輸入住宅/輸入住宅

輸入住宅とはどんな住宅?その魅力や基礎知識

輸入住宅という言葉を聞いたことはありますか? 言葉を聞いたことはあっても、どんな住宅なのか答えられる人は少ないのではないでしょうか。輸入住宅の基礎知識や主な工法を解説しつつ、人気の秘密はどんなところにあるのかその魅力を紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

輸入住宅とはどんな住宅?

輸入住宅には熱烈なファンが一定数いて、家を建てるなら「最初から輸入住宅と決めていた」という人もいるほどです。では、輸入住宅とは、どんな住宅なのでしょうか。

実は、輸入住宅とは「こういうもの」という明確な線引きやはっきりとした定義はありません。しかし、輸入住宅産業協議会では、「海外の設計思想による住宅を、資材別またはパッケージで輸入し、国内に建築する住宅」を輸入住宅と呼んでいます。
外観全体

輸入部材を利用し、海外の設計思想で建てられた家を輸入住宅と言います


つまり、ごく一部ではダメですが、輸入部材がある程度採用されていれば、輸入住宅だといえるわけです。ただ、「海外の設計思想による」という部分は欠かせません。海外の設計思想とは、外観やインテリアのデザイン、ゆったりとした間取り、高い断熱・気密性や耐震性、バリアフリー仕様、素材の質感などを重視して設計すること。これらが輸入住宅らしさであり、輸入住宅の魅力だと言い換えられると思います。

とはいえ、輸入住宅だから家の中でも靴を履いたままでなければいけないとか、和室をつくってはいけないということではありません。日本の生活や文化に合わせてアレンジした住まいであることが前提ですから、玄関で履物を脱ぐ設計はもちろんのこと、和室のある輸入住宅もそれほど珍しくないのです。
 

部材はどこから輸入される?

日本で建てられている輸入住宅の部材は、主に北米と北欧から、資材別またはパッケージで輸入されています。北米とは、カナダやアメリカなどの地域、北欧とはスウェーデンやフィンランドなど。部材の輸入先によって、外観やインテリアの傾向、装飾などに若干の違いがあります。

例えば、北米系はヨーロッパ大陸からアメリカやカナダに移り住んだ人たちの家が基本なので、イギリス風、フランス風、スペイン風と、さまざまな国の特徴をもった外観デザインの住宅があります。なかでも、ラップサイディングを採用したアーリーアメリカンのデザインは人気が高いようです。
白い外壁の輸入住宅

白いラップサイディングの外観は北米系輸入住宅の代表的なデザインのひとつです


北欧系は、冬が長く自然環境の厳しいスウェーデンをはじめとする北欧スタイルを取り入れた住宅。どちらかというと、北米式より断熱材が厚く、窓も三層を標準としているなど、より断熱・気密性にこだわった住宅が多く見られます。重厚感がありながら、素朴さを感じさせるあたたかみのあるデザインが人気の秘密でしょう。
 

輸入住宅の魅力とは?

輸入住宅を選んだ人に聞いたある調査では、魅力を感じたポイントとして(1)基本性能の高さ、(2)デザインと素材の質感、(3)ゆったりとした設計、などが気に入ったという回答がありました。

(1)基本性能の高さ
基本性能とは、断熱・気密性、耐震性、耐久性、耐火性など、住み心地を大きく左右する性能のことです。

輸入住宅という言葉が日本で取り上げられるようになったのは1990年代中ごろ。輸入住宅は複層ガラスの窓で、当時の日本の一般的な住宅より断熱材が厚かったので夏涼しく、冬暖かいと言われました。加えて、箱のように面で支える構造が多く、耐震性にも優れています。

海外では、住み替えるために家を売却したり、次世代に住み継ぐことも多いので、耐久性が求められます。さらに、ファイヤーストップという施工法など、万一火事になっても燃え広がらないように耐火性も備えています。バリアフリーの考え方が取り入れられ、家の中にほとんど段差がなかったことも暮らしやすいと好評でした。こういった輸入住宅の基本性能の高さを評価する人が多いわけです。

(2)デザイン性
輸入住宅は北米系、北欧系いずれも、基本的なデザインの傾向は年月が経ってもほとんど変わらず、外観や木の風合いをいかした室内、モールディングや建具の質感が好まれています。無垢材の床や木製扉の収納、塗装の壁など、素材の質感に魅力を感じているという声もあります。
輸入住宅の街並み

普遍的なデザインと、年月を経ても変わらぬ美しさが輸入住宅の魅力ではないでしょうか


(3)ゆったりとした間取り
日本の住宅では910mmやメーターモジュールと呼ばれる1000mmを基準として設計・施工されますが、北米系の輸入住宅では1220mm、北欧系では1200mmを採用している輸入住宅メーカーが多いようです。そのため、廊下や空間が広く、間仕切りの少ない間取りの輸入住宅は、開放的な雰囲気を味わえます。

以前に比べると日本の住宅の基本性能は高くなり、輸入住宅との差はほとんどないといえるでしょう。けれども、輸入住宅のデザインは普遍的で、あまり大きな変化がありません。そして、前述のモジュールの違いから広々とした印象になります。現在では、時間が経っても美しいと思えるデザインが変わらないところや、ゆったりとした空間に魅力を感じる人が多いのではないでしょうか。
 

北米系・北欧系によって工法にも違いがある

北米系、北欧系など、輸入先によって工法も少し違います。

●北米系・2×4(ツーバイフォー)工法
北米系の住宅の多くは2×4工法で建てられています。2×4工法はツーバイフォー材と呼ばれる規格材と合板を使って壁(パネル)をつくり、6面を箱のように組み上げます。枠組み壁工法とも呼ばれます。

●北欧系・パネル工法
北欧系の住宅はパネル工法。基本的な構造は2×4工法と同じですが、あらかじめ工場で生産したパネルを現場に持ち込んで組み立てます。パネルを海外で生産し、そのパネルを輸入して建築する住宅メーカーもあります。

●丸太組構法、ポスト&ビーム
北米系と北欧系以外では、ログハウスに見られる丸太を積み上げていく丸太組構法、在来工法と同じように柱や梁で支えるポスト&ビーム(ディンバーフレームとも呼ぶ)があります。

ひと口に輸入住宅といっても、工法やデザインに違いがあるので、輸入住宅を検討している人は、その会社の施工例を調べ、自分のイメージに合っているかどうかを確認してから契約することをおすすめします。

また、建築後のメンテナンスも大切。アフターメンテナンスや、定期点検など、建築後の対応や保証についても聞いておきたいところです。修繕や交換が必要な部分には日本製の部材を取り入れるなど、プランを工夫して、長く暮らせる住宅を建ててほしいと思います。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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