人間関係とコミュニケーション

介護福祉士試験の出題は「領域」が分かれています。この記事では、<人間と社会>の領域に属する「人間関係とコミュニケーション」について学びます。同じコミュニケーションでも、「コミュニケーション技術」は<介護>の領域に属します。

「人間関係とコミュニケーション」では、「人間関係の形成」や「コミュニケーションの基礎」について、一方の「コミュニケーション技術」では、「介護におけるコミュニケーションの基本」、「介護場面における利用者・家族とのコミュニケーション」、「介護におけるチームのコミュニケーション」がポイントとなります。
 

手話は言語的コミュニケーション

コミュニケーションの伝達媒体である「言語的コミュニケーション」には、会話、手紙、さらに手話などがあります。一方、「非言語的コミュニケーション」は、表情や動作、視線、ため息、相手との距離、ジェスチャーがあります。ちなみに、声の高さやリズムなどの語調は「準言語」と呼ばれています。

ご存じのように、手話は手指の動きによる視覚的な伝達手段。「指文字」は手の形で文字を表す手段で固有名詞に多く使われます。そのほか、声を出したり、文字を書くのが難しい人に適している「意思伝達装置」や、口の動きから話を読み取る「読話(読唇術)」といったコミュニケーションの方法もあります。
 

自分自身を理解していますか?

介護サービスの利用者とコミュニケーションをとるうえで重要なのが、相手が感じていることを、自分自身も相手と同じように感じたり理解しようとする「共感」と、相手の話に注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾ける「傾聴」です。
 
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「傾聴」に含まれる漢字、「聴く」という字を分解すると、「耳」と「目」だけでなく「心」という字も。つまり、自分の心も使って相手の話に耳を傾けるということです


さらに、先入観や個人的な感情で相手を否定することなく、相手をありのまま受け入れる「受容」も頭に入れておきたいキーワードです。

話は変わりますが、私は現役の介護職を対象に講演をする機会が少なくありません。その際、「利用者に望まれる介護職の条件」として必ず挙げているのが、「自己覚知が出来ている」ということです。

自己覚知とは、自分の能力、性格、価値観などを理解すること。自らの価値観や感情で介護サービスを行うと、誤った判断や事故に繋がる可能性があります。援助者は、自分を知り、その感情をコントロールすることが大切になのです。

望ましくない援助のあり方として「逆転移」があります。逆転移とは、援助者が利用者に対して個人的な感情を抱くことです。ちなみに、「転移」とは、利用者が援助者に対して特別な感情を抱くことです。
 

利用者が亡くなった後で……

以前、ある特別養護老人ホームで働く男性職員からこんな話を聞きました。彼は、ご利用者のなかでもとくに気にかけて援助をしていた女性がいたそうですが、やがて彼女は亡くなりました。その後、彼は燃え尽きたように落胆し、しばらく介護の仕事をする意欲が失せてしまったといいます。逆転移をすると、自分自身がダメージを受けてしまうばかりか、とくに施設などでは他の利用者からの反感をかう事態にもなりえるのです。
 
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利用者に対して強い感情を抱く「逆転移」。利用者が亡くなって激しく落ち込み、仕事への意欲を失ってしまったケースも

 

フォーマルとインフォーマルに分けられる社会資源

援助に利用できる物や人の総称を「社会資源」といいます。社会資源のなかには、「フォーマル」なものと、「インフォーマル」なものとに分かれます。フォーマルな社会資源としては介護保険など制度によるサービスがあります。一方、インフォーマルな社会資源として、具体的には、家族、親族、友人、近隣の住民、ボランティアなどが挙げられます。

福祉の領域では課題を持った人に対してどのような社会資源があるかをマップにしてその相関関係(家族、社会福祉機関、仕事、親戚など)をあらわす「エコマップ」を作成することがあります。さらに、家族関係を理解するために作成する「ジェノグラム」は、介護職になってご利用者の情報を記録するときにも活用できます。
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