、9年ぶりに放つアルバム『鳥と魚』のリリースを記念して、インタヴューです!

 

この9年間にあった事

ガイド:
村上ユカさん、お久しぶりです。最近はfacebookとかもあって、意外と距離感がなかったりしますが、前回のインタヴューがセカンド・アルバム『アカリ』のリリース記念ということで、2001年ですから、かなり時が経ってしまいました。まだ、僕もAll Aboutで記事を書き始めた頃で、インタヴューとしても5人目! 今もやっているのはある意味奇跡的です(笑)。

村上ユカ:

え、5人目だったのですねー! 光栄です。

凄く慣れていらっしゃる感じでしたので、そんな初期だったとはビックリです。また、こうやってインタビューをして頂けるのは嬉しいですね。

ガイド:
その後のサードとなる『角砂糖』が2004年ですから、ほぼ9年ぶりのアルバムとなりましたが、その間はどのようにされていたのでしょうか? 一番のビッグニュースとかあれば、教えてください。

村上ユカ:
一番のビッグニュースは、、二人目が産まれましたね(笑)。それももちろんありますが、長年いたシンクシンクレコードからも離れてみたりして、自分の音楽との向き合い方という事を考えていたなと。(音楽を)凄くやりたいのに、好きすぎてできない、なんでできないんだろうという、そんな長く苦しい、自分との戦いの時期だったなと今となっては思います。

ガイド:
一時、村上由香名義で活動されていた頃もあったようですが、それは何故? また、現在の村上ユカ名義に戻された理由も、もし差し支えなければ、教えてください。

村上ユカ:
画数が悪かったんですよね、村上ユカが(笑)。というか、自分がうまく行かない理由をそういう事のせいにするくらい、自分は弱かったし。特になにも変わらなかったので(笑)、戻しました。

 


デザインが好き

ガイド:
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鳥と魚

さて、10月23日発売の4枚目のアルバムとなる『鳥と魚』についてお訊かせください。先ずは、タイトル。シンプルですが、鳥は「空」で、魚は「海」と繋がる連想をしました。でも、「空と海」ではなく、あくまでも生き物の「鳥と魚」なのかと。

鳥と魚 (Amazon.co.jp)

 

村上ユカ:
前回の「角砂糖」は、ホッピー神山さんのプロデュースのもとで、色んな方の演奏で村上ユカの世界を表現する、というテーマでした。生演奏中心だったので、やはりピコピコしたの好きだし、打ち込みでやりたいなっていう反動が出て(笑)。で、レーベルも離れたし、好きな事やろうと思いました。ほんと大変でしたけどね。

それで、『鳥と魚』の由来なんですが、鳥と魚が使われたデザインがすごく好きなんですよね。雑貨とかそれを見ているだけで幸せなんです。それで、自分の好きなものの象徴として、今回のタイトルを「鳥と魚」にしました。

今までのタイトルがずっと三文字だったので、三文字で統一したいっていうのもありました。

ガイド:
イラストは、ユカさん自身によるものですよね。ユカさんの作品(ユカピクトと呼んで良いのですかね)には、いつもほのぼの系の女の子が登場しますが、彼女は分身みたいな存在なのでしょうか?

村上ユカ:
はい、デザインも私、ユカピクトがやりました。で、この女の子はゆかこ、と呼んでいて、デビュー前に、なんとなく自画像みたいな感じで描いてたんですよね。デモテープの表に描いたり。

それが、シンクシンクのスタッフの中で、かわいいね、ジャケットにしようか、という話になって。それから、ずいぶんディテールは変わっていますが、ずっと描き続けてます。分身っていうか、一緒に活動してくれてる感じですね、この子と。

ガイド:
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とかたま

「とかたま」というお豆腐のパッケージデザインで「日経デザイン」で受賞されたとか! そこにもほのぼの系の女の子登場しますね。ぜひ、シリーズ化してほしいです。

 

村上ユカ:
そうでしたね。現在の男前豆腐店の伊藤さんとネットで繋がって、インターネットもまだまだ黎明期だったんで、色んな人と繋がることもスゴイなと思ったし、あの時はどんどこ豆腐の曲も作ったり、面白い事になりましたね。パッケージデザインは楽しかったので、またやってみたいですねー。

 


テクノの女気

ガイド:
オープニングの「るりかあいかそらのいろ」から、ガツーンって感じで、テクノの女気を感じます。自分でプロデュースした作品ですが、やはり突き詰めていった結果なのでしょうか?

村上ユカ:
yucamurakami

村上ユカ

テクノの女気! 嬉しいなあ……。

このアルバムは、打ち込みのものは一曲目から順に作られていて、この曲は一番最初にオケを作って、歌は後回しになってたんですよね。難しくて。

で、結局一番最後になっちゃったんですけど、アルバムが出来ていく中、この曲、元々すごいファンタジーな歌詞だったんですけど、もっと現実とか、自分の中をえぐってでも出すような、歌ってて泣いちゃうようなパンチのある歌詞が必要だなと思って。結果、このアルバムや音楽への思いがあふれる曲になりましたね。やっと音楽を楽しめるようになったなーって喜びの歌です。

 

家内制テケテケPOP

ガイド:
続く「さかなになって」でもその勢いは止まりませんね! 外間隆史さんが書かれたCD帯にある、コピーの中にある「家内制テケテケPOP」 というの見て、「なるほど、言い得て妙!」とニヤリとしてしまいました。ご自身の感想は?

