ドールに魅了された人々と人形の織りなす様々な物語

■作品名
観用少女(プランツ・ドール)

■作者
川原 由美子

■巻数
コミックス:全4巻、文庫:全2巻、愛蔵版:2冊

■おすすめ理由
短編オムニバス形式の作品です。

ミルクと砂糖菓子で生きる特別美しい人形、「プランツ・ドール」。
非常に高価なこの人形に魅了された人々と人形の織りなす様々な物語が繰り広げられる、
1992年から雑誌『ネムキ』に掲載された漫画です。

都市に佇む幻想的なお店で、眠った状態で売られるプランツ・ドールは、彼女たちが選んだお客の前でしか目覚めません。その甘美な生活に必要なのは「愛情」で、それが損なわれると
「枯れて」しまいます。

また、ドールは時折「成長」してしまいます。人間に成長してしまうだけでなく、
お酒好きに誤った成長をしてしまうこともありますが、どちらも育てる人次第です。

ストーリーに登場するお客は多様で、子どもにそっくりのドールを求める家族、
不幸続きのモデル、ギャンブル好きの男、商売のためにドールを求める宝石店の社長、
女性編集者のためにドールを求める小説家など。

ドールも、たくさんの種類があります。香りのするドール、店を介さず持ち主を転々としている、
歌を聴いた者は死ぬといわれる歌を唄うドール、水の中で育つドールなど。

わたしのオススメのお話は、ドールに寄生する花を咲かせるお話です。
花は、「花冠(ティアラ)」の名の通り、ドールの頭にのせられます。しかし、この花は愛情に満ちた幸福なドールを育てなければ咲かず、開花は一瞬、そののちドールは枯れてしまうと言われています。通常は紅い花ですが、憂鬱を覚えることで咲く青い花を咲かせようとします。最初は花を咲かせることを渋っていた育て主は、花を見たいという気持ちに悩みながらドールを育てます。
一瞬しか咲かない花のために揺れる心と、それを感じる繊細なドールとの間の儚さに引き込まれます。

不思議な人形とその幻想的な雰囲気に、目が離せなくなること間違い無しです。




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