中性、女性、複数と順々に
このヤンドルの詩の面白さは、一見味気ない文法表の配置が少しずらされただけで読み手の側に解釈が呼び起され、「死」という単語の象徴性も相まって哲学的な意味合いが現れ出る点にありましょう(彼はこのように視覚的効果を活かした具体詩を数多く著しています)。さて、まずはこの詩をまるごと覚えるとしましょう。視覚的・意味的効果を十分に味わいながら暗誦してみてください。覚えましたか? では皆さんは、すでに男性名詞の定冠詞付き格変化を覚えたことになりますね。
そうしますと、次は中性名詞の格変化、
das Leben (ダス レーベン/生が)
des Lebens (デス レーベンス/生の)
dem Leben (デム レーベン/生に)
das Leben (ダス レーベン/生を)
der Tod(死)との対比で、das Leben(生)を例にしてみました。男性名詞での定冠詞格変化をすでに覚えた皆さんにとって難しくはないでしょう。というのも、男性名詞のほうと異なるのは1格と4格だけであり、こちらではそれがどちらもdasなわけですから。
男性・中性と覚えたら、次は女性名詞の定冠詞付き格変化。
die Geburt (ディー ゲブーアト/誕生が)
der Geburt (デア ゲブーアト/誕生の)
der Geburt (デア ゲブーアト/誕生に)
die Geburt (ディー ゲブーアト/誕生を)
男性・中性に比べてはるかに簡単ですね。何せ上下対称で、名詞のほうには変化語尾も付かないのです。
女性名詞でも覚えましたね? それでは最後に複数形を。これは男性・中性・女性いずれでも同じ変化形です。
die Leute (ディー ロイテ/人々が)
der Leute (デア ロイテ/人々の)
den Leuten (デン ロイテン/人々に)
die Leute (ディー ロイテ/人々を)
女性名詞での格変化との違いは3格のみ。名詞語尾の-nを落とさぬよう気をつけて。
まずは確かな足場から
以上、まとめますと、これでドイツ語文法の基本である、定冠詞付き名詞の格変化を覚えたことになります!
外国語の文法学習でつまづく要因には、暗記事項が多くどこから手をつけてよいか分からないという点が挙げられるでしょう。まずは一つ、今回のヤンドルの詩のような形で、しっかりとした足場を作ることです。そこから一つ一つ事項を順序だてておさえてゆけば、一見複雑なドイツ語文法にもすっきりとした見通しが得られますよ。
【参照記事】
デア、デス、デムはcaseのしるし ドイツ語の格変化