村上ユカ:
テケテケPOP、いいですよね! 外間さんらしいけど、私らしいし、可愛らしくて気に入ってます。この曲もDS10使ったり、iPhoneのアプリ使ったりしてかなり遊んでますね。

日本語の法則を破る

ガイド:
ちょっと、和製ビョークっぽい3曲目「butterfly effect」は、今回のアルバムでは珍しい英語タイトル。シンクシンクにいたアーティストは、ユカさんやsnow mobilesのせいで日本語を重んじるというイメージがあります。ここで敢えて、日本語の法則を破ったのは、何故でしょうか?

村上ユカ:
「Worldorder」を聴いてから須藤元気さんが好きで、彼の本も結構読んだのですが、「風の谷のあの人と結婚する方法」という本の中にバタフライ理論という言葉が出てくるんですよね。一羽の蝶のはばたきが遠い場所の大きな竜巻を起こすかも?というような事が書いてあるのですが、私の歌もそんな影響が出るかもしれないんだなーと思いながら、このタイトルをつけました。

 


藤木信希さん、井波陽子さんとコラボ

ガイド:
中盤でピアノ曲「ラムネ坂」が入ることが、アルバムのアクセントになっていますね。この曲は、ピアニストに井波陽子さん、コーラスにはコトリ木の藤木信希さんの参加となっていますが、お二人とは昔から既知の中だったのでしょうか?

村上ユカ:
最初はコトリ木の信希ちゃんとTwitterで繋がって、私のファンだと言ってくれてて、彼女のラジオに出たりして。で、彼女と仲良くなるうちに、井波陽子さんのことを知って。彼女の「手紙」のライヴのビデオを見たのですが、稲妻が走ったというか、衝撃以外の何物でもなくて。

歌もさることながら、ピアノが、たぶん、ご本人はそのつもりはないと思うんですが、このままシーケンサーに流し込んだらエレクトロになるぞ、というフレーズに私は聴こえたんですよね。それに良質な歌とメロディが乗っているという。それを聴いた時から、ぜひ一緒に音楽をやりたいと思っていて、それを今回実現させました。

和のエッセンス

ガイド:
8曲目「あの星の名は」、切なくも懐かしく、大好きです。隠れた所に洋楽の要素があるんですが、日本人だから作れるポップスじゃないかと勝手に考えてしまいました。この日本の郷愁感をさそうルーツは、一体どこから来るんでしょうね?

村上ユカ:
この曲はかなり、友人のスノモー(snow mobiles)の影響が大きいですね。本当に彼らの音楽は好きなので。

でも、もとから和のエッセンスが入ってるものが好きですね。YMOも矢野顕子さんも昔から大好きだったし、海外でも活動してますが、日本人である事を武器にしてますよね。そこがかっこいいなと。

 


震災後

ガイド:
ラストを飾る「かなえて」は、OTOTOYでも配信された東日本大震災への支援の役割もある曲ですね。歌の中に既に想いがあるのかと考えたりしますので、あまり直接的な質問はしませんが、この曲は、震災後すぐに作られたのでしょうか?

かなえて (YouTube)

村上ユカ:
これは震災があって、自分も混乱してるし、情報も錯綜して、でも、その中でなにか、自分でできることはないだろうか、と考えていて。

で、新居昭乃さんや、柚楽弥衣さんが曲を発表するのを見て、私もやっぱり歌を歌おうと思って。ほとんど歌える状態じゃなかったのに、メロディが降りてきて、これはすぐ録って出さないと、って思いまして。

アルバムの他の曲とマイクや録音の方法も違うのですが、あえて再録することなく、その時の空気感を自分でも思い出す必要があるなと思って、当時の録音のままにしました。

ライヴにも行きます!

ガイド:
僕は残念ながら、今までユカさんのライヴを見せてもらったことがありません。でも、今回、関西方面にもリリース記念として来られるんですよね。ぜひ、大々的に宣伝してください!

村上ユカ:
ありがとうございます。

11/2は大阪「ワンドロップ」、こちらは井波陽子さん、コトリ木さんと。

11/4は神戸の「ギャラリー*ファボリータ」でコトリ木さんとやります。ファボリータさんではアルバムのジャケットに使われた絵の原画の展示もありますので、どうぞ楽しみにしてください。

東京でも12/1は神保町「試聴室」で、こちらも絵の展示とライヴをやります。ぜひお時間ありましたら来てください!

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【関連リンク】
村上ユカ・公式ブログ「ユカフェ」
yucafe (Soundcloud)

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